今日の市況(2011年08月17日)
かたる:巷で言われている経済環境は本当なのでしょうか?
米国景気は二番底に向かい欧州各国の財政赤字は深刻で、デフォルト・リスクを指摘されギリシャを始めイタリア、フランスまでも危ういと言う認識が株式市場には渦巻いています。昨日発表されたドイツの2Qの実質成長率は前期比でわずか0.1%増、欧州全体も0.2%増だと言われ、暗いムードが漂います。ECBは7月に利上げしたばかりなのに…これでは物価より景気の状態の方が心配ですね。
通常の認識は上記のようなものですが、数字は前期比ですからね。前年同期比では欧州全体は0.8%増なので年率換算で3.4%も伸びています。前期比と前年同期比のマジックがありますね。米国の新規住宅着工件数が予想に届かなかったと言いますが、それほど悪い数字に見えませんね。こういう数字はトレンドが大切で細かい数字はどうでも良いのです。下が2005年からのグラフですから…基本的に米国は中古住宅販売件数が主軸なのですね。

日本の預金保険機構が黒字に転換したので、私は完全に日本の銀行は綺麗で政策転換をすべきと述べています。ところが米国は先日、ファニーメイに51億ドルの資金投入を実施しましたね。GSEの資金繰りの苦しく、住宅の不良債権処理が終わってない現実が分かりますね。景気回復のシナリオは金融・財政政策で景気が立ち上がると、需要が増えて供給が滞りますから、企業は機会損失を考え増産に動きます。その為に設備投資が盛んになり、工場が新設され雇用が増え、労働者の可処分所得が増えるので、消費がさらに増えて税収も増えて財政が健全化へ向かいます。経済と言うのはこの繰り返しです。
米国で心配されている現象は住宅ローンの余った分を消費に回す過剰消費が景気を支えている一因と言われてきました。ところが住宅も下がり、ローンの枠がなくなり増し担保や返済を迫られ消費が減退している現象もありますね。所得に対する消費の割合が過剰な融資で膨らんでいたのです。その是正過程だから折角の対策も通常のように効き目が鈍いと言うのが一般論ですね。しかしQE2を実施したのは昨年の11月でその効果は5月ごろから市場に出てくると言われています。
だからここに来ての経済統計値に好転が見込めないので二番底説が生まれたのでしょうが、QE2を終了したのは今年の6月でしょう。量的緩和の拡大効果は年内一杯、続くと見るのが普通でしょう。二番底説は早急な見方の可能性があります。加えてホンダの米国在庫問題は深刻で、この現象に見られるように日本の震災の影響も景気動向にかなり影響を与えたと考えるのが普通です。事実、昨日発表された鉱工業生産指数は自動車・部品部門が5.2%上昇し製造業全体で0.6%の上昇だったのですね。
トロ:相変わらず、強気のカタル君の性格は変わらないね。株屋を辞めた時には空売りを目指すんじゃなかったの? それを早々に主旨替えかい?
かたる:僕が株屋を辞める決意をしたのは昨年の夏だね。でも皮肉なことに日銀は10月から待ちに待った資産デフレ対策に着手した。しかし残念ながら日本国の制度は(金融庁などの政策)は変化が見られない。日経新聞は「規制から振興へ」と報道しているが実際目立った政策は見えないからね。
日本はデフレ先進国で欧米のように不良債権は民間に残ってないね。だからきっと世界中の金融機関の中で一番健全だよね。ようやく、遅まきながら、みずほは海外展開を始めると言う。たった40億円だって…日銀の量的緩和のような、どっちでも良い額だが貴重な一歩を踏み出して収益を重視し始めてきたね。ただ日銀もみずほも本気度からは非常に不満だが正しい行動を始めたよ。既に株価は下がらないよ。
日立と重工の統合は重工の三菱カラーに阻まれたようだが…これでトヨタのカローラは生産移転をすれば日本も新しい一歩を踏み出せるように思うけれども…どっちが正しいのか?僕も分からない。ただ1台売って5%も稼げない商品に固守する努力を別なエネルギーに使った方が良いよね。
時代や:そういう話より株の話は…日経新聞にもようやく以前カタル主張していた意見を掲載しDENAが新高値を更新しているよ。しかしお前もついてないね。鬼ゴムもユニデンもDENAもみんな手がけているのに…肝心な上がる場面でやってないなんて…。何かほかにないの?
かたる:そんなに次々に上がる銘柄が見つかるか?
カタル銘柄は業績の読みが背景になっており、一度上がったらなかなか下がらない筈だね。事実この環境下でも推奨株価から現在株価は大きく上がっており下がってないよ。でも世の中のアナリストが馬鹿なのか…勉強不足なのか知らないが、上がる銘柄が何日も安値で放置されていることが良くあるよ。誰が考えても三菱UFJは安いよ。1Qの決算数字が発表された寄り付きより、大幅に下がっているよ。少なくとも、あの8月1日の初値の406円を早晩クリアして下値もボックスを抜けると思うよ。
もう一度、この数字を噛みしめてほしい。
1Q経常収益1兆457779百万、経常利益は6012億63百万円、四半期純利益が5005億83百万円で一株利益は35円だよ。この数字は1Qの数字だよ。四季報の通期予想は経常収益が4兆5000億円、経常利益が1兆700億円で最終利益は6000億円になっている。既に進捗率だけ取れば83%だね。一株純資産が670円だよ。何故これほどいい会社が僅か360円なの?不思議だね。どんなに市況が悪くとも最低500円だろうね。たしかに欧米の金融株も安く低迷しているが、日本はデフレ先進国でそこから脱出する寸前だからね。正当な評価がされていないと言うことは、つまり市場が死んでいるわけだ。
時代や:でもみんな元気がないね。やはり儲からないからだよね。
かたる:うん。ソフトバンクの株価動向を見ると市場のイメージが分かるね。僕は6月20日の安値で底入れをしたと思ったが…株価波動を見ると完全に中期パターンの調整段階だね。この2500円台で止まると思うが…やはり自然エネルギーの関連投資はマイナスに見られるのかな? まぁ、儲からないビジネスだからね。技術革新が進むかどうか…。

投稿者 kataru : 2011年08月17日 15:10