今日の市況(2009年07月08日)
NY市場は雇用統計の悪化から景気の不透明感が更に広がり、投資家のリスク許容度が低下している所に原油先物などが下げたので、一気に景気回復ムードが壊れた印象です。昨晩は化学大手のデュポンが下げ、建設機械のキャタピラーが安くなりました。二番底を模索するような動きになっています。この様子は銀行大手の平均株価に表れています。

日本もほぼ同様の動きです。解説では機械受注が市場予想の2%増より、-3%になったのを受けて、4-6月期の回復は1-3月期の極端な在庫調整のよる反動に過ぎず、V字型回復は有り得ないという見方が広がり、株式相場は下げに拍車をかけたという解説です。

同時に内閣府から景気ウォッチャー調査(街角景気)が発表されており6ヶ月連続の回復を示していました。この二つの指標をどう判断するか? 機械受注額は設備投資の数字です。設備投資は過剰生産設備があるときに増えるわけがありませんね。景気ウォッチャーは人間の実感です。過去に比べ忙しくなったかどうか?と言う比較感ですね。景気とは人間の感情ですね。株価が上がれば豊かな気持ちになり消費を増やします。考えてみれば先ず人間の感情が先に動きます。その後に生産活動が戻り、忙しくなれば設備投資に向うわけです。

株価はこの動向を上手く表しています。
日経平均株価は9420円で引けて、13週線移動平均線(9449円)の所まで調整を進めています。騰落レシオは101となっており低下傾向は続きます。依然、予てから指摘のように強弱観が対立しています。今週になって下げが続いており弱気心理が台頭しています。しかし物色気配は衰えているのかどうか…。例えば新興市場のサイバーエージェントは赤字だったアメーバーブログがようやく黒字転換し、株価は新高値を更新していますね。


私はかなり強気になってきました。NY市場が下がってよかったと思っています。なかなか下げなかった日経平均株価がようやく下げ始め一気に調整色が広がっていますね。多くの投資は2008年後半の下げが頭に残っており慎重になるようです。実は6月の貸し出し・資金吸収動向をみると預金超過が前月比で3兆円(2.4%)も増えました。貸し出しも伸びていますが前年同月比で2.4%増となっています。企業が手元資金を厚めに積んでいるのだそうです。景気の先行きに対する警戒感が依然として高いのですね。
このような中弛み現象は自然な現象なのでしょう。2003年の時も中弛みはありました。中国の成長力は概算で450兆円ほどだとして、10%伸びると45兆円です。アメリカのGDPは1300兆円なので5%ダウンなら65兆円ですね。この差の20兆円は埋まりません。しかし米国の住宅ローンはノンリコースローンですね。住宅を捨てれば借金はなくなります。銀行は担保の住宅を慌てて処分しているから住宅価格はなかなか上昇しませんが、ケースシラー住宅指数から分かるように前年度比では未だに18%も下落していますが前月比では0.71%減まで戻っていますね。年率換算で8.52%です。明らかに需給バランスが改善されています。更に自動車の保有台数は2億5千万台に対し年間1000万台もアメリカでは売れていませんが、いよいよ補助金政策が始まりました。私は遅行統計である機械受注より先行統計の街角景気を優先しますね。株は6ヶ月先を行くのです。


投稿者 kataru : 2009年07月08日 18:18