今日の市況(2012年08月06日)
かたる:市場は「ドラギの空手形」より米国の株高を選んだようです。しかし雇用統計の中身はそんなに良いものではありませんね。むしろ「財政の崖」の懸念の方が勝ると思われますが、財政の崖も基本的に人為的な主義主張の問題で、市場が財政問題を認めれば赤字の拡大は継続されます。要するに清貧思想の考え方の問題です。日本の場合はドンドン安全・安心を求め自由な空気を潰してきました。故に「日本化現象」が至る所で起こっているわけです。日本化現象のデフレ圧力は金融庁のUFJつぶし辺りに端を発しています。もともと不良債権認定は難しい考え方の問題です。事実、双日はMSCBと言う詐欺行為同然の手法を用いて危機を乗り切りました。ダイエーやカネボウの後の姿を見れば、どちらの処理が正しかったのでしょう。この背景には「規制の虜」と言う、官と民の権力争いが在ったのは容易に想像できますね。長く読んでいただいている読者にとってカタルの表現は難しくはないと思いますが、初心者には「ドラギの空手形」「財政の崖」「日本化現象」「規制の虜」など言葉の表現は、意味の奥が深くご理解いただけないかもしれません。しかし無理に調べなくても長く読んでいただければ、みんな理解できるし、将来の生活にもカタルの考え方は役立つと思っています。
今の市場の焦点は欧州景気、FRBのQE3の行方、日本の戦略再生会議などが焦点になっており、欧州や米国に比べ日本は大変恵まれています。何故か? 理由は明白です。米国発の金融危機の被害が軽かったのです。それは皮肉にもカタルが批判している日本化現象が金融界を救ったのですね。米国発の金融危機の形は少し違いますが、1989年に崩壊した日本のバブル経済と同じ仕組みです。基本は行き過ぎた金融機能が暴走したために資産価格と現実の社会感覚が離れすぎました。その乖離、つまり開きを調整しているわけです。その為に不動産などの資産価格は下がり、金融機関はその損失を埋めています。この調整は時間がかかります。まだ「BIS規制」「バーゼル3」「ボルガールール」と言う金融機関を縛るルールが厳格に実行されていません。日本は20年以上も時間をかけて危険資産を減らし、貸出債権から持ち合い株式まで、整理を実行し綺麗になっています。多少、難があるとすれば金融危機のセイフティー・ネットとして用いられた中小企業金融円滑法、例の亀井静香が古典的な時代錯誤の為に用いた手法の融資が焦げ付いています。しかし既に戦略再生会議でこの処理を持ち込みましたから、後に繋げることが出来ますね。
専門的かな?よく新聞を精査して読んでいればカタルの意見はご納得頂けると思います。その為にS&Pやムーディーズなどの格付け会社の邦銀の評価は、相対的に欧米金融機関が下がったので高くなったのですね。目先の三菱UFJなどの四半期決算数字はモルガンの処理などの膿と言うか、損失を計上していますから悪く見えますよ。しかし国債の利益を計上し良く見えるみずほよりずっと優れていますね。利益を隠しているのです。ゆとりが見えますね。株価はみずほが公募価格の130円を上回り、三菱は公募価格の428円を下回っていますが、いずれ修正されます。分かりますかね? 現在の株価に比較し将来の株価とのプレミアムは三菱にあるのですね。みずほは株価に「あそび」がありませんが、三菱UFJは50円ほど株価に「あそび」があると考えていいのです。
