凄腕ストラテジスト是山金蔵の

是金レポート

原油と新興市場の意外な関係(2006年10月18日)

新興市場がさえない。短期底入れはしたものの、なかなか本格反騰の兆しが見えないでいる。18日日経15面で楽天の三木谷氏が「今は新興株売られる時期、新潮流出遅れてない。」とコメントしている。今の新興株安は相場の流れが主力株に向かっており、その反動で新興株が安いだけだと。

相場だからそのとき、そのときで流れと言うものがある。流れが新興株に向かえばネットバブルじゃないけれども、PERが数千倍であろうと、赤字であろうとベータ値の高い銘柄はぶっ飛ぶ。だから三木谷氏の言うことにも一理あると感じる。

ただその流れを作ったのがライブドア事件であり、その後の新興企業の決算であることは否定できない事実でもある。流れを変えるには”成長している”と言うことを示す必要がある。それを示せるかどうかが、今後の新興市場の流れを見る上で大切なのである。

しかし中小型株の中には、業績もよくバリュエーションも安いのにもかかわらず、むちゃくちゃ売られまくっている株がある。それはどう考えたらいいのだろうか?それは一言で言えば三木谷氏が言うてはるような”流れ”になると思う。その流れって言うのは「新興株、中小型株は投機的な株式で手が出せない。しかも業績がいいにもかかわらず売られる。これはなにかあるのかもしれない。」と思わせるような市場の流れだ。

こういった流れがあるときはどんないい株式でも売られる。そりゃあ~仕方がないことである。

加えてそういった流れを演出する投資家がいることも見逃せない。それはヘッジファンド。中小型株式を保有しているファンドは多数ある。それは投資信託からヘッジファンドまで。BLOOMBERGをちょこっとたたけば、すぐに大株主リストが見れる。5%ルールをこまめに見ていけば、どこの誰がなんと言う小型株をいくらいくら保有しているかがわかるのである。そしてライブドア事件から始まった、中小型株市場の軟調の流れ。

推測するにそういった大株主情報を収集した短期”小股すくい系”ヘッジファンドが当該株式を海外でレンディングして空売りをかけたのではないかと思う。で。。。。この手の株式は流動性にかける。つまりこういった売りによって暴落するのだ。その結果、小型成長株中心のファンドは大打撃を被る。つまり基準価格がむちゃくちゃ下がるってことになる。

短期ヘッジファンドの売りたたき→ファンドの基準価格下落→投資家不満→解約が大量に出る→保有銘柄の売り→流動性がないために株価暴落→基準価格のよりいっそうの下落→。。。。。。。。。。。。。。。。。。→ヘッジファンドの買戻し

という構図が浮かびあがる。(これはあくまで推測だが。。。。)

仮にそういったオペレーションがあったならば、新興市場の中で理由なき暴落に見舞われた成長株は2階建て、3階建ての下げに見舞われた計算となる。で。。。。。。どうなるのか?仮定が正しければ、もとが成長株であっただけに戻りは急激となる可能性があるはず。(あくまで可能性だが。。。。)

新興市場全体の底上げはまだまだ先だと仮定しても、その中でキラリとひかる成長力をもつ銘柄の仕込み場はすでに到来しているかもしれないと感じる。
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私はそれと同じことが資源でもおきていると感じる。それはアマランス(AMARANTH)とマザーロック(MOTHER ROCK)の事件だ。

あの話のおさらいをすると
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投資手法はマルチストラテジーであった。マルチストラテジーといえば聞こえはいいが日本語に直すと”なんでもありの投資手法”となる。そうなにをやってもええのである。

で、今回はハリケーンロング手法。ハリケーン到来による供給不測を予想して天然ガスを買い増す手法と。「なんじゃあそりゃ?単なる相場観(しかも天気の)で、ハリケーンが来るのとちゃうか?って思いつきで天然ガス買いまくって損したって????」ハリケーンロング手法っていえばなんか緻密な計算のもと魔法のような手段でお金を生み出す投資手法のように聞こえるが、たんなるお天気の予想じゃねえの??

