今日の市況(2009年06月08日)
市場では1万円の大台回復に向け掛け声が強かったようです。おりしも円安の方向性で輸出企業中心に値嵩株が買われ日経平均株価が押し上げられました。うれしい事に銀行株が堅調な展開でファイナンス中の三井住友銀行を中心とした銀行、証券などの金融銘柄が高かったですね。広範囲に個人投資家の物色は続き、出遅れ銘柄から低位株と流動性相場を思わせるような力強い動きでした。5月の銀行貸し出し残高は、前年同期比3.3%増と増えています。ただ貸し出し総額が4月の470兆9206億円から468兆894億円に減っているので一概に喜べません。
同時に景気ウォッチャーが内閣府から発表されました。この調査は街角景気と呼ばれ、タクシーの運転手の人などに対するアンケート調査です。詳しくは此方…。
人間の感覚とは的確なもので、ミリ単位以下の違いを区別できるので、このようなアンケート調査は、優れた景気のバロメーターだろうと考えています。非常に重要ですね。ただこの調査でも分かりますが、日本人との言うのは控えめと言うか…後ろ向きの人種のようにも感じます。今回の景気拡大が長かったのですが、2005年、2006年でも良くなっていると言う人は少ないですね。それに引き換え悪くなっていると言う人は多いのです。ただ5月のDIは36.7と、昨年3月の36.9に並ぶ水準になっています。

ここに来て投資信託などへの資金流入は順調のようです。実は野村が募集したハイ・イールド債投信の影響かどうか分かりませんが、先週はノート(10年もの米国債)の利回りが上がったのですが、トリプルB債の利回りは若干、低下しています。その為に両者のスプレッドは縮小しました。この現象は正常な金融市場に近付いており、株式市場にも資金が流れることを暗示しています。日本では出遅れ修正が続き、東証2部や新興市場の株価が急速に値戻しされていますね。兎に角、安いのです。PBRが0.5倍以下で配当をしている企業などは異常な株価ですね。

最近のことですが低位株が賑わっていますね。新興不動産株などは資金繰り不安を抱えており、博打なのでしょうが大幅に上がり続けています。市場では1万円の大台回復が注目されていますが、同時に上記のグラフのようにノートは上がり続けており、景気回復に水をさす動きがあります。弱気筋は必ず「スタグフレーション」を将来、言ってきます。確かに根拠はあるのですが、私は正常化に向けた一つのステップだといつもの様に楽観的に構えています。今までは増資は売りだったのですが…三菱UFJや野村證券の学習効果からか、東芝は高く展開し、三井住友も一度売られましたが、最近は自粛期間中にも拘らず株価は高く推移していますね。これから「ファイナンスは買い」というジンクスに変わると良いのですが…。
この分岐点は前向きな投資かどうかでしょう。
三菱UFJはある意味で理解できます。野村もしょうがありません。東芝は少し納得できませんね。三井住友ある意味で理解します。何れも増資で得た資金を何に使うかが、問われます。単に赤字の穴埋めなら、市場は協力すべきではないでしょうね。あくまでも将来の為になる資金を募集して欲しいものです。今日の新聞記事で目を引いたのは中国が日本のGDPを2009年にも上回ると言う話しでしたね。日本はマイナスで、中国はプラス成長ですからね。簡単に差は縮まってきます。此方は先日の記事ですが、契約社員などを整理した村田は電子部品の受注に対応が遅れ、どうにか雇用を確保した京セラは積極的に受注を獲得していると言う記事を見て面白いものだと思いました

投稿者 kataru : 2009年06月08日 18:08