株好き父さんのための

Take IT Easy!

« 2005年04月 | 戻る | 2005年06月 »

2005年05月31日

カカクコム

カカクコム-2371 という会社をご存知でしょうか。価格の比較ページ 価格.com( http://kakaku.com ) を運営している会社です。最近では、サーバーテロにサイトを改竄されて、一週間閉鎖を余儀なくされたサイトです。当初はPC関連の価格情報だけを掲載していたのですが、現在はPC関連はもちろんのこと、家電、車、ゲーム、ブランド品、保険、葬儀、旅行、不動産とありとあらゆる分野の価格比較を取り扱っています。価格情報だけでなく、製品の口コミ情報も数多く掲載されていますから、何かを購入する時にその製品の最安値や評判を調べたりするだけでなく、購入後に製品の使用法やトラブル情報を知るのにも良く利用されているサイトです。IT関連の人たちが最も利用しているサイトのひとつであると言っても過言ではありません。

今から7,8年前、初めて価格.com を知ったときは感動的でした。世の中にこんな便利がサイトがあるのかと。
PC製品を買うときには例えば、秋葉原に行ってあっちの店、こっちの店と渡り歩いて、一番安かった店で買う ということを皆していました。
それが、価格.com で製品の最安値とそのお店がわかるのですから、こんなに効率的なことはありません。
カカクコムは、創始者で現在のCEOの穐田さんが、自分の足で集めた価格情報を公開したのが始まりです。個人のページから会社組織に変わり、集めていた価格情報も、販売者側から提供するようになり、いまや東証一部上場の会社にまでなっています。

価格.comがもたらした影響は決して小さなものではありません。何しろ誰もが製品の最安値を知っているという世の中になり、小売業者からしてみれば、非常にやっかいな時代になってしまったのです。価格競争力がない製品やショップは、売れなくなるのです。他のお店ではいくらで売っているのかという価格情報に敏感でないと生き残れなくなってるのです。

大型家電店の中で、販売主要製品を家電からPCへともっともスムーズに転換できたラオックス-8202の売上高がジリ貧になっているのも、価格情報の流通と無関係ではない気がします。2000年度には2100億円あった売上高が2004年度は1300億円に落ちているのは、価格に敏感になった消費者に対して価格に鈍感な商売をしてきたことが原因のひとつだと思います。

秋葉原が家電の街からPCの街への変貌していた時代、ラオックスは秋葉原の顔的存在だったのです。それがいつしかラオックス=高い というイメージが定着してしまい、価格情報を手に入れたお客はより安い店へ流れていってしまったのです。ラオックスが価格の情報を把握していなかったのか、それとも価格の情報を知らない人をターゲットにしていたのかわかりませんが、ラオックスの表示価格は高かったのです。品揃えの良かったラオックスは、より安い店やネットショップで製品を買う前に品物をチェックするPC展示場みたいになってしまったのです。

一方、2000年度4700億円の売上高を2004年度には1兆1000億円にしたヤマダ電機-9831は、価格情報に敏感な会社ですね。行ったことがある人ならわかると思いますが、製品ひとつひとつに、コジマ-7513ではいくら、PCデポ-7618ではいくら と展示しそれよりも安い価格設定をしています。他のお店の情報を把握した商売をしているのです。
価格.com がもたらした情報に敏感だったヤマダ電機と鈍感だったラオックスの2000年からの成長率の差がここにあります。
2000年以降というのは、インターネットの利用者が爆発的に伸びた年でもあります。

デンの今日のTake IT Easy:価格.comは、世の中の普通の情報(この場合は価格)が工夫次第でお金になり会社にもなる というお手本です。
レイジーの今日のおとぼけ:どこかにいい男の情報を集めた、お得な男.com みたいなサイトはないですかねぇ。

2005年05月22日

電子レンジと無線LAN

レイジーが変なこと言ってきました。
「電子レンジを使うと無線LANが使えなくなって、インターネットの接続が切れちゃうんですけど」
レイジーが遭遇するトラブルは、調べていくと大抵の場合「ごめんなさい、原因は自分にありましたぁ~。えへへ」という結論に達するのですが、今回の質問はまともでしたね。実際、電子レンジと無線LANは相性がよくありません。
無線LANには、IEEE(米国電気電子学会、アイトリプルイーと読みます) が定めた3つの規格があります。

