今日の市況(2012年06月29日)
かたる:新興国の株価を比べてみると分かりますが、世界の金融市場は清貧思想と言うか、縮小時期に入っているのですね。関連のグラフの代表としてBRICsのブラジルと上海市場の株価を掲載します。拡大と縮小は繰り返し波があるようです。日本の場合は1989年より金融縮小を続けています。この原因は様々ですが土地本位制の崩壊と言うシステム転換が一番大きな要因だと考えています。一人あたりのGDPが増え続けると豊かな生活を求め消費が増え続けます。


衣食住を満たす人間の欲望は基本的に無限の広がりを持ちますね。先ずは生きる為に食を求め、次に防寒対策から衣料が好まれ、最後は住居の確保になります。家電用品や自動車などはGDPの高い水準になると必然的に好まれていきます。人間が贅沢になると必然的に肉食が増え、故に飼料の需要が増えます。ただ暑さや寒さをしのぐための衣料なら新聞紙でもポリ袋でも可能でしょうが、だんだん高価なアクセサリー付きの美的な芸術性が追及され、有名なデザイナーの洋服は数十万円から数百万まで…どんどん人間の欲望はエスカレートします。
車も同じですね。ただ走るだけの乗り物なら100万円を欠ける水準から手に入り、1000万円級の高級車になれば乗り心地や安全性などの環境が整備され、更に数千万円の車まであります。住宅は寝るだけの3畳一間の狭い空間からスタートし、だんだん人間らしい生活の100平米を超える空間を要求し、さらに住宅環境から住民の所得水準などを含め、学校や病院などの生活環境から治安まで、どんどん要求はエスカレートします。極めつけは季節に応じた移住である別荘地が求められるようになります。旧軽井沢の一等地は余程の経済環境にならないと、なかなか売り物も出てきません。
現在は金融縮小期で、日本が世界のトップを走り米国が続き、欧州に波及しています。「米格付け会社ムーディーズは21日、クレディ・スイス、モルガン・スタンレーなど15社の格付けを引き下げた。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行(CB)の邦銀3行は従来の格付けAa3-A1を維持。この結果、15社のうち邦銀と同等以上の格付けを持つ金融機関数は11から2に激減した。」と報じられています。具体的にCDSのスプレッドが掲げられており興味のある方は此方の関連報道のサイトをご覧になると良いでしょう。
おそらく日本の消費税は引き上げられ、実質成長率と名目成長率の関係が併記されているので、やはり政策転換されると考えても良いのでしょう。新しい時代のプロローグが始まったのかもしれません。世界中の株式の利回りが国債金利を上回り逆転現象が生じています。やはり昨年末の世界の中央銀行の結束は大きな流れの転換点なのでしょう。この動きは欧州危機などの流れを受けたものですが、丁度、金融縮小と世界の中央銀行の綱引きが始まっているのでしょう。人為的な金融縮小は金融危機の原因である金融デリバティブの拡大の反省を受けたもので、BIS規制やバーゼル3、ボルガー・ルールなど…の流れになっていましたが、ここに来てギリシャの選挙からフランスのオランド大統領誕生と成長路線に再び傾斜し始めています。市場への影響度から言えば微々たる話ですが1200億ユーロの財政出動に合意したようです。しかしドイツは依然反対しています。さらに否定発言もありますがWSJはドイツのショイブレ財務相はユーロの債務を共有化する用意があると報道されていますね。本当かな? 誤報の可能性もあります。
市場原理からすれば、3月からの調整は追加の政策を求めるもので、この時期に追加策がとられれば株価は昨年の中央銀行の協調姿勢から転換したことになりますね。私の推測は11月に米国の大統領選なので9月前後にFRBは、再び何らかの追加金融緩和のアクションを起こすと言う予測ですね。つまり微妙な反発場面を迎えると予想しているのです。ここに来ての日本株の堅調さは日銀のETFによる浮動株の吸い上げ効果が表れているように感じています。6月に入り信託銀行系列から年金資金の買いが需給を支えたようです。通常ならこの程度の買いで相場は反応しませんが、僅かな買いに対し強くなっている市場を見ると本来は下げても良い場面なのに…ようやく色んな環境が整備されてきたようにも感じています。ここで日銀のETFの買い入れ枠の増大などの追加の資産デフレ対策が行われれば、一気に政策転換の機運が広がり相場が堅調になるのですが…どうかな?果たして消費税法案の通過が転機になるかどうか。
最後に007の続報です。決算説明会を聴きました。悪くないのですがインパクトに欠けますね。やはり業績の具体的な計画を上回る伸びがないと株価的に評価されないと思われます。知らない何かが隠されていれば別ですが、株主総会の説明会を聴く限り株価は騰がるでしょうが、期待される展開には程遠いと感じています。でも非常に魅力はありますね。ネットワークを結びソフト技術を有しており、依然、注目度は非常に高いのですね。特にIOT(INTERNET of THINGS)に関する話しは興味深いものでした。スマート社会の重用なパーツは情報ですからね。何が飛び出すか分からない魅力は上場企業の中で飛びぬけています。今日は時間がありますからビスタの追加情報をあとで更新します。

投稿者 kataru : 2012年06月29日 10:10