今日の市況(2009年06月12日)
NY市場は、心配されていた30年もの国債の入札が順調に消化され、市場には安心感が広がったと言います。このところの円安は、米国の金利高により日米の金利差が拡大したことが要因の一つでもあります。金利平価説ですね。中国を中心としてロシアやブラジルなどがIMF債の購入に動いています。米国債への投資が減り、リファイナンスが上手く行かないのでは?と言う懸念があります。米国への資金還流が上手く行かないと、金利が上がり住宅ローン金利なども上がりますから、景気回復が遅れるとの指摘がありますね。所謂、「悪い金利上昇」と言う見方も存在します。
金利上昇には景気が良くなり消費が活発化してインフレになる「良いインフレ」と、今、懸念されているように金融がだぶついているが、景気は悪化すると言う「悪いインフレ」(スタグフレーション)の二つがあると言われています。私は今の金利上昇は、正常化へのステップだと思っています。金利がある程度上がるのは当たり前だと思っています。原油などの実物への投資も活発する背景には、景気が回復するシナリオがあるわけで、これからは金利上昇と、景気回復の綱引きが繰り返されると考えています。
原油や鉄鋼石などの資源価格が上がれば、積極的に開発を進め借金の多いリオ・ティントのような資源大手の資金難も救われますね。このような企業に資金が回れば、開発が促進され建設機械などの需要が増え、景気を刺激します。要するに、どちらのスピードが行き過ぎるか? そのスピード感の問題だけなのです。基本的に金利上昇は正常な経済のバロメーターなのです。資金を欲する人がいるから、金利が上がるのです。経済が動いているのです。正常な経済は金利が上がり銀行貸し出しが伸びます。この持続的な上昇が経済の成長力に繋がりますね。しかしあまり早い金利上昇は、景気回復の芽を摘むことも事実でしょう。しかし基本的に一番恐いのはデフレで、インフレはそれほど恐いものではありません。

現在はグラフを見て分かるように、リーマンの破綻時を上回る金利水準です。つまり株価も何れリーマン破綻時の株価を上回ることと理解しています。その動きが金融相場の特徴である、銀行・証券・不動産と言うセクターの株にも現れていますね。
一例を申し上げれば、不動産の再販大手のリベレステと言う会社が買った、同業者の売れ残り物件が、2週間で完売したと言います。池袋まで20分の埼京線の駅から歩いて12分の75平米の3LDKのマンション14戸を2600万円から売り出したと言う物件です。建設費だけでも2700万円するという話ですから割安なのでしょう。つまり土地代は無料と言う物件だそうです。
このような事例が存在すると言うことは、行き過ぎた銀行の融資姿勢を物語っていますね。黒字倒産に追い込まれた業者は哀れですが、その原因を作った世界同時金融不況の原因の一つである株式相場が1万円の大台に乗せ、銀行もユトリが生まれ融資枠が広がっています。健全な黒字経営なら、そろそろ資金繰り倒産が消える現象の一つが、この事例から窺えます。その銀行株も急伸しています。株価が戻れば売買も盛んになります。今日はSQで2兆円の売買代金を大きく越えていますが、1兆円スレスレまで落ちていた売買代金は2兆円台にまもなく乗せそうです。多くの証券会社は、4月は赤字ですが5月は黒字転換になり、6月も好調な数字を示していることでしょう。野村證券の株価が急伸しているのも頷ける背景です。証券株は軒並み新高値更新ですね。銀行も同様です。最近では、流石に銀行系証券の力は強く活躍しています。大和証券、野村證券、三菱UFJ証券、みずほ証券、三井住友銀行の傘下になる日興証券と、基本的に銀行・証券は同じ株価の動きをします。
話は変わり、中国の5月の小売売上高は、前年同月比15.2%の上昇だそうです。同時に発表された工業生産高は8.9%増で、驚く事にセーブしている筈の銀行融資は、前月の5918億元を上回り、6645億元と前年同期比25.7%増だそうです。これで中国経済が落ち込むとは考え辛いですね。一部で存在するまもなく公共事業投資のカンフル剤が切れ、成長が鈍化するとの読みは当たるのでしょうか? NHKの朝のニュースでは東西回廊が開通したことを報じていました。アジアには世界の6割以上の人が居り、これから日本の昭和30年代からの高度成長期に突入します。馬鹿馬鹿しい弱気論を信じるかどうか? 冒頭の中国やロシア、ブラジルのIMF債への投資は、還流して途上国に融資されるのです。
こう考えれば、誰が考えても中国や日本の株価が、世界の株価に先駆けて新高値に挑戦しても不思議ではないと言う希望的な観測も描けますね。もともと楽観論者のかたる君、調整を欲している日経平均株価ですが、アナリストなどに楽観論が少ない今は、利食い先行になりやすく、なかなか過熱感は高くならないものですね。しかし何時休んでもいい株価水準ですので、恐い気持ちも同時にあります。


投稿者 kataru : 2009年06月12日 16:39