1. IEEE 802.11b
最初に普及した無線LANの規格。2.4GHz周波数帯を使った無線で約11Mbpsの伝送速度。

2. IEEE 802.11g
802.11bと同じ2.4GHz周波数帯を使った無線で約54Mbpsの伝送速度。IEEE 802.11bとの互換性がある。

3. IEEE 802.11a
5.4GHz周波数帯を使った無線で約54Mbpsの伝送速度。IEEE 802.11bとの互換性はない。

普及度合いは、上から1. 2. 3. の順になります。レイジーの使っている無線LANは、1.のIEEE 802.11b というものらしいです。
「電子レンジを使うと無線LANが使えなくなる」というのは、IEEE 802.b や IEEE 802.g で使っている2.4GHz周波数帯 というのが原因です。この2.4GHz周波数帯は、小出力(10mW以下)だったら無線免許なしで自由に使える周波数帯ですので、無線LAN以外にも電子レンジや医療用機器などの電磁波を使う電子機器もこの2.4GHz帯を使用しています。同じ周波数帯を使っているので、電子レンジを使うと電波干渉を起こし、通信速度が低下したり、場合によっては通信が切断されたりすることが発生するわけです。

一方 IEEE 802.11a が使っている 5.2Ghz帯は、無線LAN以外に使っていませんから、そういうことが発生しません。IEEE 802.11g と IEEE 802.11a はどちらも約54Mbsの伝送速度の規格ですが、実効速度は電波干渉がない分、IEEE 802.11aの方が速くなっています。

周波数でひとつ憶えておくと良いのは、低い周波数の電波は遠くまで届くが、高い周波数の電波は遠くまで届かないということです。高い周波数の電波ほどたくさんの情報が送れる反面、性質は光に似てきて直線的になり、ビルや山にぶつかるとその向こうに廻り込めなくなります。
携帯電話が使っている周波数帯は、800MHz、1.5GHz、2GHz と3つの帯域があるのに、携帯電話に参入しようとしているソフトバンク-9984が800MHz帯にこだわっていた理由がわかりますね。

3つの中で一番周波数が低い800MHzが一番遠くまで電波が届くからです。つまり基地局の数が少なくてすみ、設備投資の上で有利だからです。

デンの今日のTake IT Easy:周波数が高い電波ほど大容量の通信に有利だが電波の届く距離は短くなる。
レイジーの今日のおとぼけ:いやあ、電子レンジで靴下乾かしているのがいけないのかと思ったよ。

誰が靴下乾かすんですか、も~勘弁してよデンさんっ!

2005年05月17日

数値感覚

性別:男性、身長:160cm、体重:90Kg という数値を見てどう思いますか?
背が低くて太ってる人 という想像がつきますよね。
男子100mを11.2秒で走る はどうでしょう?
オリンピック級じゃないけど、かなり足が速い人 だと感じるでしょう。
土地100坪、建坪50坪の5LDKというと、これはもうかなりの大邸宅で、もし東京都内だったら数億円は下らないな と思うでしょう。

なんでこんなこと書いているかというと、人間はある数値を基準にして思考しているということを言いたかったのです。
身長、体重、年齢、住居の広さ、駅までの距離、家賃、給料、運賃、たまご、コーヒー、牛丼の値段 など生活上の数値だけでなく、世の中あらゆる分野で基準となる数値があります。株の世界なんて、その顕著な例ですね。株価、出来高、時価総額、信用倍率、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)、一株当たり利益(EPS)、移動平均乖離率、騰落レシオ などなど挙げたらきりがないくらい数値のオンパレードです。

ITも数値の世界です。
Windows XP、Celeron 1.2GHz、128MB Memory、40GB HDD という数値も見てどう感じるでしょうか。
「XPを動かすには少しCPUがパワー不足だし、メモリーは少なすぎるね。ハードディスクも動画とか写真とかをたくさん扱うには小さすぎるかな。」
と思えたら合格です。
大特売 HDD-IDE 160GB SATA 7200回転 特価 \23,000 はどうでしょう。
高いと感じますか。それともえらい安いなと思いますか。正解は「えらい高いな、何が特価じゃ」です。市場価格より1万円前後高いですね。

このように、株の世界でも、ITの世界でも、ある分野に精通するには、その分野の中で使われている数値の感覚を養うことがとても重要になってきます。
ある数値に対して、高い-低い、速い-遅い、重い-軽い、長い-短い、高い-安い という感覚です。

