今日の市況(2011年08月19日)
かたる:昨日の株安の要因として、一般的に言われている米国の景気動向と言うより、金融規制の影響の方が大きいんじゃないのかな? 実体経済は金融経済の支えなくして正常な成長は望めないが、リーマン・ショックは過剰な金融拡大が戒められた現象で、このツケを払っている様子が、GSEの回復度合いに表れている。折角、金融・財政政策を駆使して立ち上がってきた経済が「流動性の罠」に嵌る兆候が、メロン銀行のマイナス金利や昨日の10年債の2%割れなど…。充分に供給されたお金は、未来への失望感で勇気を失い避難している様子が「流動性の罠」だね。日本の低金利はそのデフレ現象で、時間を失っています。既に過度の金融依存はなく、清貧思想により機能不全に陥った金融経済が死んでいるから、実体経済は低迷を余儀なくされています。
米国もオバマ大統領陣営は、名指しでフランスのソシエテジェネラルやドイツ銀行をターゲットに金融検査を表明したとか…。なにやら、検査忌避を問われたUFJが、三菱に吸収させられた過程を思い出させる構図が漂います。過剰な規制は行動を制約させ、資金は凍てつくのですね。だから格下げにも拘らず、ワールドマネーが緊急避難を始め、ブラジルなどから資金逃避が始まっているようです。世界経済が支えた新興市場、BRICsの実体経済は徐々に冷え込んでいるような印象があるから、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の落ち込みが、余計に気にかかるのでしょうね。

時代や:その連銀指数と言うのは…?
かたる:そうだね。かたるの文章を読んで感じる印象は、予備知識がないと、なかなか心情を捉えることが出来ないのだろう。解説によれば…、『ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウエア州の製造業における景況感や経済活動の現状を指数で示したものであり、非農業部門の就業者数、失業率、製造業の平均賃金、個人所得などの11項目から構成されています。各項目ともに1ヶ月前と比較した現状と、6ヶ月後への期待とを、「良い」「同じ」「悪い」の中から選択させ指数化します。フィラデルフィア連銀の管轄地区は比較的ニューヨーク市に近く、大都市の景気動向に影響されやすいと言われています。そのため、個人消費が落ち込むと、製品価格の低下を招き企業収益が低下し、結果的に雇用の調整が必要になるというサイクルから、同指数では特に雇用関係の動向が注目されています。他の州よりも比較的早いタイミングでファラデルフィア地区の雇用情勢に変化が起きる可能性が強いこともあり、雇用関連の先行指標としても重要視されています。また仕入れ価格指数や販売価格指数もインフレ指標として重要です。』
トロ:今日は珍しく弱気な解説だね。
かたる:人間と言う動物は大きくやられると慎重になるよね。パックス・アメリカーナ(Pax Americana)の終焉を連想させるS&Pの格下げから始まっているドル安は、基軸通貨の不信感を誘っているね。米国のバイデン副大統領の中国訪問はその表れかな? 既にベネズエラはドルから資金シフトを始めたと報道されているし…。ドル安を放置すれば基軸通貨の地位を守れないだろう。僕は基軸通貨、故にオバマの輸出企業による雇用確保の構図は絵に描いた餅に見えるね。就任以来続いている経済政策は間違っているのだろう。医療保険制度などの政策の趣旨はよく分かるし、ごもっともだけれど…。金融の世界、金持ち軽視の視線は反感を買うよね。もともと基本的に金持ちは勤勉なんだ。そうして貧乏人は、僕のように怠け者。故に貧乏人の生活が悪くなるのは仕方がないのだよ。所詮、努力をしない種族だもの。それにしても高校野球は面白かったね。あすは青森の光星学院に頑張って欲しいな。僕のように諦めちゃった人間は、超貧乏生活に向かうのだろう。ビールを飲んで昼間から高校野球を見ているわけだからね。ハハハ…。
時代や:最近、ディーリングへの挑戦は諦めちゃったみたいだね。
