今日の市況(2012年08月07日)
かたる:相変わらず市場参加者が乏しい展開で、市場には躍動感が感じられませんね。しかし個人に人気の高いソフトバンクが高値圏に戻っており、好業績の銘柄は何とか株価を保っています。何故、これほどPERが低い状態に置かれているのでしょう。米国はジョンソン・アンド・ジョンソンを見れば分かりますがPER21倍です。益利回りの概念は生きており、配当が高ければ株価は下がりません。ところが日本は安定的に高収益が望める企業もPBR1倍を割っておりPERは10倍以下の会社が多いですね。勿論、配当利回りも米国株に劣るわけではありません。
常識的な考え方をする人が、長い株価低迷で市場から居なくなったのでしょう。だいたい証券会社に株を薦めるセールスが居なくなりました。投資信託を販売する営業員だけと言う有様ですね。市場原理を否定する日本村社会の構造の一旦は、清貧思想を好む日本の風土にあります。仲間意識です。今でもつるんで昼飯を食い、夜は上司の悪口を魚に一杯やるサラリーマンも多いでしょう。若者はマニュアル重視で考えることをしませんね。世界競争に敗れるのが道理の教育です。維新の会の橋下市長が、教育改革に乗り出す意味が良く分かります。日教組に文部省、どうにもならない権力構造は、時間の流れで絶対的な世代交代の時期を迎えます。日教組あがりの輿石さんが、幹事長の座についていることがある意味で日本の姿を象徴しているのでしょう。
市場は正しいのでしょうか?
アダムスミスによれば神の「見えざる手」により市場価格はある水準で落ち着き真の姿を表すそうですが、シャープの株価は何処まで下がるのでしょう。出資の価格問題が起こり選択を間違ったのかどうか…リストラするにはその対策費用が必要になります。ルネサスも苦しみましたね。傷が浅いうちに改革を実施すればよかったのでしょうが、先送りした結果、最後の最後まで追い込まれて実施を意義なくされました。今回の時代の変遷を顧みれば、このような結果が多いですね。一時的な対応で売り上げが再び伸びると言うことはないですね。景気循環と言う考え方より構造展開を迫られているのですね。だから難しい。
名目GDPが伸びる成長期は、景気循環の考え方が通用します。しかし今回は名目GDPが横這いから減少ですから、一旦落ちた売り上げは海外に奪われ、なかなか戻ってこないのです。だから体力が残っているうちに大規模なリストラを余儀なくされます。まだ体力があるパナソニックやソニーは不要な人員を抱え、どう戦略を練るのでしょう。この生き地獄に位置しているのが日本板硝子です。同業の旭硝子は黒字を維持しているのに、何故、赤字が継続するのでしょう。2006年に行ったピルキントンの買収は、今の所、生みの苦しみを味わっているように見えます。株価が50円台になってきましたね。買収と買収される側で立場は違いますが、シャープを連想するのは何故でしょう。

キャノンは欧州危機の影響を大きく受ける筈で株価は大きく下げましたが、自社株買いを実施しており会社側の主張が市場に伝わっています。今、人気のソフトバンクがやはりそうでしたね。あの時は自社株買いの後で株価は下げましたが、今はその株価を上回っています。SNS関連で自社株買いを実施しているのはDENAです。基本的に需給バランスで株価は決まりますから、浮動株を吸い上げれば、何れ業績が回復した時に大きく株価は反発することになります。今は状況が見えませんから、買うにしても打診程度で、本格的に買う訳に行きませんが、状況が変化した時はチャンスになりますね。
先ほど紹介した旭硝子など…何故、500円の株価を割れるのでしょう。配当は26円を実施しており株価は479円です。純資産価格は760円ですね。通常、常識的な市場経済信者の経営陣なら自社株買いを実施し、次に起こるM&Aに備える手を打つもの経営の能力だと思われますが、この手の経営者が日本には多いですね。株価をあまり意識しません。サラリーマン経営者の為でしょうか?

仮に世界景気が回復して行くと…想像して貴方ならどちらを選択しますか?
旭硝子を買うか?それとも板ガラスを買うか?デフレ時代の選択は明らかに旭硝子に歩がありますが、もし名目成長率に主眼を置く政策が実施されれば…変化率は板ガラスに歩がありますね。丁度、三菱UFJとみずほの選択に似ています。
時代背景により選択の対象が変わるのです。僕らはいつも名目の世界で生活をしています。今日はピーマンが安かった。長ネギは高いね。でも玉ねぎは安いよ。とか…昨日はイカが安く手間はかかりますが、皮をむいてさっと茹でて、わさび醤油で食べました。安くておいしいですね。僕らはいつも名目の世界で生きているのです。フランスの猛攻を防いだ「なでしこ」はワクワク感やひやひや感を与えてくれます。PKの時はもうだめかと思ったけれど…株も駄目かと思った時が買い場になることが良くありますね。躍動感の感じられないつまらない相場に見えますが、見所は満載されています。自分で焦点を絞って市場を眺めれば、「見えざる手」の行く手が見えてくるかもしれませんね。

投稿者 kataru : 2012年08月07日 11:07