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Take IT Easy!

速いの?広いの?ブロードバンド(2005年04月11日)

「うちもやっとブロードバンドにして、インターネットがすごく速くなったよ」 って言うのをよく耳にしますね。この言葉自体は、全然間違っていないのですが、だがちょっと待ってください。ブロードバンドは、日本語に訳すと「広い帯域幅」。一方、アナログ回線やISDNのナローバンドは、「狭い帯域幅」になります。速い、遅い ではなく、広い、狭いという言葉を使っています。普通に考えたらインターネットがすごく速くなるのだから、スピードバンド、スローバンドと言った方がわかりやすいのになんででしょう。なぜスピードバンドではなくブロードバンドなのでしょう。
ブロードバンドの代表格であるADSLは電話回線網を使った高速通信技術です。ダイアルアップ接続も電話回線網を使った通信技術です。どちらも同じ電話線、つまり銅線を使っています。そして、この電話線の中を流れる電気信号の速度は、ブロードバンドもナローバンドも実は同じなんです。どちらもほぼ光の速度です。
では、速さは同じなのに、速くなったとはどういうことなのでしょう。そう、速くなったというのは、速度が速くなったのではなく、一度に運べるデータの量が多くなって、結果的にインターネットの応答速度が速くなった ということなのです。
東京から大阪に向かって時速100Kmのバイクで行っても、時速100Kmの大型バスで行っても到着時間は同じということに似ています。速度は同じでも、東京から大阪まで、50人の人間を移動させるとしたら、大型バスの方が50倍速いですよね。大型バスの方が、50人の人間を運ぶという仕事が早くなりますね。バイクがナローバンドなら、大型バスがブロードバンドです。

もともと電話線は、高速道路4車線分くらいの幅がある通信用道路なのですが、その道路も、昔は端っこの側道だけしか舗装されていなくて、あとの4車線は車が通れないデコボコの状態だったのです。唯一整備されていた側道を使って、「もしもし...」て電話をしていましたし、ダイアルアップ接続でインターネットもしていました。電話中はインターネットができなくて、インターネット中は電話ができなかったというのは、電話もダイアルアップ接続も同じ側道を使っていたからです。4車線ある道路の、ほんの端っこの狭いところしか使っていなかったので、「狭い帯域幅」つまりナローバンドということになります。

ADSLは、舗装していなかった道路を整備して、車が通れるようにした技術です。最初は1車線だけ。次に2車線目、3車線目、そして4車線目を整備していき、大型バスが同時に4台通れるようにしていったんですね。ADSLが、1.5Mbps、8Mbps、12Mbps、24Mbps、48Mbps と進歩していったのはそういうことなんです。 電話線という道路を広く使えるようにして、一度にたくさんのデータを運べるようにした。それがブロードバンドです。
そして、ADSLは電話で使っている側道を使わず、整備した4車線を使っていますから、インターネット中でも電話ができるというわけです。
冒頭の言葉は、「うちもブロードバンドにして、一度にたくさんのデータが送受信できるようになって、インターネットの応答時間が速くなって仕事が早くできるようになったよ」 ということを短縮して言っているんですね。

デンの今日のTake IT Easy :ブロードバンドは、高速道路の4車線を大型バス4台が時速100Kmで乗客を運ぶこと。ナローバンドは、高速道路の側道をバイクの二人乗りで時速100Kmで走ること。どちらも時速100Kmだけど、運べる人間の数が全然違う。
レイジーの今日のおとぼけ:私は時代に逆行して、おなかの周りをナローバンド化する計画よ。