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比較優位と空洞化(2013年04月06日)
「マネタリーベースと株価」(2012年10月27日)の株式教室でしたが…、読み直して頂けましたでしょうか? クロトン効果は…過去の事例で示せば1972年に起こった現象より変化率は高いのでしょうか? 計算してみないと分かりませんが、感覚的には2年で2倍ですから、前年同期比という事は…ピーク時は50%程度になるのでしょうね。この時期は来年の今頃です。つまり昨年10月から何回かに分けて書いた「ベースマネーと株価」の関係のレポートの仮説が正しいなら、その後も株高は続きますから…、2017年頃まで上昇相場は伸びることになりますね。まぁ、日銀次第の話ですが…この関係だけを考えると、バラ色相場がやってきたという事になります。
さて先進国のこのような量的緩和政策は、どのようなバランスを世界経済に与えるか?
カタルが述べている「先進国への回帰現象」が起こると考えているのです。このイメージを理解するためには、1772年に生まれたイギリスの経済学者、リカードが提唱した「比較生産費説」と言う主張を解説せねばなりません。別名「比較優位」と言う考え方ですね。彼は恵まれず初等教育だけしか受けておらず、その後、株の仲買人を経て財産を築き、現役を引退したのです。実践的な場で儲けて、財を成した本物の学者と言えるでしょう。日本のような官僚上がりの偽物学者とは違いますね。比較優位はポルトガルのワインとイギリスの毛織物の生産効率を比較し、どちらに生産拠点を設ければ、より効率的に生産性を高められるかを検証した考え方です。
簡単に考えればファブレス企業を示しています。アップルをイメージして下さい。アップルは自前の生産設備を持たずに、生産を台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)に委託しています。何故か?と言えば、彼らに任せた方が自前で作るより、より効率的で安く作れるわけですね。ホンハイは中国でアイフォーンを生産しましたね。そうしてアップルを通じて、世界で販売しています。それは電力料金や賃金などの生産資材を考慮して、世界中から一番、効率的に生産が出来る場所を探し、輸送費なども考慮し、中国が選ばれたのでしょう。自動車と同じで生産拠点など条件がそろっているからと言っても簡単に移せません。携帯電話を作る為に必要な部品などを現地で調達できるバックボーンがあるかどうか…も、重要な判断基準になります。従業員の教育水準や向上心などの資質も重要な要素で、それらの条件を国際比較して世界中で一番効率的な生産基地を探し、ホンハイは中国を選び生産したのでしょう。
何故、日本は失われた時代に浸かっていたのか?
主な原因は資産デフレなのですが…日本独自の終身雇用や年功序列など…様々な制度が日本独自の価格体系を作っており、その仕組みがベルリンの壁崩壊により東西冷戦の終焉を迎え、構造的な破壊が起こりました。パラダイムショックと言う現象です。世界の枠組みが大きく変わったのに…尊王攘夷を主張している日本のソニーやトヨタとファブレスに走ったアップルの違いは歴然としていますね。「ものづくり大国」などと言う幻想を作ったメディアの罪過は大きいですね。新日鉄から歴代の経団連会長が生まれる時代ではないのです。
日本の製品価格の是正は東西冷戦の終焉から進み、ニトリやユニクロなどの企業を育てました。仕組みを理解すると、買う銘柄は自ずと決まる訳ですね。つまり世の中の仕組みの変化に気付き、その仕組みを理解すれば、上がる銘柄は既に決まっているのです。だから何度も上がる銘柄など…既に決まっているとカタルは、本文で述べています。問題は時間の壁だけなのです。ただ最近は、この時間軸の精度も上がってきているかもしれませんね。最近ではケネデックスの推奨は、抜群のタイミングでした。昨年秋のJ・TECもそうですね。これは少しズレたかな? 007はマズマズだと自負しています。ただグリーは…大きく外れていますね。今の所…、業績の時間軸が見えてないようです。
さて、話を戻しましょう。「比較優位と空洞化」これは当然の現象ですね。グローバル化になり、何も日本で作らずとも良いわけです。自動車が家電に比べ有利なのは…自前の販売網の存在が大きく、1台当たりの単価が高い為に充分な在庫を準備できないので、新規販売の参入障壁が高いからでしょう。さらに現地生産化が昔から進んでいます。これらの影響で、家電に比べ優位に立っていますが、僕の目から見れば、自動車製造の本体であるトヨタよりデンソウですね。つまり内部の心臓部を作る部品産業の方が、効率は良いのでしょう。組み立てなどは、ハッキリ言って斜陽産業です。ファナックのNC装置をイメージすると良いですね。最後はカーナビがコントロールする重要な産業になるかもしれませんね。それともスマフォが代用するのでしょうか? まぁ、そんな想像がどうでも良いのですが…要するに、空洞化も限界が、自ずとあります。
そんな考えの中で新聞を眺めていたら、法政の渡部教授の「比較優位と空洞化」の日経夕刊の3月26日の記事がヒントになっています。中国では生産人口が一人あたりのGDP1万ドルに達しないうちに、低下すると言う記事ですね。日本は1990年代初頭に2万5千ドルがピークでした。中国の成長は、更に固定資本形成により成り立っています。つまり社会資本整備と言う道路や鉄道などの建設需要により、成長が加速されていたわけです。しかしだんだん、そのGDP比率は当然ながら下がってきますね。既に住宅価格は先進国より高い水準まで持ち上げられています。更に先進国の量的緩和により、エンゲル係数は上がりますね。エンゲル係数は中学生で習うのかな? 要するに所得に対する食費の割合ですね。可処分所得の動向が重要で、もらった給料の中で、食費に対する比率が高い家は貧乏なのです。可処分所得が低い年金生活者はエンゲル係数も高いのです。まるで今の我が家です。トホホ…。銀座のクラブが恋しいね。すきやばし次郎のあの親父さんは、まだ生きているのでしょうか?
