今日の市況(2012年07月26日)
かたる:何故、今、日本の邦銀株が大きく買われる可能性があるのか? 一見すると、なかなか分かりづらい見方ですが、良い事例が今日の日経新聞に載っています。もともと世界の「日本化現象」は金融危機により金融機能が失われたために、資産価格が下落して不良債権が膨らんでいく現象です。スペインの不動産が暴落して銀行に多額の不良債権が発生し資本不足に陥り、スペイン国が財政難から銀行を助けることが出来ず、EU全体に支援を求めています。全ては金融機能の欠如が発端です。日本は時間をかけてこの処理をしてきました。その為にいくら論理的に割安、有利な投資先となっても優良な投資家が不在になっている状況ですね。機関投資家はリスクを取らずに日本国債を買い続ける。つまりお金は市場に還流せずに経済活動は停滞します。
この日本化現象、デフレ現象が世界中に広がるきっかけの一つが金融機関への批判です。金融デリバティブに走った是正をしているので、なかなか根本である不良債権処理が終わらないと完結しませんね。米国は好調に見えていますが、内部はかなり傷んでいるのでしょう。だからカタルは以前からGSE(フレディマックやファニーメイなど)の復活が条件の一つだと述べています。大きな痛手を受けた為に投資家が不在になっています。それに輪をかけての金融規制です。BISやバーゼル3、ボルガーなど…の言葉は金融規制の象徴的な言葉です。
ここで本日の日経新聞の9面かな?三菱商事がCMBSへ参入の記事です。この記事の中でCMBS(商業用不動産ローン担保証券)の発行額のグラフが載っています。2300億ドルと言えば18兆円規模です。その市場がなくなるから経済はたまったものではありませんね。CMBSは金融デリバティブの一つです。金融レバレッジを利用し運用効果を上げる手法の一つなのでしょう。枯れきった投資家不在の中で競争がなくなったので、リスクが低くても高利回りの物件は多く存在するのでしょう。宝物のような優良債権に三菱商事は参入するのですね。なにも商社ではなくて日本の銀行が貸し出し難なので参加しても良いわけです。日本国債を買うより良いでしょう。幸い円高が加速しています。例の日銀総裁の円高容認発言が切っ掛けになり、政府の弱腰を見越しての参加です。何故、為替介入しないのでしょう?不思議です。
同じ9面に車の海外生産が27%伸びたとなっています。一方では震災の影響で貿易赤字が膨らんでいますね。おかしな現象ですよ。この歪はいずれ何処かで修正されますね。日立が大量の車両を受注しました。背景はイギリスに工場を建てて雇用を生むからです。現地生産化ですね。雇用が守られるから日立に発注するのでしょう。一方、日本はドンドン空洞化が進展しています。何処まで進むのでしょう。今度はマツダが危ういですね。おそらく赤字生産の筈で、膨大な赤字を計上しなくてはなりません。
視点を変えれば、輸入メリットを受ける医療機器卸のアイ・エム・アイ、食品輸入加工販売の六甲バターなどは円高メリットを受ける企業ですね。小さな会社は兎も角、デフレ銘柄の家具大手の「ニトリ」なども恩恵を受ける口でしょう。
少し話題がそれましたが、基本は邦銀が世界の中で、一番動ける環境にあるのですね。日本株が世界をリードする順番が来ているかもしれないと考えているのは金融機能が世界で最初に復活するからなのです。金融機関に利益が蓄積され続け、リスクを取れるようになっています。日本国債の空前の暴騰は最後の利食い場面の筈です。日経新聞5面にはカタルが何度も述べている日本国債を売って3%になるみずほ株を買えば良いと言っている記事が載っています。益利回りが逆転している日本化現象。慎重な姿勢を金融庁は舵を切らねばなりません。QE3は貸し出し競争を演出する的を得た政策になるかもしれません。カタルの9月予想は、間もなくやってきます。すこし話が難しいかな?
経済の活性化はお金を動かす事なのです。いくら量的緩和を実践しても、ドイツ、米国、日本、最近のドイツは少し事情が変化していますが、金利が低下するようじゃ、駄目な日本化現象の状況なのですね。お金を求める動きに変化しないと…つまり金利が上がってもお金を求めるような状況を作る必要があるのです。規制を緩め、貸し出し競争の環境を作れば良いのです。既に論理的に資産は割安なのですね。益利回りの逆転現象は日本化現象の終焉を示しています。状況は整っておりあとは号令を待つだけなのです。頑張れ、邦銀株

投稿者 kataru : 2012年07月26日 09:23