詩と真実・・・

マーケット三国志

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2006年03月27日

「ストップ高」(いちば)

「ストップ高」

日経社長アンケートでは、99%が「国内景気は回復」の回答。
そして、半数以上の社長は2006年度の設備投資額を拡大する方向との回答。
「財テク」に走らず、地道に本業を追求する姿は、目新しく映ります。

自民党は、政府資産の112兆円圧縮案をまとめました。
国立競技場の命名権や空港の有効活用などもあります。
1981年以前に取得した不動産2兆円を売却する方向であるともされます。
これは土地の供給増加でしょうか。
あるいは不動産上昇の起爆剤なのでしょうか。
どうも後者のように思えてなりません。
そして既視感。
平成不動産バブルは、紀尾井町の国有地売却が発端の一部であったことが思い起こされます。
その挙句、NYにまで進出したのが日本マネー。
「いつかきた道」になるのでしょうか。

そして・・・。
ゴールデンウィークの海外旅行の予約が早まっているそうです。
東南アジアが急回復し、コストも上昇中。
サクラの花が咲いたかと思ったら、もうリゾッチはすぐそこ。
ビジネスクラスから予約が埋まる世界は、やはりデジャブに思えます。

月初からの株式講演会の全国行商で取り上げた銘柄がストップ高。
「ストップ高」とは・・・。
なんと良い響きであること。
株の世界に身をおいて数十年。
いまでもこの響きは特別の甘美さを持っています。
若い頃は、よく夜中に「ストップ高」と寝言で叫んでいたそうです。
今とは違い、強烈な世界の証券営業のやすらぎの言葉でもありました。

1992年のドラマ木10「愛という名のもとに」。
証券関係者としては涙なしに見られませんでした。
あまりにリアルな証券営業マンの実態。
ボロボロになった挙句の、それでも夢は「ストップ高」。
常に市場関係者の憧れです。
これが「ストップ安」でないところが面白いところ。

証券マンに対しては、「冷血・人でない」などの評価が存在します。
どんなに顧客のことを考えて、誠心誠意対応しても、市場という不確定要素に満ちたフィルターを通しているから、意に反して、顧客の思いと逆になることがあるからなのでしょう。
ある営業マンは述懐します。
「お客さまに迷惑かけるのがつらい。」
掲示板などでは「詐欺師、素人投資家を騙し金儲け、むちゃくちゃな証券会社」とか「幹事証券の儲け」などと徹底的に罵倒されることが日常茶飯事。
でも・・・。
現場の声は、外から見る様子とはまったく違う事は理解して欲しい部分。
敢えて「株屋にも五分の良心」と言いたいところです。

2006年03月17日

「志」

先日お会いしたA社長は語られました。
「ベンチャー企業に必要なのは、独自性・社会性そして正義性。そして企業に必要なのは社会的貢献であるが、加えて社会正義の実現が必要である」と。
また「経営者には不可欠なのは志。そして、日本に自信を持つこと」と。
究極の夢は「世界への発信」。
日本の企業独自のものを世界に広めるということ。
オーバーラップするのは、幕末の志士たち。
頑なまでに「万国公法」を守ろうとしていました。
そして、世界への夢。
最近欠けていたものの一つです。
今となると、ホリエモンの対極。

株式市場をマネーゲーム経済と揶揄する向きもあります。。
しかし・・・・。
企業に対する「志」。
日本経済に対する「志」をマーケットで実現しようとする投資家も間違いなく存在しています。
もっとも、一番多いのは「利益」に対する「志」ですが・・・。

処々方々でセミナーをしていると真摯な投資家の姿にお目にかかります。
ご自分の生きざまを株式投資を通じて具現化されている方々。
「東京市場も捨てたものではない」との感。
春爛漫をまもなくにして、そう思います。

週末のマーケットの主役はソフトバンク。
ボーダフォンの売却が決まるとのデイリーテレグラフの報道がアシスト。
日英同盟の影が見えるような錯覚に陥ります。
やはり主役はイギリスの感。

週初は札幌。週末は福岡。
気温差にして20度あまり。
日本も結構広いものです。

2006年03月13日

「金利」(いちば)

先週は大阪でセミナー。
350人余りの参加者。
わざわざ千葉から来られた方もおられ、マーケットは春一番状態。
場所は、あの「適塾跡地」のビルでした。
「適塾」は天保9年(1838年)に、緒方洪庵が開いた蘭学塾。
門下には福沢諭吉、大鳥圭介、橋本左内、大村益次郎、長与専斎、佐野常民、高松凌雲などの人材。
幕末から明治維新にかけて活躍した多くの人材を育成した私塾です。
司馬遼太郎氏の「花神」にもその当時の風景は描かれています。
漫画家、故手塚治虫の曽祖父にあたる手塚良仙も門下生の一人でした。
こちらの風景は「陽だまりの樹」に描かれています
蘭学と株式とあまりにもかけ離れた素材ですが、いずれにして興味を持っていた「適塾」でのセミナーは感慨深いもの。