それでたった9月第一週だけで50億ドルも損したって言うのさ。

いったいリスク管理ってど~なんているのだろうか?そら「当ファンドはこうれこれこう言った手法(VaRとか)よって緻密にリスク管理されており仮に相場が急変しても、ファンドが大きな損失を蒙る可能性はありません。過去の相場急変事のストレステストの結果、ブラックマンデー級の暴落でも当ファンドの基準価
格はかなりの安定性を示しておりました。」てなことは書かれているだろうが、結局過去になかったような動きによって大きな損失を蒙ってしまうのが世の常である。

小さく収益を積み重ねるニュートラルやロングショートと比べると、はたして同じヘッジファンドだと言うてもええのだろうか?ヘッジファンドって言う同じカテゴリーで考えてもええのだろうか?ってほんま感じるね。

思うんだけれども、この手のファンドって勝てば官軍なんだね。お金が大量に集まって、それで博打はって仮に暴落ではなく暴騰してりゃあ~50億ドルの儲けって。。。それでパフォーマンスフィー20%で10億円ファンドにはいって、パートナーの年収数百億円ってパターン。博打はって年収数百億円。。。。。
失敗しても損をするのは投資家って構図。そりゃあ~バクチするしかないでしょ、普通は!

しかも損をしたのが今回は「ハリケーンが来ると思ったけど、来なかった。」ってやつ。

私は常々「カリスマ個人投資家ってのはカミカゼ個人投資家って名前にしたほうがええのと違う?」
と思っているが、同様に「こういったリスクをバンバンにとるヘッジファンドって別にヘッジかけてないんだ
から、レバレッジギャンブルファンドとでも言えばいい。」と感じる。

FOFの中には、CTAもグローバルマクロもやらないFOFがある。それはそれらのファンドが”相場観に基づく投機性の高いバクチだから”。

某FOFのCIOに「なんでグローバルマクロやCTAを入れへんねん?」って聞いたときに「アンタそりゃあ~簡単な話や、ありゃあ~バクチですたい!」(無論英語でこう言ったのである。)とのたもうた。。。。。。

ここに書いた話は極論。。。。。そりゃあ~私もわかっとるがね。せやけど、今回の天然ガスによるハリケーンロング手法、巨額損失を見てたら、「やっぱバクチとちゃうの?」って感じてしまうのは普通とちゃうかなあ~
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だいぶん話はそれたが今回アマランス清算のためこれらのポジションをJPモルガンとシタデル
が引き受けた。天然ガスの引き受け価格は当然のスパーディスカウントだ。それによって損失が倍になったくらいだ。で。。。彼らはそれらのポジションを黙って保有し続けるのであろうか?

当然だがそんなアホな話はない。当たり前の話”ヘッジ”をかけるのである。
しかし天然ガス市場ってそんなに大きかったけ?って疑問が。そう天然ガスだけでヘッジなど不可能だと私も思う。

ここからはまたしても推測だが私だったら。。。。。。コリレーションを計測してまず原油を売ってある程度ヘッジをかける。で。。。。。それ以外の資産もマーケットインパクトを考えて分散してヘッジするやろうなあ~

加えて怖いのが数千~1万もあろうかと言う世界のヘッジファンドも同様のことを考えるということ。
「JPさんとシタデルさん、原油でヘッジかけるはずやから、先に売らさせてもらいまっさ。」と。

で。。。結果原油市場中心に資源価格の暴落が始まるのである。これ規模こそ違うが日本の新興市場の暴落とおなじ構図である。

いやあ~怖いね~昔日本でも先物が市場を動かし、尻尾が犬の本体を動かしている”といわれたが、デリバティブによるそういった動きは多々見られるってね。

しかし。。。。。。。。新興市場(一部銘柄郡)も資源価格もそろそろええころとちゃうかなあ~あくまで私の仮定がただしければ、ともにそろそろ底打ちの兆しが見られ始めるのではないかと思うんやがなあ~

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