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ベースマネーと株価(2012年10月27日)

実はこの原稿は何度か書き直しているのですね。途中で嫌になり、昼寝をしたりして1日がかりの作品です。でもうまく書けるかどうか…。このアイディアの切っ掛けは、日銀の資産買い入れ基金の話で、基本的に市場にお金の量が増えれば、経済は活性化してお金は動き、景気が良くなるとの基本認識がありますが…、「日本化現象」とは、いくら金融緩和を実施してもお金が動かない現象で、金融政策とは相反する「流動性の罠」と呼ばれる現象も存在しています。米国は日本の「失敗の轍」を踏まないように、日本を反面教師としてFRBは金融緩和策を実施しています。その現象が昨日示したように、世界各国のマネタリーベースの違いになって現れており、円高が生まれている原因とも考えられるのです。

逆説的に日本の失敗が世界を救っているとも言えます。日本は「流動性の罠」から「日本化現象」が起こり、日銀は仕方なしに危険資産であるETFやリートの購入に動いているのです。ほんの僅かですが…ある意味で画期的な行為と言うは、本来なら絶対にしないこのような行動まで日銀は追い込まれているのでしょう。何も日銀だけが悪いわけではなく、この背景はUFJの強引な不良債権認定により、三菱との合併を画策した金融庁の指導なども背景にあります。兎に角、複合的に生まれた日本化現象なのです。原因の一つは日本人の性格でもあり、清貧思想にもその責任の一端があります。その話は兎も角…。

日経新聞の観測記事の10兆円増額で合計90兆円に増やす資産買い入れ基金の話です。でもその大半は国債の購入なのですよ。米国と同じです。米国は住宅金利引き下げる為に住宅担保証券の買い入れを実施し、住宅購入を促しています。銀行に利益を与える為に、短期国債の償還金を長期国債の買い入れに充て、デュレーションを考慮し金融機関を支援しているのですね。兎も角、量的な金融緩和は金融機関に利益を与えるためでもあります。

しかしそんな事は口が裂けても言えませんから、公の口実としては金利水準を下げて経済を刺激するため…と述べています。しかし僕の解釈は金融機関にお金をくれているのです。こうやって失われた信用創造を取り戻そうと努力しているのです。信用創造とはリスクを取るように促す事です。人類は進歩するためには危険を冒すのですね。宇宙飛行士のガガーリンが居たから、米国は月面を目指し宇宙競争が加速したのです。死を覚悟して危険を冒す事が進歩に繋がるのですね。同じことなのです。

本日の日経新聞に、大手都市銀行が株式の評価損を5000億円計上するとの報道がありましたが、この現象は日銀の努力不足でもあるのです。昨日、批判しましたね。相場によりETFの購入を止めていると…。危険資産を買ってまで、信用創造を図ることの意義を忘れているからですね。その結果が都銀の株式評価損です。隠れていますが、同じ連鎖が起こっているのですよ。年金資産にも…当然同じことが起こります。そうすると労働者は汗水流して働いた対価を、株式の評価損に充てざる得ないのですね。馬鹿なことを永遠とやっているからデフレが進んでいるのです。論理的に株式が割高なら仕方がありませんが…世界標準で見ても既に割安なのですね。このように結果が伴わない金融政策をやっているから、マスターベーションとかの批判を日銀は受けるのです。他人が評価して…実際に実質ではなく名目GDPが成長して、初めて世間は日銀は素晴らしいと評価するのですね。

さて本題です。
昨日、調べたら僕が株で儲けた時期は…、マネタリーベースが大きく増えていたのですね。なるほど…そこで過去のデータを調べる為に、二つのアイテムを用意しました。一つはマネタリーベースの量と前年比のグラフですね。もう一つは日経平均株価の期間の長いもの…探すのが大変だったのです。そうしてグラフは対数表示にしました。その方が、実感が沸くと思ったのです。そのグラフが下のグラフです。日銀のホームページは青がお金の量でそら色が前年比です。色も変えられますが手間を省きました。どうでしょう。昨日示したようにAの地点では田中角栄の列島改造論に浮かれ大きくお金の量が増えています。Bではプラザ合意後の円高に対処するために長い期間、流動性を供給し続け貸し出し競争を煽ったのですね。Cの地点では既に株価を見てもバブルは鎮静化しているのに…「資産価格が下がっても経済に影響はない」と日銀総裁ともあろう人が…間違った認識の下で金融引き締めをやっている様子が窺えます。Dの地点は同時多発テロからの急激な景気の冷え込みに対する対処から起こったミニバブルの過剰流動性相場の部分ですね。この頃は欧米の金融機関は元気でした。その為にその後、トレンドを外れてマネタリーベースが大きく伸びています。

