今日の市況(2012年)(2012年08月28日)
かたる:今日はあまり解説することもない相場ですね。市場の焦点はドラギの空手形に対するドイツの対応とFRBの姿勢です。米国は「財政の崖」と言う減税停止と強制的な支出削減が、折角、回復途上の経済活動に水を差すと言う場面に差し掛かっています。しかし財政処置の削減が実際の数字を押し下げる影響と財政の健全化の効果と、どちらに市場が反応するか難しい問題です。市場は常に色んな見解があり、実際に事が起きてからの反応を見ないと分かりませんね。本当にバーナンキ議長の言うように財政の崖が米国経済に深刻な影響を与えるのかどうか…難しい問題です。
日本は需要不足という事でバブル崩壊後、積極的な財政出動をしてきました。しかし景気の急激な落ち込みを防ぐ効果しかなく、むしろ財政出動により構造転換を遅らせた為に調整が長引きました。時間的な延命処置と言うか…坂道を転がる角度を変えた効果しかなかったのです。この劇的な構造転換を、時間をかけて行ったツケが、現在の財政赤字と構造的に膨らむ予算規模ですね。プライマリー・バランスの精神など何処かに飛んでいます。株式市場は半年先の経済を表していると言いますが、新高値を更新する米国経済はQE3が実施されなくても大丈夫のように感じますね。むしろマイナス金利に陥っているシステム的な不安感を取り除くことが必要に感じられます。夢を与え、自信を与えないと正常なお金の流れに戻りませんね。金融機関の機能回復が問題なのでしょう。
今日は大阪チタンが欧州危機の影響で需要予測を下方修正しました。この記事を見た瞬間に株価に影響を与えると思いましたが…同時に貿易統計の疑問を感じました。下のグラフはチタンの輸出動向を示したものです。(貿易統計より)実際の統計値は伸びているのに…これからだんだん悪くなるのでしょうか? 石油価格はそんなに下がっておらず、プラント向けの需要が大きく落ちるとは考え辛いと考えていましたから、大阪チタンの需要予測に違和感を覚えています。

今日の日経新聞は内需買いの外需売り、生活用品の確実な需要と景気敏感株の売りが鮮明になっていると言いますが、ピジョンが好業績を発表しているのに株価が大きく下がっている所を見れば、この発想が既に市場に織り込まれているのでしょうね。市場で人気になっているシャープは材料株としての評価でしかなく短命なのでしょう。株価が大きく上がるためには、先ずは確りした業績の変化がなくてはならず、更に未来に対する夢がないと相場になりません。シャープは大切な業績面の行く末も見えませんからね。とてもまともに買える環境ではありませんね。同じくあおぞら銀行が上がっていますが、需給不安が消えたためと思われますが…双日は僕らを騙しましたね。期間利益で返済すると言っていたのに…10年も先の話を持ち出すようじゃ…仕方ないですね。りそなと同じであおぞら銀行もバブルの処理が出来ないでいますね。本当は倒産処理すべきだったのでしょね。JALと同じ形で…再生を図るべきだったのでしょう。資産価格の下落を期間利益で埋めるのは逆風下では大変なことですね。10年、20年、いや30年掛かっても処理が済まないのですね。
金融危機の影響を早急に解決するためには、資産価格の上昇が一番ですね。日本のような清貧思想のやり方の処理では人生は終わってしまいます。資産価格がバブルの最高価格まで戻れば、全ての問題は解決します。スペインの不良債権もそうですね。需要に見合わない理屈が付かない価格を付けたことが問題なのです。しかし今は収益還元法価格まで日本の地価は下がっています。だから日銀はやはりもっと大胆に行動を起こすべきなのでしょう。
世界的に電子部品などの在庫が発生していると言います。欧州危機の影響が広がっているのでしょう。その割にTDKなどは下げませんね。この解釈は難しいですね。ドラギの空手形の効果は長く続かずに、ドイツが強硬姿勢を貫いている間はユーロは弱いのでしょうが…もともとドイツにとって、今の弱いユーロは好環境ですね。ドイツは日本と同じで自動車の輸出大国です。ユーロが弱まることは自動車の競争力が上がり歓迎です。ギリシャが見直しを求め、スペインからイタリアまで白旗を掲げ、フランスは大統領まで変わりました。つまりユーロを維持する強硬策の清貧思想は長続きしないという事でしょう。更なるユーロの劣化に、ドラギは追い込まれるのでしょうね。丁度、最初の穴をふさぐのに失敗して堤防が壊れ始めているように感じています。米国も同じような状態なのですね。世界中が同じイメージです。
選択と結果、市場は、常にこの間を揺れています。どれも真剣に考えると二面性があります。財政の崖もそうですし、足元の経済は常に流動的に動いています。そろそろ始まるのでしょうか? 9月のQE3に向けての演出が…。もしそうならば…間もなく劇的な下げを演じるのでしょう。2週間程度下げ、2週間程度揺れ、回復する。そんなイメージを未だに描いています。果たして、その通りの展開になるのでしょうか?

投稿者 kataru : 2012年08月28日 11:40