今日の市況(2012年)(2012年08月29日)
かたる:米国の6月の住宅価格が1年9か月ぶりにプラス圏に上昇したと言います。S&Pが統計を取っているケース・シラー住宅価格指数の話です。小さなグラフで見難いかもしれませんが、際どい所に位置していることが分かりますね。(グラフの出所は此方です。)今の米国の状態を示しています。先日、掲げた消費は資産価格の上下によりかなり影響を受けますが、基本的に生活用品の消費水準はある水準から下がりません。人間が生活をするからですね。だから景気の上下に食品や薬品などは影響を受けにくく、デフェンシブ・ストックと呼ばれ、景気低迷時には株価が他に比べ堅調に見えるのです。近年、日本企業はピジョンのように、ユニクロだってそうですが、海外進出を図り世界競争に挑み始めました。逆に景気が良くなると…基本的に資産価格が上昇すると生活にゆとりが生じ、消費が伸び耐久消費財などが売れ始めます。洗濯機、冷蔵庫、テレビなどは、毎年は替え買えませんからね。車もそうです。まして家などは高価なので、一生に一度、買うかどうか…の決断をします。基本的に資産価格は緩やかな上昇が好ましいのです。

ところが…ケース・シラー指数の動きを見れば分かりますが、2000年頃から金融デリバティブが開発され始め、2003年を過ぎると金融デリバティブ万能論が生まれます。CDSの誕生によりリスクを分散できるようになった為に、サブプライムローンなど様々な金融商品が開発され、お金が2倍にも3倍にも積極的に動くようになりました。この咎めが天文学的に急拡大したCDS残高であり、一部の金融機関の破たんが切っ掛けになり、保険機能が不健全だと判明したのですね。これが金融危機の実態です。AIGは保証料を受け取っていた為に多額の損失を受けることになりました。ヘッジ機能が働かないことが判明したために連鎖倒産が広がり、政府がその信用分を肩代わりしました。どうにか…信用崩壊を止めているように見えています。実際はまだ完全にこの落ち込みの修復は出来ていないから、いくら金融緩和をしても「流動性の罠」の現象が起こり、日本化現象が世界中で生まれています。先日、GSEの再建計画を早めたのは良い報道でしたね。りそなやあおぞら銀行は、未だに1989年のバブル処理に苦しんでいるのです。それは資産価格が低迷したままだからですね。資産デフレは深刻な問題なのです。
日銀がリートを買うと、リートを発行している不動産運用会社にお金が集まりますから、どんどん収益還元法に見合った不動産投資を増やす事が出来ます。つまり需要が増えますから資産価格が上昇するのですね。不動産価格が上がると、やがて5%もの利回りを確保するのが難しくなります。太陽光発電の採算ラインが日経新聞に載っていましたが、借地料金が上昇しているとの事ですね。この政策も基本的に資産デフレを止めることに繋がっています。要するに、眠っているお金を動かす事が必要なのです。資産価格が上がり始めると…人間は欲の動物ですから、本来、リスクを取ろうとしますね。1985年に民営化されたNTTが1987年2月に上場され、バブルに火がつきました。一部で批判はあったのです。高すぎる放出価格は問題視されました。政策官僚の責任は大きいですね。その目先的な成果の為に、日本の資産形成が歪みました。そりゃ、財務省は一時的に売却代金の収入で潤いましたが…世論を煽った行動は犯罪ですね。日銀の澄田さんをIRNETでは度々、登場させ批判していますが、何も日銀総裁だけの罪ではなかったのです。
今もそうですね。自民党政権は日本の失政の反省の欠片もありません。問責決議などを採択するのは選挙民を愚弄しています。日本人はもう少し賢くならねばなりません。一度、政権のチャンスを与えたのですから…4年程度は、何故、我慢が出来ないのでしょう。野田政権は僅か1年ですよ。1年で解決できることは知れています。今までの所、原発処理を間違う菅政権のような選択ミスをしてないと思います。消費税の問題は分かりませんからね。一般論では増税は可処分所得を減らすのでマイナスですが…金余りの現在、段階的に引き上がる税率のおかげで駆け込み需要が正常な経済運営の切っ掛けになるかもしれません。つまり先ほど、説明したように日銀はリートを買い入れているわけで、下準備は出来ていますから、消費税の引き上げが需要の切っ掛けになる起爆剤となりエンジンに火が付くかもしれないのです。1987年のNTTの上場と同じような効果があるかもしれませんね。やってみなくては分からないのです。
本日の1万社起業支援の話は良い話ですね。無駄な公共事業投資より、ずっとすそ野を広げる良い経済効果が生まれるでしょう。何より意欲がある人が活動しやすくなりますね。日本の金融機関は保守的でノウハウもありませんから…。どうせムダ金を使っているのですから金融機能を補う政策は良い政策です。最近は官僚が本気になっているようにも感じます。先日の国家戦略会議の100兆円需要の話しから、経済財政白書のイノベーションの話し…ようやく、かたるの考えていた方向性が生まれ始めていますが…まだ点ですね。点を線にして、やがて面となる潮流を生み出さないと株式は大きく上がりません。でも最近は下値が限られ、空売りしてもそう儲からなくなっている筈です。上がりはしませんが下がりもしない…需給バランスが均等化しているのですね。こんな時にラストリゾートは威力を発揮します。伊藤園は自己株を消却していますね。流石に、一流セールスだった本庄さんの会社です。最近は米国に力を入れているようですね。日本茶は素晴らしい飲み物です。彼は自動車販売で超人的な販売記録を持っていましたね。時代はグローバルですね。
グローバルと言えば…先日、カタルが述べたソフトバンクの次なる挑戦の話ですが…高すぎる携帯料金の比較が日経新聞に掲載されていましたね。間もなくLTE投資が峠を迎える筈で…ソフトバンクは世界価格に挑戦すべきですね。韓国企業の2093円に挑戦すべきでしょう。日本は6687円だそうです。僕が漠然と感じて電力料金程度に抑えるのが当たり前だと述べましたが…、いくら設備投資負担が重いと言っても世界価格とかけ離れているようでは、コメと一緒ですね。孫さんはこのグローバル価格に挑戦せねばなりません。これを成し遂げれば一流経済人の仲間入りとなりますね。ドコモなどの日本村社会から脱皮し、日本を変える為に挑戦は続けねばなりません。一流のセールスは何をやらしても大概はこなせるものです。それほどセールスは素晴らしいノウハウが必要な職業なのでしょう。僕は怠け者で…なかなか意欲が生まれませんが、モチベーションをどうやって高めるかは永遠の課題ですね。

投稿者 kataru : 2012年08月29日 10:23