今日の市況(2009年08月10日)
先週末、米国で雇用統計が予想より好く株価が上がりました。米国ではJPモルガンがリーマン・ショック時(9月12日は41.17ドル)の株価を、先週42.36ドルと上回りましたね。そうして問題金融機関のAIGの株価は、最近12~13ドル台だったのですが先週末にかけて27.14ドルと急騰しました。バンカメもシティーも上がっています。米国金融株は明らかに新しい展開に入りましたね。
一方、最近NT倍率が、近年にない水準まで上がっていると言います。
そのような話しを聞き、今日は調べてみました。確かに2001年から見るとこんな感じになっています。NT倍率とは日経平均株価をTOPIXで割った数字です。日経平均株価は日本を代表する225の銘柄から構成されていますが、TOPIXは東証一部上場の時価総額を基準とした指数ですね。だから銀行など時価総額の大きな企業の影響を受けます。

これだけをみれば、なるほど…。過去最高水準なんだから、今度はNT倍率が下がりTOPIXが上がるもの…とばかり思っていました。ところが今日、調べて初めて気づいたのです。もっと期間を長く見ると…こんな感じになります。アレレ? 一般的な報道は嘘じゃないの。統計数字と言うのは、作成者の意図が反映されますね。2000年代では確かに一般的な報道どおりですが…1990年代では13倍前後だったのですね。相場観を修正しなくてはならないかもしれませんね。

私は日本の政策を批判してきました。
しかし世界経済は米国のように金融危機を確実に克服し正常過程に向っています。日本が総選挙のあとも混迷した主導権争いを演じたとすると時価総額の大きな内需は駄目で、世界景気に影響される輸出株のほうが堅調になるのでは…との仮説も考えられますね。あらら…こんな見方もあったのか…。
統計数字などは調べるスパンにより投資スタイルが大きく変わりますね。まぁ、長い期間でも、やはりNT倍率は乖離があるので修正される可能性はあります。しかし仮に日本の政治が悪法を制定し、労働分配率の問題に触れれば、グローバル企業は何も日本人の雇用を支える必要もなく、海外展開を図り空洞化問題が再び生まれます。折角、派遣法などを整備し、雇用を確保したのに製造業の派遣が禁止になれば…。それをNT倍率は暗示しているのでしょうか?
ちょっと、話しが難しいでしょうか?
日経平均株価は日本を代表する会社を選んでいるから、株価の高い輸出企業が多く採用されています。まぁ、目先の動きは修正でも、もう少しスパンを長くして考えると、自動車や電機などのグローバル企業に価値があるのでしょうか? NT倍率一つで、このように色んな見方が出来ますね。
さて今日は、内閣府から景気ウォチャー調査が発表され、この7ヶ月連続の上昇は統計を取り始めて初めての連続記録とか…。ただ6月から7月の上昇は僅か0.2ポイントの改善でした。経済指標でもこのような人間の感情を示す経済統計は先行指標ですね。結果を反映させる失業率などは遅行指標です。経済統計の性質を良く知る必要があります。

今週の株価は指数上に過熱感が生まれつつありますが、実体を伴っていません。しかし、この時期は強弱観が対立しやすい時期です。4-6月期の上方修正は株価に織り込まれ7-9月期もかなり織り込まれています。自動車株の上昇はその影響でしょう。問題は10-12月のクリスマス商戦です。通常、この時期は電子部品などのメーカーの受注残が増え始めますね。世間は明るくなっているようです。
今日は三菱レーヨンのケミカルへの統合の話ですね。そうして時価総額上位の銀行の売買代金が膨らんでいます。あとは疑問視されていたソニーがどうなるのでしょう。今年、映画は3Dブームになりそうです。薄型テレビ、有機ELのあとは、テレビも3Dの世界に入りますね。早く夢を語れる相場に突入しないかな?


投稿者 kataru : 2009年08月10日 17:24