今日の市況(2012年)(2012年08月23日)
かたる:いよいよバカンスシーズンが終わり、つかの間の欧州危機の小康状態も、再びドラギの空手形が確かめられるはずで、早くも指数売買のトレーダーは先物の売りポジションに変化するのでしょう。TDKやエレクトロンは目先的な天井を付けたようにも見えます。基本的に株式相場は、個別企業の要因と市場全体の指数による影響を受けるわけで、最近は売買高が少ないために、指数売買が減ったとはいえ、やはり市場のテクニカル要因により株価が変動することが多いですね。
ただ確実に何度も述べていますが、下値には湯水のように湧く無限の需要が控えており、どんなショック安も時間をかければこなす株価水準になってきましたね。はやり1%以下の金利と3%の配当利回りでは、益利回りの考え方が生きて来るのでしょう。2%の鞘は裁定的な考えが十分通用する領域なのでしょう。加えて日銀のETFの買い付けは額は少ないですが、ラストリゾート呼ばれるように無限のお金がある訳で…株式の発行株数は決まっていますから需給バランスは時間の問題で改善される訳です。
市場経済は基本的に小さな政府で放任主義の考え方です。しかし民主党のオバマ大統領はグリーン・ニューデール政策を実施しメーカーに投資しています。ソリンドラは米エネルギー省から53500万ドルの融資を受け工場を新設しましたが破たんしましたね。成功例のGMは今の所、目算通りに進んでおらずに株価は低迷しています。自動車産業はどちらかと言えば好環境だったにも拘わらず…この有様です。1500億ドルを投じて500万人の雇用を創設する筈だった政策の検証はどうなったのでしょう。大統領選は見ものですね。日本は税金投入ではなく利用者負担で再生エネルギー法案を通しました。太陽光を42円で買い取るという事で投資が起こっているようです。参入企業は次々に現れていますからね。メーカーに直接、政府が税金投入して投資するより賢い政策かな?と考えています。
この政策のおかげでソフトバンクも株式市場では象徴的な存在として買われたわけです。ソフトバンクは総務省の応援もありプラチナバンドの割り当てを受けて設備投資にも着手しています。背景には2兆円を超える買収資金の返済が順調で繰り上げで償却しているので財政面で余裕が生まれているためですね。昨日WBSを観ていたら被災者の高校生たちに米国短期留学を経験させている企画をソフトバンクが提供したとか…最近は人材教育に力を入れている様で孫さんらしい取り組みです。当分、他のメーカーに携帯電話を変えることはできませんね。しかし僕は携帯3社のメーカーは本当の競争をしているのか?疑問を感じています。どちらかと言えば孫さんも日本村の「規制の虜」の仲間入りするのでは…と危惧していますね。どう考えても携帯電話料金は高すぎます。やはり電力料金並みに家族で1万円以下に抑えるのが筋でしょう。これから使えるお金が増えますから彼の行動が見ものです。

さて今の疑問はFRBがこの環境下でさらなる金融緩和QE3を実施できるのか?と言う疑問ですね。株価は高値を付けています。しかし実態景気は明確な回復ではなく、ぬかるんでいる状態かな?GSEの再建計画が早められたように中古住宅販売も回復傾向が続いているようです。日本はどちらかと言えば徐々に変化させている感覚です。確かに間違いではないし方向性も正しいと思いますが…潮流になっていませんね。いつまでもチョロチョロ流れる小川の印象ですね。春のうららかなイメージですよ。やはり株屋ですね。どうしても株価が上がるインパクトを求めたがるのです。だからFRBのQE3を期待するわけですね。
やはり演出される可能性が高いと思うのですね。9月は…12日ですから早いから10月だと23日ですね。米国の大統領選は11月6日でしたよね。演出効果を考えるとすれば、やはり9月ですよね。10月では時間がなさすぎますね。討論会は終わっています。こう考えると、そろそろ米国株は下げ始める筈ですね。イスラエルがイランを攻撃するのか?なにが起こっても不思議ではない時期になっています。ただ何度も言うように日本株は大きく下げませんね。その理由は先ほど益利回りと日銀のETFなどで解説しています。日本は株式持ち合い解消に20年以上かけて消化したのです。新日鉄の三村さんの時代錯誤の考え方が政治家の中にも残っているらしく、昨日の大機小機には「経済の歴史認識を誤るな」となっていましたね。昔は僕のような証券マンが多くおり、政治家に直接セールスしていたのですね。だから経済界の空気が自然と政治家にも伝わったのです。しかし株の取引をしていると疑わしい目で見られたり…官僚も株取引が禁止になったり…馬鹿な規制をするものだから…現場の空気が政策官僚に伝わらないのでしょう。清貧思想の大きな誤りですね。倹約が悪いとは言っていませんが、清貧思想は貧乏を美化する言葉ですね。貧乏は基本的に人間をいやしいものに育てます。ひがみ根性を養う環境ですよ。上を向いて皆が豊かになればいいのに…下を向くデフレ社会は貧困精神そのものです。日銀券の価値を重んじる気持ちは分かります。しかし…自殺者やうつ病患者の推移をみれば…どう考えても清貧思想は行き過ぎですね。
まぁ、現場は劣化していましたが…今日のニュースの「パートの時給、引上げ」の話は、夜明け前が一番暗いという島崎藤村の作品を思い出します。昔の作品ですから著作権が切れているのでしょう。インターネットでも読めるようです。青空文庫は此方です。「夜明け前」と言う明治維新を舞台とした島崎藤村の父親をモデルにした小説だそうです。僕は読んだことはありませんが、むかし先輩が「カタル君、夜明け前が一番暗い、夜が明けない事はないよ。必ず陽はまた昇るんだ。」とよく話してくれました。カタル君は今、山登りに魅了されており先日は槍ヶ岳に行ってきましたが、明日は日本一の富士山に行く予定です。明日と、ひょっとすれば、土曜日もお休みいただくかもしれません。ごめんね。

投稿者 kataru : 2012年08月23日 10:15