今日の市況(2013年)(2013年06月17日)
かたる:先頃の日銀の金融政策決定会合の評価は、市場での意見は割れています。カタルは早くから、長期金利の推移を掲げ、ここを焦点としていましたが、市場と言うかメディアの評価は、むしろ為替などに行っており、当初はどちらかと言えば、長期金利の上昇スピードを問題にしていませんでした。今回、日銀は追加政策を見送ったのですが…この行為に失望を表明する人達と、日銀の見送りを評価と言うか容認する人達と、二つのグループがあります。本来は市場が動揺していたのですから、メッセージを送る必要があったのでしょう。故にカタルは黒田さんの真価が試されるとレポートを書きました。しかし正解はどちらか難しいですね。どちらかと言えば、引き分けのような印象を抱いています。早くから申し上げているように、金利水準の1%程度は容認される当たり前の水準で、正常な状態に移行したに過ぎないからです。むしろ問題はこれからなのですね。アベノミクス第一弾で一定の効果があったので、金利が上昇しようやく機能しはじめた訳です。ここからが問題なのです。
土曜日の日経新聞では、一面にリートの購入拡大が、さも決まっているかのような観測記事を掲載されていました。しかしその割に本日の市場の反応は鈍いですね。この可能性は限りなく高いのですが…リート全体の動きを見れば分かるように、この観測記事は、市場では容認されていません。あくまでも日経新聞独自の見解なのでしょう。昨日のコラム「早まる進化のスピード」で触れたように、新聞は真実を報道することもあれば、独自の視点で記事を掲載することもあり、読者は戸惑います。カタルは長く、この見極めが出来ませんでした。おそらく記事の違いにも気付いていない人が多いのでしょう。カタルがケネディクスを、このタイミングで再び推奨し始めた理由は、信用創造機能が復活しないと基本的にアベノミクスは失敗に終わります。実質GDPと名目GDPの違いは未来への希望なのですね。この意味は非常に大切なのです。よく考えてくださいね。

しかしある読者から「ケネディクスの保有資産をみると自己勘定による投資案件は900億ほどでIRRは15%-20%程度、営業利益ベースだと100億程度かと。EPSで、1000-2000。PER10-20として、20000。極めて大雑把ですがこのように計算しました。自己勘定投資以外の事業、保有不動産の価格上昇などを勘案すると現状の株価水準もありかなと思っておりますが、さらに10万やそれ以上というのが考えられません。一時的なオーバーシュートとしてあっても企業価値としてそこまであるのか? かたるさんは、1兆の不動産とおっしゃっておられます。たしかに、私募ファンド5475億とREIT4882億の受託資産を含めれば1兆以上となりますが、REITであればそこから発生する所得は構成員のものだし、私募ファンドも同様で、ケネディクスにはマネジメントのフィーしか入ってこないと認識しています。」とのメールを頂きました。
この疑問は至極当然で、ある程度の知識水準になると気付く問題です。かたるは支配権の話し中心に疑問に応えたつもりです。所詮、お金は紙くずで皆が価値を信じるから金銭的な価値が生まれています。株価もそうですね。カタルのように007を高く評価する人間もいれば、まだ赤字なのでこんなボロ株と評価する人もいます。評価が別れ市場で吟味され価格が決定されています。銀行の自己資本比率は僅かで10%にも届きませんが…多くの人は安心してお金を預けています。三菱地所は会社規模も大きく、自己資本比率も高いですが、それでも多くの資金を外部資金に頼っています。私募ファンドであろうがリートであろうが支配権が問題になるのでしょう。…と解答しました。つまりレバレッジを何処に据えるかの問題ですね。かたるは前から述べています。カタルの思考パターンは常に高効率を求め、果敢にリスクを選択しハイリターンを求めると…。だから不動産業界の中でも他人資本のウェートが高いので、株価変化率が高い企業を選択しているのですね。
潜在的なサスティナブル成長率が高ければ、財務レバレッジを上げた方が企業の成長率は高くなります。ドコモとソフトバンクの違いですね。普通の企業はあのような博打をしません。ボードフォンを買収するために、すべてを借金で賄うようなレベレッジはかけませんね。しかし孫さんは見事に、このハードルをクリアしました。最近では「つながらない携帯電話」と揶揄された状態を改善させ、この浸透度を逆手に取ったCMを行っています。借金返済が進んだために設備投資へのゆとりが生まれたからですね。しかしこれは時代の変化のスピードを読む、微妙な勝負だったのです。つい最近の話です。ソフトバンクの社債の利回りは10%近かったのですね。
少し難しいでしょうかね。つまり営業利益率が、金利水準より高いなら、外部の資金を活用して投資した方が、多くの利益を得られるという事です。本来、名目成長率が実質を上回るなら、借金をする企業は増えて行きます。時代の流れが非常に大切だという事です。時代が追い風になるなら、ハイリスクの銘柄が、最も値上がり率を示すようになります。アベノミクスが成功するなら、ケネディクスが大きく上がるのですね。如何に潜在的な成長率が大切か、分かるかと思います。何度も上場廃止になったダヴィンチの話をしていますが…非常に際どかったのですね。ソフトバンクの孫さんは勝負に勝ったけれど、ダビィンチの金子さんは、時代の流れを見極める勝負に負けたのです。
007の真価は、時代の流れの潮流に乗っていますね。だから次々にスマート・コミュニティー絡みの材料が生まれてきます。気象観測情報「ソラテナ」は非常に幅広い分野で活躍する仕組みです。しかも「IEEE1888」に関する研究は、ビッグデータの処理に関する分野ですね。技術の広がりが実感できると思います。要するに銘柄を選別するうえで企業業績も大切ですが、それ以上に企業業績の「のびしろ」を決める時代の変化の見極めが非常に大切だという事です。だから村田製作のような世界トップの大企業が、町工場に出資したのでしょう。通常、業務提携はあっても資本提携はしません。今はなかなか実感できない宝物ですが…何れ皆さんは馬鹿になって買うようになるでしょう。
さて四季報が発売され、皆さんは「N」と言うカタル銘柄が分かりましたか? 残念ながら四季報の評価は、会社側の予測に届かないものでした。会社側は一株利益がマイナスの126円から69円へと非常に高い変化率を予測していますが、四季報予想は35円と言う常識的な数字を、予想に掲げていましたね。現時点では9か月以上先の数字を予測するのは難しいものがあります。為替水準も変わりますからね。しかし加賀新工場が6月に稼働しはじめ、主力のタッチパネルの出荷が倍増します。4―6月期の変化は乏しいのですが7-9月期の変化は目を見張るものがあるのでしょう。楽しみな会社ですね。今日は四季報予想が悪いのに67円高の1720円と高く推移していますね。
今日は時代変化の話を中心に展開してきました。最近、よく思うのです。時代の変遷が非常に早くなっているように感じます。スマフォなどの機能が、だんだん生活に取り入れられ情報の活用が始まってきましたね。今日のような空模様だと…雨が降るのかどうか、アメダスを見たり、雨雲ズームレーダーを活用したりします。僅かな重さの傘も、行動の阻害要因になりますからね。ユビキタス社会の到来は、進化のスピードをどんどん早めるのでしょう。007は、まさに愛おしい宝物なのです。

投稿者 kataru : 2013年06月17日 10:35