未来かたるが語る

今日の市況

今日の市況(2012年05月25日)

かたる:私には今、いくつかの謎がありますが、皆さんにはあまり興味がないかもしれません。でも私は重要だと思っています。昨日、話したように表面化している現象はどうでも良いのです。ギリシャが仮にEUを離脱しても、所詮はGDPが非常に小さな国の話です。問題は連鎖を止めることですね。EU問題の根本は仕組みの話でフランスが共同債を提案しているようですが、ドイツが納得する形で導入されれば、市場関係者は鉾を下ろすことになります。そうなると改善に向かっている米国経済や再び経済加速する中国にスポットがあたり、株価は上昇に向かうでしょう。

私の謎の一つは、JPモルガンが損失を出したポジションを組んだ理由ですね。

CDSを大量に売ると言うことは、世界の中央銀行による量的緩和は、世界経済の安定に繋がるとの読みだったはずです。大きなポジションだったので、かなりの地位にある一流のファンド・マネージャーの意見であり興味がありますね。25年ぶり10週連続陽線の背景を支えた経済の読みが、このポジションにあったのですね。「踊る阿呆に観る阿呆」と今日の市況では解説しました。ただ同時に主役不在の先物主導の上昇だと述べていましたね。残念ながら1989年のバブル相場のスタートラインにおいて、私は現役の証券マンだったけれど、今ほどの知識がなく日本の過剰流動性相場が始まった切っ掛けを覚えていないのです。ある日突然、銀行株がストップ高になった印象しか残ってないのですね。

今は購買力平価によるGDP比較とはいえ、先進国を新興国が抜くと言う現象は大きな転機だと思っています。だってこんな理屈はありませんね。もともと金融デリバティブがリスクの取れない国の成長を押し上げたのです。つまりハッキリ言えば、先進国の運用マネーが新興国に向かいグローバル経済を拡大させたわけです。故に原油価格が高騰し、鉄鉱石などの一次産品が値上がりし、商社は空前の利益に沸いているわけです。その元である先進国の金融システムが綻び、ボルガー・ルールの正当性が信じられているのですから、金融デリバティブによる金融拡大は縮小に向かい、新興国の成長は鈍る筈ですね。私の考える構図は、新興国から先進国に成長の軸が移動すると言うものです。

この切っ掛けが産業革命に匹敵するインターネットの発展や効率化社会の構築じゃないかと考えているわけですね。スマート・シティー構想を始め新社会基盤システムなどの情報コントロール・ビジネスの隆盛です。日立が家電から撤退し社会基盤整備に力を入れ始め見事な経営のかじ取りです。逆にシャープやパナソニック、ソニーは時代の流れを見誤りました。

もう一つの謎は、時代の揺り戻しかな? 米国のシェールガス革命の影響ですね。アップルなどのメーカーは安い人件費を糧に、ファブレスで海外生産を拡大させ、利益を積み上げてきました。しかし中国の人件費は毎年上昇し、欧州危機の影響もあるでしょうが新興国の優位性は消えつつあります。こんな試算があるほどです。中国は石油換算で24億トンのエネルギーを使い5兆8800億ドルのGDPしか生み出さなかったが、米国は23億トンを使い14兆6600億ドルのGDPを生み出した。つまり米国の付加価値生産能力が3倍も勝っていると言うのです。このような局面でシェールガス革命が起こると…世界に広がった生産拠点は米国に回帰する可能性がありますね。

日本はバカ高いLNGを使い発電していますが、米国から輸入すればコストは1/3になると言います。もしこの動きが加速すると…商社の株価は大幅に下落する可能性も出てきますね。何しろ高い資源コストを前提に投資をしていますから…。まぁ、兎も角、シェールガスの存在が、経済のバランスを崩す可能性もあります。こう考えると米国株が欧州危機を目の前にしても、あまり下げずに力強い理由が分かるような気もします。先進国のリーダーが再び成長を加速するのです。

日本には様々な技術が埋もれているのに、音頭を取るリーダーが不在な為に、新しいステップになかなか踏み出せませんね。過去の歴史では万里の長城を築くような剛腕な政治家の出現が求められます。排熱を利用したエネルギー革命やITSやスマートフォンを利用した未来都市の建設など…、国民に夢と希望を与える時代の入口に来ているのに、なかなか現実に進みませんね。PFIの活用なども見られますが小粒なものばかりで政策の域に達していませんね。でも私はヒシヒシと新しい時代のうごめきを感じているのです。本当にじれったいですね。プロポーズを待っている女性心理が分かるようです。

現実の世界は夢の時代のパーツと、強引に新しい扉を開けるショック療法が混雑しているようです。仮に財政問題のコントロールを失ったら…一気に円安の超物価高の世界が訪れ、先ずは大きな下落ポケットに国民は落とされ、新しい時代の扉が開きますね。丁度、太平洋戦争で敗北した日本をイメージすれば良いでしょう。もう一つが明治維新のイメージですね。おそらく確率は後者の選択で、時代のリズムにもその方が合いますね。少子高齢化はある意味で独自文化を効率化させ、世界をリードできるかもしれません。原発事故により自然エネルギーの開発が進み、ファナックが時代を引っ張るかもしれませんね。ロボットの開発を一気に進むのです。家事ロボットなどの開発は、薄型テレビや半導体競争に負けたけれど、もっと付加価値の高い戦いにステージを移す切っ掛けになるかも知れません。負けたからこそ同じ土壌で勝負は出来ず、ステージとルールを大きく変えるのですね。

JPモルガンの「ロンドンのクジラ」さんは、きっと正しい方向性なのです。しかし時間と言う魔物に敗北したのでしょう。この壁はなかなか高いのです。折角、いい方向性や素晴らしいアイディアを生み出しても使うタイミングを間違えば、逆効果になりますね。今日の相場は、どんな展開を見せるのでしょう。未来かたるが復活できるような時代は、いつ来るのでしょうか? それとも永遠に…あすなろかな? 今日は時間があるのでビスタの原稿も、あとで書く予定です。

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投稿者 kataru : 2012年05月25日 05:36