今日の市況(2011年08月09日)
かたる:僕は7月28日の「今日の市況」で、ドルの威信についてデフォルトの話が出てきたときに、次のように述べているね。「仮に米国がデフォルトを起こすなら、下げはこんなものではないですね。何故なら基軸通貨の国で、市場原理を他国に押し付けている覇権国家のお膝元なので…ドルの信認が薄れます。基軸通貨の根幹を揺るがす問題だから、おそらくNY市場は1万ドルを割れるでしょうし、当然、日経平均株価も大きく下押しますね。久しぶりのドラスティックな下げに見舞われるでしょう。故に、この程度の懸念は仕方ないでしょう。」…と。
結果はデフォルトではなくS&Pの格下げだったけれど…。もし懸念ではなく、現実ならリーマン・ショックより下げは劇的になるのでしょうね。ここで考えてほしいのですが、昨日も述べましたが、世界の最強通貨はやはりドルですよ。問題は軍事力です。最後は力の勝負だから…。それに昨日の金利水準は10年もので2.33%ですし、為替も円・ドルで77円台、米国のドルLIBORの動きは、下のグラフのように、ほとんど影響を受けていません。下げているのは株式だけですね。この理由はやはり意図的な仕掛なんじゃないですかね?

トロ:そんな事はないよ。やはり大きな枠組みが変化するんじゃないの?
強い表現を使って、財政・金融政策について米国を非難し、新たな国際準備通貨を求めた中国の国営新華社通信の評論記事は、見方によっては妥当性があるよ。
かたる:確かに米国は民主党政権になり強いドルの立場から撤退し、ドル安を示唆し貿易黒字を増やそうとする、子狡い考え方がドルの凋落を生み、枠組みの変化を生む結果になっている。僕は何度も嘆いていたが「JAPAN AS NO.1」からプラザ合意を経て「失われた時代」へ向かった日本は失政が続いていたが、そのおかげで時間的な調整が進みデフレ先進国になっているからね。昨年の10月より額はわずかなので効果はないと言うが、日銀は資産デフレ対策を採用しているよ。
昭和40年の証券不況時代に株式の買い取りを、当時の蔵相田中角栄は実施し、その後の立ち直りで膨大な利益を確保したんだね。まだ1兆4000億円でしかないが、日銀は今日も買っていることだろう。ラストリゾートと勝負して勝てる道理がない。市況は弱いが日立はまだ先日、定めた基準価格より上に位置しているね。あの御三家の中で業績の悪いメディッチだけが基準価格より大きく下げているが、日立もロボコンも基準価格より、若干、株価は上に位置しているね。
こう考えると、やはり株と言うのは業績によって決まっていることが分かるね。意外に下げていないのが東レかな? でも業績は良かったのに下げているのが、最近、買っている三菱UFJだね。ただこの下げは分からなくもない。本当にドルの威信が崩れ、米国債利回りが上昇するなら、かなりの打撃を受けるからね。トロが指摘する中国のコメントは、いずれそうなるだろうね。先日、ほらSDRの話をしたじゃない。でも今じゃないと思うよ。
時代や:鬼ゴムこと、桃太郎が上がってきたが…
かたる:僕は二番煎じが通じないと思うね。一度、存在感を市場に示したから、次に来るために少し時間をおかないと駄目だよ。力で買っても相場にならないと思うよ。むしろ相場になってなかった別のストーリーじゃないかな?
例えば、今、最も気になっているのは米中関係の焦点と、先日のIAEの原油放出の話だね。世界景気は心配ないと思うよ。基本的に僕らの住んでいる先進国は低成長路線が続くのだろう。オバマ政権も清貧思想だけれど日本ほど規制強化に動いてない。だから米国は日本より成長力は高いね。日本の場合は徹底的に叩いたからね。米国は基本的に共和党と民主党の対立のような勢力図なんだろう。
時代や:さっぱり見えないよ。一体、どんなタイプを考えているの?
かたる:先ほど新聞を読んでいたら、世界の旋盤シェアでツガミが4位に浮上していたね。ツガミは低価格路線を走り新興国への設備投資に絞ったんだね。戦略を変えれば日本企業はアジアなどの新興国の需要を支え、いくらでも利益は出るよ。でも人口の多いアジア圏が豊かになるとモータリゼーションが起こり自動車が有望なのはわかるが、やはりエネルギーなんじゃないのかな? 年末にかけて再び原油価格150ドルの路線が、話題に上るんじゃないの? インドも成長を早めているし…
今期なのかな? 設備投資計画を見ていたら一位は三菱地所、二位が日立で、三位はJXじゃなかったかな? 僕は賞味期限が延長された太郎君にやはり魅力を感じるね。ここはまだ見えてない読みだからね。今回の世界株同時安の演出は、やはり仕掛けなので何かを仕込むんだね。株だけでなく…。IAEの原油放出で下げなかった原油価格は、ここに来て下げているね。やはり仕掛なんじゃないのかな?
時代や:ところで昨日急落したDENAに、もう関心はないの?
かたる:いや、大いにあるね。この次に新値を切ったら、やはり買いたい株、NO.1だろうね。昨日だったかな? AT&Tとの提携を発表していたね。基本的に米国の子会社戦略は加速しているように感じるよ。1万円目標は不変だよ。僕は調整が必要と言っただけだよ。ここは時間をかけた方が良いね。そうすればここに土台が築けるよ。株価は上昇するには出城を築く必要がある。いきなり天下取りは難しいからね。一つ一つ、前線基地を築いていけば、素人民兵も安心して集まり応援してくれるものだよ。先ほどの桃太郎もそんな段階だろう。やはり一度、世に出ると地固めが必要だよね。僕なんか地固めに失敗して哀れな末路だよ。でも今も宅急便屋さんが来て、友達がブドウを送ってきてくれたね。今度はかみさんも友達だ。最近は友達からのもらい物ばかりだね。何も返せないけれど…トホホ。
トロ:つまりかたるは世界景気の落ち込みはなくてむしろ原油価格などの資源高が続くと思っているわけだね。
かたる:僕が今期の設備投資上位を掲げた理由が分かるかな?基本的に期待インフレ率が高まれば地所などの不動産や銀行なども相場の対象になるし、新興国の需要が高まり重工との統合に失敗したようだが…日立の積極性を評価し、そうなると当然資源開発が加速するJXなども投資の対象になるだろう。どうも分からないのはIAEの先日の動きだね。不発に終わったけれど…仕掛けの意図を感じるわけよ。石油資源開発などの大型物ばかりでは華がないね。だから太郎君に触手が動くんだね。決算数字が気になるが改善基調には違いないだろう。勿論、狙っている飛行機でも良いんだよ。要するに自分がどう考え、どう行動するかの話だけだよね。
メロン銀行のマイナス金利はあまり話題になってないが、米国が流動性の罠に陥っている現象だよ。どうしてかと言えば、QE2の終了が生んだ期待インフレ率の縮小だね。どうやったら国民に、いや全世界の人達に「米国はインフレになり資産価格はあがりますよ。」…とFRBはコメントを出さないとならないね。経済の基本は後ろ向きでなく、前向きな行動だよ。皆が一所懸命に頑張ろうとする心を奮い立たせることだね。中高年の諦めが波及して新人類の「下流の宴」現象じゃ、日本はつぶれてしまうよ。米国もその傾向があるんだね。だからFRBにはドル安を招く流動性の供給ではなく、資産インフレを感じさせる政策が求められている。

投稿者 kataru : 2011年08月09日 15:18