経済の要は金融から始まります。何故なら現物交換の経済は非効率です。僅かな重さのダイヤモンドや金を買うために山のような米や小麦粉を持って行き交換は出来ませんね。だから貨幣制度が発達しました。この貨幣制度の価値はドルが基準になっていますね。人類はドンドン金融機能を発展させ、金融デリバティブと言う分野を開発しましたね。難しい数式を用いたリスク分散を考え出したのです。その仕組みの一つがCDSと言う貸出債権に対する保険ですね。保険をかければ大きな貸し出しもリスクを減らす事が出来ます。行き過ぎた金融デリバティブが生んだ悲劇が、今回の金融危機です。単にサブプライムローンと言う、貸してはならない生活弱者向けの融資問題ではなかったのですね。最初に表面化したのがサブプライムローンでしたが…カタルは今回の金融危機を当初、読み間違っていました。まさかCDSの残高が天文学的な数字まで広がっているとは、現場にいない為に分からなかったのです。新聞では報道されませんでした。問題が起こって初めて新聞の活字になったわけです。
つい最近もあの信用されていたJPモルガンが多額の損失を計上しました。勝者の奢りでしょう。確かに中央銀行の共同介入と言う、前代見たことがない処置により世界景気は持ち直そうとしていますが、負の遺産処理は、まだまだなのですね。GSEの存在が指標になるでしょう。この時間的な概念が日本の失敗から学ばずに行った金融取引により多額の損失を生みました。多少のゆとりがあるからリスクを冒す空気がJPモルガンに在ったのでしょう。この表面化した事故は、ある意味で金融界は、かなり立ち直っていると言う証明です。しかし金融の世界はシーソーゲームと同じで、傾く瞬間を捉えるのがベストとされます。理屈が正しいとか…正義の問題ではなく、最後のひと乗りがベストなのです。丁度、敗戦が確定していた日本へ、日ソ不可侵条約を破って参戦するソビエトのように…。漁夫の利を得ることがベストと称賛されます。仮定ではありませんね。多少の道徳観より目先の欲が勝者と称賛される少しいやらしい世界です。武士道などの心はありません。
8月になると…太平洋戦争の失敗が思い出されます。数々の作戦本部の無理難題、敗北が決まっているのに精神論を持ち出す「日本村論理」ですね。話題のシャープを見ると何故か敗戦が連想されてなりません。司馬遼太郎は日本の戦車部隊におり、ソ連軍の装備と日本のおもちゃのような戦車の違いを、はっきり実体験として認識しており、日本のかたちを長年にわたって考えてきました。真実を考えつづけ綴ってきたから、多くの人からの共感を得たのでしょう。機関銃の弾が貫通する鉄板の薄さじゃ勝負になりません。迷走する民主党政治ですが自民党がやっても同じことです。消費税やTPPなど…原発も含め意見が大きく割れる問題です。
多くの読者は目先の業績に揺れますが、一番大切なのは時代の流れを読む力ですね。この時代の流れが見えれば、自然に好業績の銘柄が分かり、その株価が上がるのです。カタルの好きな沢井製薬やピジョンなど地味な銘柄ですが、時間はかかりましたが日本を代表する優良企業に育ってきました。時代の流れと企業戦略がマッチしていたためです。一見すると赤ちゃん用品を扱うピジョンが、何故? そんな単純な疑問が会社を調べる原動力になったのです。疑問が調査の行動を駆り立て、その結果、少子化が確定している日本を離れ、移民政策を継続する米国や人口の多い中国へ、早くから進出して基盤を築いてきました。最近、ピジョンは在庫整理の為に業績が低迷していました。その販売網の再構築が完了したので業績が再び伸びるのですね。
株価が買われるのは必ず背景があります。その背景に夢があり実際に数字が伸びれば、株価は確実に上げ続けます。皆さんが興味を持っているグリーは、今、苦しんでいます。コンプガチャ問題で一時的な業績伸び悩みは仕方ない事でしょう。問題は何度も述べますが、海外売り上げの推移です。この会社を見るポイントは此処ですね。既に目先筋はおらず、株価は低迷していますが、業績の伸び、海外売り上げの伸びが確認されれば、株価が多少高くなったところで買っても問題はありませんね。それぞれの銘柄には時代の流れと同じで焦点があり、見所があるのですね。よく背景を見極めて戦略を練ることが肝要ですね。

投稿者 kataru : 2012年08月06日 12:03