今日の市況(2009年06月10日)
アメリカではJPモルガン、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックスなどの金融機関が公的資金の返済を認められたと言います。日本の場合は未だに「りそな」などの金融機関は返済できていませんね。なんと米国の金融機関は返済が早いのでしょう。昨年11月が一番きつかったのですね。その当時、IRNETでも盛んにドルLIBORの金利の行方を追っていました。ここで先日から何度も、BBB債と10年もの米国債の利回りのスプレッドの話しをしてきましたね。6%台から4%まで下げていると…。8日現在、BBB債は7.72%で10年国債は3.91%です。なんとスプレッドは3.81%に縮まっています。このような現象は臆病な待機資金が市場に流入することを示しています。

要するに、株を買う資金がジャンジャン流れていると言うことです。世界の中央銀行は金利低下だけでなく、量的緩和の金融政策を積極化していたのです。市場には溢れるお金があるのです。それにも拘らず株価が下げたのは将来に対する不安ですね。今日、発表されている日本の機械受注は相変わらず悪い数字です。内閣府が発表した4月の民間の(船舶電力を除く)機械受注は6888億円と前月に比べ5.4%下落しています。22年ぶりの低水準の数字です。故にみずほ証券の上野さんなどは、まもなく財政出動によるカンフル剤効果は切れ再び景気悪化の奈落の底へ…と述べているのですね。

一部にはジャブジャブの資金供給の為に原油価格などの資源価格が上がり始め、景気悪の物価高になるスタグフレーションを懸念しています。まもなく株価は大きく下がると予測する声が多くあります。しかし現実は…1万円大台をチャレンジする力強い相場が続いています。日経新聞の騰落レシオによる警戒感を煽る報道が適度なガス抜きになり大きく相場が乖離しないために過熱感がないのですね。しかし今日は…過剰流動性相場を予感させる相場つきになっています。今日はお客様に聞かれました?「過剰流動性相場」ってどういう意味ですか? 要するにあり余るお金が行き場を失い大型株中心に株価が上がる相場を言います。小型株なんて10億、20億と株を買えませんね。自分の買いで株価だけが飛んで株を買えません。売り物がある株が上がる相場が過剰流動性相場です。
日本では1986年から始まった相場です。日銀総裁の澄田さんがドル高を懸念するばかりに、金利平価説を採用し低金利状態を長く維持しました。当時は土地神話が生きていました。土地は下がらない。そうして過剰な貸付競争が生まれました。その為に大型株が軒並み暴騰して1000円以下の株価は数えるほどしかなかったのです。売り物がたくさんある株。増資を実施している三井住友銀行は連日の新高値を更新しています。8000億円の株が買えますね。みずほが1円刻みに500万株ほどの売り物が存在します。たかが10億、20億ですが…、ジャブジャブの運用資金を抱えている金融機関が1000億円の運用を始めるとしたら…。
世界の金融機関の臆病な資金が動く目安がBBB債と国債の利鞘推移です。この利鞘が縮小すればリスクマネーが増えている証拠ですね。故にジャブジャブの金融環境ですから過剰流動性相場が始める可能性があるのです。今日はまさにそのような展開に相場は見えますね。私はまだその走りだろうと思います。本格的な上昇相場は一度試練を受ける必要があると思っていますが…、このまま走り続けるシナリオもあるかもしれません。高値を買ってもあまり恐くない。

その様子を先駆している中国株を見ると分かりますね。1-4月期で中国は既に5兆元以上の資金を市場に流しています。30兆元ほどのGDPの国で5兆元ですからね。20%ですよ。大変な金額が市場に流れています。当然、株価は過剰流動性相場になりますね。しかしCPI(消費者物価指数)は1.4%とマイナス推移です。だからスタグフレーションを心配する段階はまだまだですね。故に上海総合株価指数は上がり続けるのでしょう。日本株も中国株のような展開を歩む可能性もあります。しかし恐いな…。こんなシナリオが本当に起こるのだろうか?



投稿者 kataru : 2009年06月10日 17:16