かたる:どうもサガだね。長年やってきた株や根性が邪魔をして、空売りを悪と決めつけているから、この精神構造が治ればやれると思うが、時間がかかりそうだよ。日立を投げ、DENAを諦めた辺りで…下がる運命だったのだろう。もともと日立から銀行への流れは整合性があり良いアイディアだよね。でも実現はしなかった。東電の原発処理も免責にしなかったし…清貧思想の考え方が色濃く、時代に流れているよ。僕は株屋で、お金なんて紙くずだと思っている。だから生活している人間が豊かになるなら、多少の道徳倫理の歪みは仕方がないと考えているよ。ゆえにライブドアも擁護したし…。今でもホリエモンは収監されたが、「時代の生贄」と考えている自分が居るもの。
小沢一郎もそう考えているよ。みんなは「政治と金」の問題を否定するが、人が動く為にはお金が必要だもの。ある程度の「ゆとり」と言うか「あそび」は必要だと考えているよ。だって当たり前の感覚でしょう。政治家先生にお願いに行き、道が良くなったり、橋が架かったりしたら、お礼に行くよね。「先生、ありがとうございました。」…と言って、お金を渡すよ。このお礼と政治献金の区別は難しいね。
小沢一派は明らかに米国主導の戦後体制からの脱却を狙った面があるのだろう。だから米国派の官僚組織は地検を利用したのだろうね。田中角栄と同じ構図だよ。今から考えれば、田中角栄は良く時代を理解していたのだろう。日中国交回復から日本が真の独立国家として、日米同盟の見直しまで含め真剣に考えてこなかったから、米国の属国として失った時代が経過しているとも言えるね。はたしてメディアの世論をリードする連中が、真剣に日本国の事を考えているかどうか…8月15日に靖国にお参りに行くメディア人は何人居るのかな?
時代や:お前は行ったの?
かたる:僕は毎年、桜に時期にお参りをするくらいかな?でも株価が整合性のない価格まで叩かれている現実を思うと悲しいね。実力があるのに…目覚めない日本人の姿が哀しいよ。この震災はチャンスなんだよ。天が与えたチャンス。それなのに…みんなクレイマーに成り下がっている。一部に頑張る若者がいるが…全体の流れはなかなか変わらないね。
時代や:そんな話より株の行方はどう考えるの?
かたる:メディアの間違った報道が、一時的に動揺を加速させているのだろう。例えば米国の失業率の報道だが、この数字が、これほど株価が下がる要因に見える? 下のグラフは4週平均の申請件数の推移だよ。明らかに一部メディアの放送は、間違っているね。こういう誤解が生んだ結果が、株安なんだろう。DENAへの可能性を、僕はずっと一貫して伝えているね。でも今回ではないと思うよ。株は下がらないと思うが、ここから更にドンドン上値に向かうのは、難しいと考えているよ。おそらく日経225採用前後に、一旦は、動きは止まるだろうね。

時代や:じゃ、いつになったらカタルの考える1万円相場は実現するの?
かたる:現実は一株利益250円の世界だね。だから株価の4000円は高くないよ。むしろ期待感があるから5000円程度でも良いと思うけれど…この相場環境だからね。NGモコというのかな? 米国子会社の業績動向が注目点だろうね。早くて年末、来年になれば方向性は見えるのだろう。この方向性と言うのは業績の変化だよ。250円の利益が400円に膨らむことがハッキリすれば、一気に株価は走り出すだろうね。この環境下で新高値を付けるわけだから、その可能性は高いのだろう。外人ファンドは馬鹿じゃないから、きっと調べているし…裏付けがあるのだろう。NGモコの買収の折に割増金の契約があり、DENAがこの金額を払えば発表があるから、この発表を待って再び買えば良いと思うよ。既にDENAは全世界へ向け布石を打っているね。この点が成長株の素質を秘めている表れだよ。サムソンやAT&Tとの提携もそうだしね。
時代や:成功しているDENAは良いが、他の銘柄はサッパリだよ。ほら昨日紹介した太郎君なんか結構下がったよ。
かたる:本当だね。メディッチの時も感じたけれど…僕が掲げた銘柄にシステム売買を利用する奴がいるんじゃないかな…考え過ぎかな?