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Eの段階では今度は逆にバブル(1989年)の反省が働き、過剰流動性を過剰の警戒した様子が分かります。基本的にマイナスにするという事が間違っていますね。だから再びデフレ経済に陥ったのですね。僕らは名目の世界で生きており、明日は良くなるという希望を抱いて生活をしているのです。だからお金の量は、最低5%程度は増やし続けるのが妥当な政策なのでしょう。そうすれば自然にお金の量は減って行くのですね。2006年の金融政策は大きな間違いです。お金の量、そのものが横ばいではなく大きく減っていますね。これじゃ…僕だけでなく、誰もが失敗の人生を歩みます。

最後にFですが…欧州危機を支援する名目と長年の「失われた時代」の失政を、日銀は問い詰められ、金融危機と重なり、ついに包括的な金融緩和、つまり危険資産を含めた買い入れまで追い込まれるのですね。この原因はEの地点でバブル(1980年代後半)の再来を恐れた為に、過剰反応したツケに追い込まれ、危険資産を買うと言う所まで追い込まれている様子が分かりますね。自ら蒔いた種を刈っている様子です。でも今年3月、4月と…また慌てて引き締めていますね。この行動は問題ですね。第二、第三の小手川君が生まれるような時代背景にしないと、なかなかデフレを脱却できませんよ。付け加えて言えば2003年当時とは違い欧米の金融機関は力がなく、まだまだ信用創造は出来ません。経済力が弱くなれば…中国に馬鹿にされ尖閣の問題が浮上し、韓国にまで馬鹿にされているのが現状ですよ。国家の力とは軍事力と経済力です。人間社会の根底は、腕力とお金を持っているかどうかで、競争社会の序列が決まります。哀しいけれど…知識レベルではありませんね。環境により序列は変わりますが…、どの世界に主眼を置くかは、人間それぞれの価値観ですが…。

此処ではトレンドが重要のようなのです。要するに…マネタリーベースの傾向線を引き、大きく乖離させれば、株価などの資産価格は上がるのですね。金融力を高めるためには…年金問題もそうですが信用力の創造が必要なのですね。白川さんがこのレポートを見ていればいいのですが…。何故、日本村社会構造が維持されたのか?二重価格制度が生まれ、日本だけが高度成長を実現できたのか?よくその背景を考えれば分かります。株式持ち合いにより競争を避けましたが…誰も買いたくもないバブル状態まで信用創造していたのですね。土地は上がるものだという土地神話を植え付け、土地担保融資を実現させて、信用創造して経済活動の裏付けを作り、その力を研究開発等に充て日本の加工貿易が成り立ったのです。だから年功序列や終身雇用が維持できたのですね。その陰の根底を支えるのは土地や株の資産価格だったのです。

それを…竹下や宮沢などの官僚の小者が、経済活動も理解せずに、正論を述べるから…確かに彼らの言い分も一理あるのですが…やはり間違っていたのですよ。お金など紙くずなのです。信用創造とは…裏付けなどはなくても、多くの人が信じればいいのですね。ドルをみなさい。紙くずですよ。でも軍事力があり、時々ベトナムやイラクなどの馬鹿な実効支配をし、そうして反省をする。日本のような事例も作り、ドルの価値を守っているのですね。信用創造などと言う仕組みは…面白ものですね。簡単なんですよ。日本を立て直すのは…。

でも今は長いデフレにより、二重価格制度も全ての仕組みがグローバル基準以下になっています。株価を見ると…日本企業なのに英語を標準化するようなアホな会社が出てきていますから、明らかに行き過ぎていますね。日本国民が日本を捨てるのです。グローバル化の名の下に…株価を見れば、みんな純資産以下になっています。どうなっているのでしょう。間違いなくこの現象は修正されますね。その時期だけが問題なのです。Eの時点で日銀はBの反省をまた行い、Cと同じ間違いをしています。だから今度は大丈夫でしょう。日銀マンは一応レベルが高い人種の筈です。ベースマネーだけで全てを語ろうとは思っていませんが…それぞれ説明はつきます。何故、私が間もなく、大相場が始まると考えているかという…背景もご理解いただけると思います。基本は需給バランスなのです。

明日はそれぞれの期間を、もっと細分化してトレンド分析を交え考えてみます。