まぁ、兎も角、文化的な生活水準になると、オペラの鑑賞に行けるようになります。ところがチケット1枚が1か月の食費にあたるなんて思うと…文化的な生活は出来ませんね。金持ちは仲間がいないのですね。同じレベルの水準の仲間が、周りに居ないのです。ちょっと泳ぎに、週末はカリブ海へ行こうか…と自家用ジェットを飛ばし、カリブの海でスキューバダイビングを…と、できない訳です。日本ぐらいですね。資格取得とか…○○教室が流行っている国は…。馬鹿らしい話しです。プロを雇えば、一から指導してくれます。まずは30分程プールで…アクアラングの扱い方の講習を受け直ぐに海に潜ります。安全か、どうかの判断は自己責任ですね。国がいちいち面倒を見る事はないですね。何故、日本人は政府の頼るのでしょう。もっと米国共和党のティーパティーの考え方を、普及させないとなりませんね。NHKさん頑張ってくださいね。あまり教育しすぎるとNHKの存在も怪しくなりますが…。兎も角、イワシ民族をグローバル時代に対応できるように、教育しないとなりません。その為には、先ずは官僚の株取引を推奨する事です。
僕なんか…自慢ではありませんが、失敗続きで「買えば下がる」の連続でした。何故?何故?これは祟りか…と思い、お伊勢参りに行ったほどです。残念ながら、お布施が少なかったのか…神様には僕の声は届かず、現在に至る訳ですが…。それこそトホホの世界の連続ですね。しかしようやく時代が回ってきましたね。量的緩和はお金の流れを変えます。これまで比較優位から市場開放したBRICsなどの新興国に、お金の流れは向かっていましたが、今度は先進国への揺り戻しですね。何しろ、新興国は中国の事例のように、生産人口がピークを迎え、固定資本形成のマジックも通用しなくなりますね。米国はシェールガス効果も、TPP効果もあり、益々富める国になりますね。新成長戦略は何か? エンゲル係数を支える産業ではなく、付加価値ですね。先進国の人達の教育水準は高く、豊かになると文化を求めるのです。永遠の生命を求め、有意義な時間を求めます。分かりますかね? 究極の付加価値は「快楽」なのですね。文化は奥が深く…知識は楽しいのです。株の仕組みを知れば、知るほど嵌りますよ。僕のような3流人間まで、虜になります。
カタルのページは「本質」を解説したいと考えています。少しリカードの比較優位などは難しいかもしれませんが、皆さんは中学生レベルの計算はできるわけですから…、このような考え方は理解できますね。素人は熟練工には所詮、敵いませんね。彼らが1時間で出来る仕事を、素人は1日、中には1週間もかかる人が居るでしょう。つまり効率という事は仕事が出来て、なんぼ…なのですね。かたるは次期戦略銘柄を、最近、決めました。ケネデックスに続く銘柄になるでしょう。実は「比較優位と空洞化」の解説は、その考え方を理解するために必要な考え方で…その準備作業でもあります。まだまだ尽きぬ007の魅力は、皆さんに充分に伝わっていないようです。最近開発したテクニカル分析は、間もなく2段上げを、支持しているように見えますね。明日はこの分析をしてみようかな?
最後に読者からメールを頂き、僕もざっと見ましたが…偽物かな?…とも思う武者さんも良い事を述べています。実践家と理論家は「天と地」の差があります。恐怖心などの、心の壁は、なかなか越えられません。僕は他人の解説など、聴いたことはないのですが…読者からのメールとなると…一応、目を通さないとなりません。武者さんの意見は、ある意味で正論です。皆さんも時間があれば、聞かれればいいでしょう。僕の考え方と共通している部分が、かなりあるようです。マークさんありがとう。ビデオは21分30秒過ぎからの出演のようです。此方です。