今日の市況(2009年06月04日)
法人企業統計が財務省から発表されました。日本の製造業は初の赤字だと言います。この統計は1954年から取り始めたのだそうです。下のグラフは10億円以上の企業を中心にグラフを作成しました。考えてみればネットは非常に便利ですね。昔ならこのグラフを作るのも大変で、わざわざ財務省まで出向き資料を集めなくてはなりませんが、今なら家にいて、誰でも簡単に数字が手に入ります。興味のある人は此方のサイトから…(結構面白いです。)

さて今日の相場は、一服、入りました。
上げ続ける筈はなく、休むのも当然なのでしょう。DRAM価格が上昇していると言う読みがあり関連銘柄が上がっていましたね。しかし事情通に言わせれば減産調整の最中に、早くもクリスマス商戦を見込んだ買いが入ったと言います。しかしこの解説はあまりに早く疑問に感じます。トヨタは北米で6月~8月は6万5千台の減産緩和をすると言います。米国の商務省発表の製造業受注額は、前月比0.7%増で3444億4千万ドルと2ヶ月ぶりに増加したそうです。
ファイナンスに絡んだ東芝の売買代金がトップですが、GSユアサの人気が継続し、売買代金は昨日より725億円に膨らんでいます。明電舎も人気上位に顔を出して三菱自動車が人気になる相場の地合いです。昨日、話したように株価の出遅れ修正が続いています。今まで人気の圏外にいた株価の物色が続いています。
日経新聞によれば、鳩山大臣は日本郵政社長人事に関し、西川さんを認めないと言います。不思議なことです。黒字で民営化を成功させている人をやめさせ、赤字の元凶を作った役人の責任を問わない。成功者を痛めつけて失敗者を庇う政策は、社会コストの増大に繋がります。新潟県などが道路財源問題で国が決めた基準に従わないのは、必要の優先度が低いからですね。必要な所にお金を回さず利権温床の部署に予算を配分したので、日本はグローバル競争に負けているのですね。保養所の売却問題で西川さんのやり方が気に入らないのでしょうが、スピードを買えばコストは掛かります。コストを無視した八ツ場ダムや諫早湾の干拓など…。数え上げればキリがありません。この決断が実現すると、なかなか構造転換できない高コスト体質の日本は、どんどんグローバル競争に負け続けますね。
例えばエチレンの話しです。
国内のエチレン(ポリエチレン―使用目的は日用雑貨など…、塩ビモノマー―水道管や建材など…)の生産は年間770万トンあるそうですが、内需分は550万としかありません。他は輸出に回ります。当然、日本で原油は採掘されませんから、輸送コストをかけて原油やナフサを輸入し、これを精製してエチレンを作ります。これでは世界競争に勝てるわけがありませんね。だから三菱ケミカルと旭化成はコンビナートの中核設備を統合し減産します。一方、原油の生産地のサウジなどは、天然ガスからでるエタン成分を燃やしたりして捨てていました。これを活用しエタンからエチレンを作るプロジャクトが動き出しました。住友化学と共同で建設した「ペトロラービグ」と言う世界最大のコンビナートが4月から稼動したのです。今まで捨てていた原料を活用しますから原料価格は日本の1/10とも…1/20とも言われています。その安値製品が市場に流れるとの観測から、先日はアジアのポリエチレンなどの価格が下落していました。グローバル競争とはこういうことですね。日本独自の考え方は世界には通用しません。

国内の三菱化学、三井化学、出光興産、昭和電工、東ソーなど…小さい所は多いですが、これではグローバル競争に勝てる道理がありませんね。経営者もグローバル展開を考え、努力しているかどうか? 赤字を垂れ流し黒字の見込みのない製造を続けるのか? 国内の化学メーカーは、決断を迫られているわけです。日本郵政も同じ構図ですね。右肩上がりの時代は終わり、どうしたら日本は効率のいいお金を使えるかどうか…。成功者を称える世の中にしないと、どんどん日本は疲弊しますね。増資で東芝を助け、イカサマをしたIHIを上場維持させている不公正なシステムを改善しないと若者は努力をしなくなりますね。あくまでも公正に…

投稿者 kataru : 2009年06月04日 19:39