終了後、「私は40年の商学部です」との参加者。
どこへ行ってもこういう方々に遭遇します。
東大を初めとして、日本はこういう繋がりが依然として深いようです。
初対面の方でも、不思議と旧知のような気がするものです。

ところで・・・。
本音のところ、金利の上昇はそんなに悪いことなのでしょうか?
名古屋のセミナーで聞いてみました。
「金利が上がると困りますか?」
参加者の大半が高齢であることも関係してでしょうか、「困ると」いう表情は見受けられませんでした。

「金利が上がって、預貯金の金利が多いほうがいいですよね」とも聞いてみたところ、皆一様に笑顔。
これが本音でしょう。
住宅ローンの金利支払いで困るという意見は支配的ですが、同時に給料も上がるのです。
デフレ下の金利上昇は確かに痛いこと。
でも今回はそうではありません。
バブル時の金利は6~7%。
それでも株や土地は上昇を続けていました。
かつて、超高金利が不良債権処理スピードを高めるという意見がありました。
実際は出来ませんでしたが、もし可能であったならば「失われた10年」はなかった筈。

金利ではありませんが日経1面に「今期配当倍増相次ぐ」の記事がありました。
金利だけが寝ているわけにはいかない状況です。

東京三菱UFJの利益は、実はUFJの利益が多かったとも聞きます。
とすると・・・。
竹中氏は、なんであんなに急いでUFJを苛め抜いたのか?
というのが、先日の酒席のテーマ。
数年後には明らかになるに違いありません。

木曜日のWBS。
久しぶりにお目にかかったのはリチャード・クー氏。
これは・・・。
と思ったら、やはり量的緩和の解除の報。
400円高は出来過ぎでした。

嫌なのはバロンズ。
占星術によると月末の皆既月食を期として、株価が暴落するという説があるそうです。
たまたま、月末に奇問遁甲の師が来日しますので、事の方向性を聞いてみようと思います。
西と東。
どちらに軍配は上がるのでしょうか。
楽しみです。

2006年03月06日

「ひま祭り」(いちば)

ヘラクレスにアセット・マネジャーズ(2337)という銘柄が上場しています。
不動産ファンドを中心に業容拡大中。
先週末130億円の社債発行を発表しました。
このところ嫌気されているMSCBではありませんが、希薄化懸念は残ります。
背景は、「大型物件取得などでの資金需要」。
金融機関からの融資実行を待っていては、機動性で劣るからといいます。
一般的に考えると、株主軽視の姿勢は免れません。
しかし・・・。
本業重視の姿勢は評価されます。
決して悪い社債ではありません。
本業重視のであることは最終的には、株主の利益に繋がる筈。
一時的に株価の下落はあるかも知れませんが、「良い資金調達」と見る向きは多いようです。

新宿の不動産会社の社長氏とミーティング。
5年前に本社屋を買ったそうですが、現在は倍の値段になったと誇ります。
その後、別の不動産関係の社長氏ともミーティング。
首都圏郊外の利便性の薄い土地の売買が20日間で決まったとの話。
まさに不動産は動き始めました。
それも都心だけではなく、郊外まで。
このナマ情報を基準とすれば、スピーディーな資金需要は拡大していますし、経営的にビジネスチャンスを捉えなければならない局面。
むしろ、依然として融資に機動性を欠く金融機関に問題がありそうです。

先週、大手町のサンケイビルでセミナー。
終了後の質問は「何を買えば良い?」
投資家のマインドは依然、季節感同様に暖かそうです。
関連してこんなメールが流れました。

「昨夜、19時から21時まで都内大手町のサンケイビルでマネックス証券主催の株式セミナー。
個人投資家が集まる講演会に出向いたのは初めての経験。
時間が遅く、平日だというのに、参加者がどんどん来ること!
講演が始まってからも、まだ人が来るので定員350名でも、席が不足する勢い。
私は関係者として見学させてもらったのだが、参加者はマネックス証券に口座を持っている人に限定されていた。
場所柄なのか?
30~40代の女性投資家が多いのにビックリした!
個人投資家のパワーはまだまだ強いと感じられる」。
巷は3月3日「ひな祭り」。
女性投資家のますますの隆盛が感じられる。
ネット投資家に女性拡大の報道とも合致するようです。

ソフトバンクは日英同盟締結。
ささやかな変化ですが、これは大きい。
フィディリティのアジア総責任者も言っています。
「M&Aがこれから増える」。
そして・・・。
「それは、株主のためになる」。
日銀だけをウォッチしていては、マーケットに乗り遅れそうな気配も感じられます。