では、どうやってIT分野の数値感覚を養うかというと、残念ながら王道なんてないんです。皆さんの得意な株の世界でもそうだったでしょう。毎日、株価や出来高、たくさんの株式指標や業績を調査して、かたるの「今日の市況」読んで、ここだ という自分なりのタイミングで売買を繰り返して、株の世界の数値感覚を養ってきたはずです。ITの世界も同じです。パソコンやインターネットに興味を持ち、お店でパソコンを買って、ADSLを契約して、インターネットに繋げて、ショッピングをしたり、メールを送ったり、ホームページを作ったりして、少しずつ感覚を養っていくしかないのです。あえてIT分野の数値感覚を養う一番良い方法を挙げるとすれば、それはパソコンを1台自作してみる事です。マザーボード、CPU、メモリー、ハードディスク、DVD、ディスプレイ、キーボード、マウス、グラフィックカード、スピーカー といったパソコン部品を、秋葉原やインターネットでひとつずつ、メーカーやスペック、価格、そしてユーザーの評価を調べて買い、組み立てていくのです。組み立て終わったら、Windows XP を買って導入して、インターネットに繋げてみるのです。この過程でいろいろなIT企業と出会えるし、どのメーカーがどの部品の分野で市場から評価されているかもわかるでしょう。パソコン教室なんかに通うより、ずっと実践的で身になると思います。しかも世界で一台の自分のパソコンも手に入りますしね。お父さん、株で10数万儲かったら、是非チャレンジしてみてください。

デンの今日のTake IT Easy:IT分野に精通するには、ITの数値感覚を養うことです。そのためにパソコンを1台自作してみましょう。
レイジーの今日のおとぼけ:数値感覚より、美的感覚や味覚ですよ。きれい、いけてる、おいしい の方が重要です。

2005年05月09日

生き残るのは誰?

中国のレノボ(Lenovo)社のIBM PC事業の買収が完了しました。売上高 1兆2600億円、年間販売台数 1200万台、社員数 約2万人の巨大PCメーカーの誕生です。これで、レノボは、デル(Dell)HP(Hewlett-Packard) についで世界第3位のPCメーカーになりました。
レノボは、IBM PC事業を約1800億円で買収しました。この金額が高いのか安いのか意見の分かれるところですが、IBM PC事業は、年間 1兆円の売上があったのですから、デル並みの利益率5%が実現できる体制を作ることができれば、年間約500億円の利益をあげ約4年で投資を回収できることになります。しかしIBMはPCでは利益を上げるのが難しくなったと判断して売却したわけですから、レノボデルのように勝ち組になるのはそう簡単ではないでしょう。

PCは薄利多売の世界に入っています。ですから世界規模のPCメーカーでないと生き残れないのです。低いコストと少ない経費で良い製品を大量に売らなければ利益は上がらないのです。PCほどインターネット販売に向いている商品はありません。試着も試乗も必要なく、重要なのはスペックと言われるCPUの性能値やハードディスクの容量などのデータだけです。画面に表示されるそれらの値と製品の全体写真を見て購入したって、そうは失敗はしないのがPC製品です。秋葉原やコジマ電機-7513ヤマダ電機-9831ウォルマートで売っていない製品のメーカーであるデルがPC市場で唯一の勝ち組なのです。

NEC-6701富士通-6702ソニー-6758東芝-6502日立-6501三菱-6503シャープ-6753松下-6752ソーテック-6829 という日本のPCメーカーはどれも世界的に見れば皆負け組。年間出荷台数1300万台(2004年)の日本の市場を主戦場としている限り生き残れません。世界のPC出荷台数は約1億9000万台(2004年)もあるのです。デル1社で年間3000万台以上も出荷しているのです。日本の市場は、世界からみればわずか7%に過ぎません。

日本のPCメーカーで生き残れるのはどこでしょうか。正直言ってわかりません。だだ生き残る条件はわかります。

1.世界を市場とし世界シェア10%以上を取る
1位のデルだってシェア17%です。2位のHPが14%。3位になったレノボはわずか5%。シェア3%以下のメーカーが全体の60%近くを占めています。烏合の衆同士の合併によって頂点に立てる世界です。

2.販売チャネルを変える
PCは売れる商品です。いかに販売コストを下げて利益率を高くするかが課題なのです。店頭販売を中心としている限り利益率は上がりません。インターネット販売にうまく切り替えることができるメーカーが生き残れるのです。

さあ、生き残るのは誰でしょう。そう遠くない将来に答えが出るはずです。

デンの今日のTake IT Easy:日本のPC市場は世界のたったの7%。日本のPCメーカーの吸収合併合戦は開演間近。
レイジーの今日のおとぼけ:生き残るのはワタシ! いや、私のかーちゃんかな。