今日の市況(2011年06月15日)
かたる:市場にはいろんな意見がある。ある現象が起きる。
例えば原発事故だね。その評価をどう考えるかにより相場観が大きく異なりますね。僕は原子力賠償法に免責事項があるので、その対象にすべきと言う意見でした。理由は被災者への賠償を円滑に進めること。更に電力料金を上げずに経済環境を整備するためです。故に国家責任にして東電は当事者責任で1兆から2兆円の上限のある当事者責任を追及するべき…と言う意見でしたが、結果は東電をスケープゴート化し全責任を押し付けて、しかも尚且つ、本来、全く責任のない企業まで、責任を押し付けましたね。本来は国家が管理しているのに、管理責任を取りませんでした。自分たちが、散々飲み食いした挙句に代金を払わない無銭飲食です。呆れてものが言えませんが…この政権を選んだのは僕らですから仕方がない。官僚は責任を取るのが嫌だから、ロボット内閣に押し付けたのでしょう。米国では1兆円の有限責任だと言います。
この為に東電の株は揺れ動き下げ続けましたが、ようやく止まったようです。この様子を先日の「今日の市況」で掲げました。9日に出来高が膨らみ、僅かだが買ったと報じています。まぁ直ぐに売ったのですが…。基本的に割引債の価値があるのでしょう。賠償額を計算して時価総額を弾けば、時間をかければ株価は戻りますから、計算できますね。ゼロクーポンの債券です。こんなスキームなら、僕は上場廃止にすべきだと思うのですが、仕方がない。「りそな」と同じようなものでしょう。
トロ:東電は復興銘柄から、外したんだから、もう良いんじゃないの?
かたる:うん。ひょっとすれば、あの株価466円程度の…ものかも知れないね。まぁ、東電はどうでも良いが、要するに選択によって相場観は変わると言う事なんだよ。今日は別な話で…日経新聞の解説も5面掲載と重視してないのだが…。僕には、昨日の日銀政策会議の5000億円の新貸出枠の創設は大きな材料だと思うんだね。昔、日銀の政策の中には公定歩合操作などと並び、窓口指導と言うものがあったんだよね。日銀が銀行の役員に対し市場調査をして「お宅の銀行の貸し出しは伸びていませんね。」…と暗に銀行融資を増やしなさいと言う指導だね。丁度、柔道の試合の指導に似ているね。
時代や:回りくどいな。一体、何が言いたいの?
かたる:最初に東電の話をしたのも、同じことなんだよ。つまり政策の解釈が問題になる訳。最近、市場関係者も日銀は頼りないと思っており、大したことが出来ないと思っているようだけれど、デフレからの脱却はインフレを抑えるより楽なんだね。日銀がジャンジャン市場にお金を投じれば良いわけで、無限にお金はあるから、インフラ期待が生まれれば企業は内部資金を投資に向けるよ。
今の企業は先行き不安から、必要以上の現預金を抱え、手元流動性は67兆円もあると言うからね。時価総額は285兆円なのに67兆もお金があるんだね。可笑しいね。ここに日銀はメスを入れ始めたのが、昨年の10月。あの時、僕はすごい事だと…今日の市況で初めて日銀が資産デフレを認めて、資産デフレ対策を講じたから株価は上がると述べたが、実際に反応したのは1か月後だったね。
トロ:でもたった5千億だよ。
かたる:でも担保にならないような知的財産権や売掛債権などを考えているようだね。本来の融資業務は銀行の支店長が一所懸命に頑張っている企業努力に賭ける融資を行っていたが、いつしか不動産担保が主流になり、それが否定されたのがバブル崩壊だね。今度は日銀が本来の融資を始めなさいと、自ら危険資産に踏み込んだ新枠の融資だよね。
日本の銀行は既に仮死状態で動いていないが、この金融政策が切っ掛けになって、変化するかもしれないよ。これは非常に大きな材料だね。ところが市場関係者は盲目だね。みんな何を感じているのだろう? 本物の投資家がきっと居なくなったんだね。
時代や:自分だけ気付いたような言い方だね。気に食わない。でもそれで何が上がるの?
かたる:うん。銀行の三菱UFJは純資産が600円もあり、一株利益が40円なのに371円だよ。明らかにおかしいね。それで今日買ってみたが…全然動かないから、投げちゃった。確実に上がるんだけれど、日本人は先を見る目も、リスクを冒すやつもいなくなったね。あほらしいな。世界中はインフレ懸念なのに、日本だけがデフレからの脱却を政策にしており緩和政策を継続しているのに…、市場が反応しないのがおかしいね。きっと時間差で現象が現れるよ。
トロ:つまり、かたるは日本が変化していると感じているんだね。
かたる:うん、日立が変われば日本が変わると…言っているよ。今日の新聞を読んでいたら、中国自動車販売の5月は、トヨタは35%減だったけれど、日産は15%増だったんだ。その理由はトップダウンで売れない日本の自動車向けのマイコンを、売れる市場の中国で使ったんだそうだね。経営力とは、こういう事なんだね。トヨタは最近の円高を政府責任にしているが、今年はトヨタがカローラの生産を海外に移動するかもしれないね。
トロ:カタルはいつも強気の話しかしないが…カローラが移管されれば貿易黒字は減り、原発も止まっているから、原油などの輸入費高騰から赤字幅が膨らむんじゃないの?それに中国のCPIは5.5%と予想通りだと言うが、預金準備率を0.5%引き上げ既に21.5%にもなっているね。やはり減速リスクはあるよ。
かたる:中国リスクを否定はしない。しかし日銀の政策効果を馬鹿にしては駄目だよ。日立の四季報の今期予想は、一株利益が64円だと言う。会社情報は55円になっているね。でも両社とも売り上げの伸びを、全く見てないね。コマツはあの時、売り上げが増えたんだよ。日立は海外売り上げを増やすと述べており、人材評価も一元化すると言う。いきなり赤字から過去最高利益の達成は、そうあるものじゃないからね。一番惹かれるのはこの変化率だよ。ひょっとすれば、本当に変身するかもしれないよ。日銀の政策を馬鹿にしちゃダメだよ。新融資枠の意味を市場関係者はよく考えた方が良い。窓口指導の復活だね。
4-6月期に赤字が想定されるのに四季報は強気だね。64円評価か…でも実際、本当に構造改革が進んでいる可能性があるから、この程度の数字は達成可能かもしれない。でも一番は社内改革によりグループ全体が生き返っているように感じるね。コマツが人気になれたのは中国経済が加速したことだね。あれは2003年だったかな? あの辺りから中国の開発が盛んになるが…実はそろそろ、インドがあの中国の成長起点に到達する時期なんだね。つまり日立の売り上げが大きく伸びるかもしれないよ。目先は復興需要。中期でインドの社会資本整備だ。
トロ:連日にわたり、上げもしない株の推奨かご苦労様ですね。まぁ、変な仕手系株より良いが…面白くないよ。何か面白いアイディアはないの?
かたる:日銀の政策絡みを馬鹿にしては駄目。そのデフレからの脱却のメインは、絶対に三菱UFJになるよ。日立、重工と言うラインから三菱UFjか…。まだ早すぎるが…何れは陽の目を見るだろう。


投稿者 kataru : 2011年06月15日 15:42