凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

人材の流動化と基礎体力をつけるってこと(2006年10月19日)

このところ人材の流動化が激しい。若手中心に人材の争奪戦となっている。先日、日経新聞に”若年転職、理由は上司”と言う記事があった。それを読んだ感想を今回は書くことにする。

「やりたかったのなら、なんで言わなかったんだ!」
「叱って伸ばすのが、おれの教育方針だ。」
「おまえにやる気があるのかを試したんだ。」。。。。。。。。。。。。
記事によれば25歳以下の転職理由は
①キャリアアップ
②職種や業界を変えたかった
③時間的、精神的なゆとりを求めて
④社風や会社の雰囲気が会わなかった
⑤上司または同僚と会わなかった
とある。
転職の賛否。。。。。。まあ難しいところではある。しかしこうとも思う。だいたい大学を卒業して、確固たる将来の目標など、いったいどれほどの人間が持っているのだろうか?少なくとも私しゃあ~なかった、まったく。ゼロであるゼロ。私の考えていたことは、恥ずかしながら「給料が高くて、楽な仕事ってなんだろうか?」だった。最低である。

時代にもよるが私の場合はリクルーターの積極性が、就職を決めるもっとも大きな要因であった。積極的に勧誘されて、拘束旅行に連れて行かれて、ジ エンド!つまり他人任せってことだ。

百歩ゆづって、自分で「この会社で働きたい!」とおもって就職したとして、たかだか大卒の23~24歳の人生経験の少ない若者が決めた判断が絶対に正しいか?というとそれは疑問。

つまり最初に勤めた仕事が天職であると言う確率は極めて”0”に近いのではないかと言うことである。
私の場合はリクルーターでほとんど決まってしまったので、それが一生自分を賭ける仕事となる。一生勤める会社となる。確率はほんま”0”に近かったのとちゃうかなあ~っと。。。。(転職数回の自己弁護?)

仕事をしてみて初めて「自分はこう言ったことがやりたかった。」っていうのが出てくることもあろう。
仕事をしてみて初めて「なんか違うんだよなあ~」っていうこともでてくるだろう。そして皆転職を意識し始める。私しゃあ~転職大賛成である。

でもちょっと待て!だ。そうは言うても最近の転職はあまりに安易な感じがするから。そらいろいろ自分の可能性を試すことは大切である。でも記事の最初に載っている程度の上司と合わない!程度で転職などしていたら、どこもまともに働くことなどできないのではないか?と。。。

昔の実際の証券系個人営業はほんまにつらかった。詰めは、精神的に打撃を与え、今やれば即訴えられるレベルのものだった。当時はパワハラなんて言葉は皆無。部下がおかしくなる寸前まで詰めて詰めて詰めまくるのが個人営業店の支店長の仕事。で。。。その支店長も部店長会議で役員に詰めまくられ、会議で立たされたり、シカトされる支店長なんかもいたものである。で。。。。当の営業担当役員は役員会で社長に詰め殺されるって。。。。。。TOPに経たない限り、全員が詰めから逃れられない組織であったものだ。でもその社長も昔の伝説的な社長、会長OBから詰められたり。。。。。

それこそ仕事は”滅私奉公”と言われ、自分を滅して企業に奉公するのが当たり前であったのだ。そのために家庭が崩壊するような人も多かったかも。。。。。滅私奉公が言いか悪いかは別として、昔はそれくらい仕事ってのは大変なものなんだって言う気持ちが皆心の中にあったのではないかと思う。仕事。。。辛くてしんどくて当たり前!って。。そう考えると最近の転職動向を考えるとあまりに安易では?って。。。。だって仕事って大変なもので、お金を稼ぐってことは、上司に叱られたなんてことで悩んでたらできないことなのだから。

転職理由の①のキャリアアップ、②の職種や業界を変えたかったはいいとして③の時間的、精神的なゆとりを求めて。。。。若いうちに死ぬほど働かなくていったい、いつ働くんだ?若いうちはキャリアがない分、時間で稼ぐしかないはず、年とったら体力的に時間では稼げないが、キャリアがそれをおぎなうんだから。精神的なゆとり?楽したいって言うだけじゃないの??④の社風や会社の雰囲気が会わなかった。。。。。。それこそ1年や2年で決めることじゃないでしょ。会社の雰囲気なんて経営TOPが変われば変わるもの。そのたびに転職するのか?って⑤の上司または同僚と会わなかった。。。。。上司なんて2~3年で変わるんだから、「これも勉強だ!」って思って頑張れないで、他で成功などできるわけないでしょ。と思うのだが。。。。。

「あなたにはわかりませんよ。」と言うかもしれない。まあそれはそうかもしれない。でも若年転職。。。。。。私は若いうちは仕事の基礎体力をつける期間であると思っている。基礎体力がなけりゃあ~その後30年も40年も働けないと思う。その仕事の基礎体力は嫌な(?)上司や、きつい仕事、きびしいお客さん、成果の思うように上がらない成績。。。。、それにともなう仕事の悩みがつけてくれるものではないのか?それで仕事の基礎体力がついて、キャリアアップも可能となる。

滅私奉公とは言わないが、もう少しガマンってものが必要なのではないだろうか?ってまずは仕事の基礎体力をつけなアカンでしょ。転職何度もしているくせにって言われるのを覚悟で、私しゃあ~そう思うんだが。。。。