時代や:どういう事?
かたる:本来、メディッチも、そんなに売買が増えない銘柄なんだね。100万株も出来ることはない株だったが、コンスタントに出来高が膨らむようになったよ。自動的なプログラムで下がると空売りが上値に入り、見せ玉のような売買が入るみたいだね。逆のケースもあるよ。下値に見せ玉の買い物が入っている。太郎君も最近、そのような玉が散見されるように思うよ。邪魔な連中だ。相場が弱いと…流動性が欠けるので動きが加速される傾向があるよ。最近、乱高下する市場を見ると、どうもこのプログラム売買が市場を混乱させているように感じるね。規制は好きではないが、一度、考慮すべきだろう。
トロ:先日の米国株の乱高下でも、調査委員会が設置され解明していたが、その可能性が指摘されていたね。
かたる:うん。ストップ・ロス・オーダーなどは問題ないだろうが…利用している資金量が多いと、やはり影響を受けるね。所詮、人間の行動なので大幅に下がると、買いじゃないかな?と考えても…実際に下がっている市場を見ると躊躇するからね。プログラム売買に立ち向かうのは人間なんだけれど…その人間は感情でコントロールされるからね。相場は難しいよ。乱高下する要因の経済指標だけれど、冒頭に紹介したフィデラルフィア連銀指数もそうだが、景況感なんだね。実際の売り上げの数字とは違い、人間の感情が数値化されている指標なんだよ。最近、弱い経済統計の多くは、この関連指標だよ。要するに人間の感情だね。
実際の統計値はそんなに悪化してないよ。キャタピラの受注動向も前月比では落ち込んでいるが前年比ではプラス水準だね。要するに最近の現象は連邦債務に揺れる米国政治の混乱がS&Pの格下げを生み、心理を悪化させているだけの話だね。人間の心理はちょっとした言動や現象に大きく左右されるよ。FRBが金融緩和は既に過剰だとも考えても、人々の期待に応えるQE3や、何らかの行動を求めている市場動向だね。要するに市場が政策を催促しているのだろう。市場原理主義とは…市場がこのようになったら、政策を実行する行動を、市場原理主義と言うんだね。
日本の三重野元日銀総裁は株や土地が下がっても実体経済は影響を受けないと豪語して間違った金融政策を実行した。だから入り口で躓いた日本経済は長い失ったトンネルの時代に突入したが…最近、白川さんはようやくその間違いに気づき、昨年の10月からチビチビと資産デフレ対策を実施し始めた。まだ足りないから市場は反応しないんだよ。でもこれも蓄積だからね。コア30が外人売りで下に向かっているが、既に対策は打たれており量の加減だけの話。時間の問題だろう。ラストリゾートの登場を馬鹿にしちゃダメだね。
時代や:ラストリゾートと言う、最後の楽園の日銀の登場だね。でも株価に全然効かないよ。
かたる:時間の問題だと思うよ。世界、特にワールドマネーは流動性の罠だよ。この現象を改善するためにはインフレを見せなくてはならない。ジンバブエ政策だね。所詮、お金は紙くずだよ。だから金だけが高騰しているが…資源価格は生活が困難なほど上昇する可能性があるよ。最後は小麦などの食料品の高騰まで波及する。やがて人々は気付くんだね。ドルや円なんか食えないや…土地があれば作物を植えられ、食料になると…。へたをすりゃ、最後まで行く可能性も視野に入れないと…。
僕は国債なんか…最後は紙くずになると思うよ。むしろ経営基盤の確立されたグローバル企業は責任を果たすだろう。そうして国家と言う概念が薄れ、グローバル企業の概念が高まるかもしれないね。国債より株券が価値を帯びる時代が来るかもしれないよ。ただ日本にそのような経営者が存在すればの話だが…。国家を超える企業か…長くなったね。与太話が…今日はここまでだね。心配はないでしょう。アメリカは市場原理で動く国だからね。日本とは違うよ。

投稿者 kataru : 2011年08月19日 16:33