今日の市況(2009年06月30日)
難しい選択を迫られ市場経済は何処に落ち着くのでしょう。
市場経済の見本の国「米国」では金融機関に公的資金を投入し、驚く事にGMなどの民間企業まで救済しました。日本は何故か分かりませんが、改正産業活力再生法を設け、エルピーダや日航などを救済すると言います。日本郵政の民営化は着々と進み、黒字化に成功しスムーズに運んでいるようですが、元総務大臣の鳩山氏が噛み付き、日本を揺さぶっています。
マスコミは郵政民営化を小泉改革と言っていますが、本質は共産国家か資本主義かの選択です。間違っては困りますが1989年のベルリンの壁崩壊は、社会主義の敗北なのですね。市場主義が効率的な発展を促す考え方と言うのが定着した現象なのです。ところが2005年ごろから2006年に掛けて、行き過ぎた市場原理が暴走し、原油価格が147ドルを付け反省をもたらしたのが、サブプライムから発展したCDS問題なのです。今はその行き過ぎた分の揺り戻しです。
財政投融資を支えているのは、郵貯のお金です。その配分権を民間に委ねるか、官僚などの役人が支配するかの戦いが郵政問題です。失われた時代を経て市場原理に資金配分を委ねようとしたのが郵政民営化です。だから財界は挙って西川さんを応援し麻生総理に圧力を掛けて鳩山さんが切られたのです。しかし改正産業活力再生法は、官の復権です。必要のない制度を作り、自分たちが権力を広げる為に用いました。ダイエーやカネボウと同じです。
その要らない法律を利用し、日本航空に公的支援をするという話しに、全日空の伊藤社長は「国土交通相コメントに関する要望について」という文書を、国交省に提出したと言います。その内容は「航空行政の取り扱いにおいて企業間で公正・公平な競争環境が確保されることを望む」とし、「(日航の)既得権益の見直しについて柔軟な対応をして欲しい」と訴えたそうです。当たり前ですね。フェアな競争が市場原理の原点で、それを自己保全や権力拡大の為に歪めているのですから…。私は坂本社長が好きですが、エルピーダも支援を受けるべきじゃないですね。日本に要らない産業だと日本は言っているのです。
エコ・ブームになっていますが、二酸化炭素の排出量削減の問題は産業界に膨大な経費負担を強いる事になります。今日の日経産業新聞には、日本が鉄を1トン生産するためのエネルギー使用量を100とすれば、アメリカは125であり中国は129だと述べています。効率は日本が断トツですが、この上に更なる負担をかける事になります。鉄鋼大手の研究開発費は4.5%増の1100億円とか…。
雇用をどうやって守るのか?
先日、テレビで島根県の企業誘致の話しを紹介していましたね。県が専属のスタッフを置いて企業の要望を細かく聞き、行政は直ぐに対応するスタイルをとっていました。役所が民間企業レベルの有利な条件を考えているのです。固定資産税や事業税を優遇し雇用を維持してもらえば住民税などで補えるわけですね。どうやって雇用を確保するか?
何処に政策の焦点を持って行くか? 非常に難しい選択ですね。日本が失われた時代を続けて、さらに難しい注文を付けるから企業は海外に逃避します。人件費などを考えれば、日本で無理する必要がないのです。一方、外人投資家もブルドックやフジテレビのような例を見せ付けられ、馬鹿らしくて日本に投資をしようと言う気が起こらないのでしょう。だから株価は20年間も下がり続けるのです。いつまで郵政民営化のような戦いが続くのか?
なんとか、しなければならないと思い真実を伝える為に、株式の話しと共に情報を提供している次第です。株式市場は経済の鏡、真剣に儲けようと思えば、必ず、政策の壁に当たります。グッドウィルが、何故、潰されるのか? 真相は分かりませんが、必要な分野でしたね。介護も派遣も…。何故か揺り戻しが、ずっと行われている。経営の失敗である赤字のツケを、市場が払わされるのです。失敗したら潰せば良いのです。民間の市場原理の論理の中に、役人が口を挟むべきではないでしょう。全日空の伊藤さんの気持ちは痛いほど分かります。苦労してリストラをして経費を削減し頑張っているのに、何故、JALだけが優遇されるのか? 天下りが多いのは分かりますが、こんな事を許したら、フェアな競争精神は失われますね。僕の考え方は間違っているかな?

投稿者 kataru : 2009年06月30日 16:46