今日の市況(2012年06月15日)
かたる:しかし不思議な話ですね。スペイン国債は利回りが上昇し、欧州危機は深刻になっている様子なのに米国株は上がるのです。おそらく背景にあるのは雇用指数の悪化により量的緩和が期待されると言うものなのでしょうか? あるいはギリシャ選挙に絡み協調姿勢が準備されていると言う期待なのでしょうか? 米国株はテクニカル上の分岐点にあるとされ200日線の抵抗線に来ていると言います。情報は基本的に米国に集まるようになっています。故に、表面化されてない材料があり強いのかな?
兎も角、日本株も意外に強く感じます。極めつけは昨日の三井住友銀行の動きですね。もともと日本の銀行株は世界の中でも極めて稀な存在で不良債権も少なく、国債の評価益が唸るような水準にあるわけです。何しろ日銀様が日本国債をこの水準で買う訳で…利食いをしても、更に利食いをしても…高値で簡単に売れるのです。故に財務内容が悪いとされる三井生命なども過去の問題の遺物を清算でき財務的にユトリが生まれるのですね。非常に世界でも恵まれている環境なのに、世界的な金融危機の為に一緒になって売られているわけで…株価的には財務内容を反映してなく安くなっています。このギャップは必ず何処かの時点で修正されます。
もし今の銀行株の水準が正常だとすれば…即ち、市場が正しいと仮定すれば銀行株が安いのは、日本がギリシャやスペインのように破たんの道を歩むのか? しかしこれは考え辛いのです。確かにGDP比の財政赤字だけを問題にすれば財務省の言うとおり、非常に危ういのです。しかし日本は総資産経営をしており、国家には売り物がたくさんあります。海外に蓄積されている債権は世界一の水準です。今回の世界の中央銀行の量的緩和姿勢が日本化現象に勝つ日は近いかもしれません。異常に膨らんでいる水準のお金が、金融システムの安心を見た後には一斉に動き出しますね。この時期が近付いているかもしれません。
物価高により金融を引き締めていたBRICsを代表とする新興国は欧州危機の広がりで一次産品が大きく下落を始めています。シェールガス効果も原油価格を引き下げています。まだ成長率が高いのにS&Pはインドの格付けを引き下げましたね。日本と同様に政治の混乱が理由らしいのですが…。日銀はETFを黙々と買い続けており、最近の値動きから感じるのはかなり浮動株が吸い上げられているように感じるのですね。昔、知り合いの仕手筋の人が言っていました。ある水準を超えると市場に売り物がなくなるのだそうです。あとは思いのまま株価を動かせると豪語していました。
かたるは何年も銀行、銀行と日本株の復活は銀行株が騰がることから始まると述べています。経済の基本は金融機能です。明治以来、蓄積された含み資産を1989年からのバブル崩壊により全て吐き出した後なのです。100年以上も蓄えられた蓄積を吐き出した20年以上に及ぶデフレ経済の転換点が迫っていると思っています。おそらく間もなく始まると考えています。ひょっとすれば、既に25年ぶり10週連続の陽線はそのハシリなのかもしれませんね。昨日の三井住友銀行の動きを見ながらそんな事を漠然と考えていました。誰も経験したことのない未知の新しい世界の始まり…ワクワクしますね。だって誰が考えても異常ですね。中央銀行の量的緩和は確実に行き過ぎていますよ。
ゼロ金利があるかどうか分かりませんが、平常時の2倍も3倍もお金を発行しても、誰も投資をしようとしませんね。しかし米国の不動産を外国人のお金持ちが密かに買っていると言います。日本だって…下がり続ける不動産は一体、何年、調整を続けているのでしょう。その間、日銀券はドンドン刷られているのです。おかしな現象ですね。個人に人気の高いみずほだって…いくら非効率の派閥争いの経営でも膨大な含み利益ですよ。あの三井生命が過去の遺物だった財務処理を行えるのですからね。日本の金融機関は世界でいちばんきれいですね。時期は到来しているのかも知れません。
お金のある人は、黙って利回り採算に合う銀行株を買っておけばいいのでしょう。日本の銀行は効率より長年、規模を重視する経営をしてきました。総資産経営と言う採算を度外視した売り上げ重視の経営ですね。市場原理では基本的に投下資本に対する利益を重視します。だから外国人はROEを重視していました。外人好みの銘柄は何れも高いROEですね。しかし…中央銀行の量的緩和は資産価値を引き上げるものです。日銀がリートやETFを買うように土地や株が上がるのですね。我々はラストリゾートと呼ばれる日銀と同じ行動を取れば間違いなのですね。
今回のユーロの実験は間もなく終焉を迎えると考えています。過去の歴史を見れば危機が次の舞台の幕を開けるのですね。BRICsを含めた世界中の中央銀行は一斉に緩和処置を講じており、これで資産価格が上がらない道理はありませんね。ようやく時期が来たかな?多くの優秀なヘッジファンドのマネージャーは、既に行動を開始しているのでしょう。あのJPモルガンのダイモンCEOも間違った取引は、僅かな時間的なタイミングのずれだったのですね。やはり彼は時間の魔術に魅せられ間違ったのでしょが、彼の行動は基本的に正解だったのでしょう。時間の壁は、誰にも越えられない。



投稿者 kataru : 2012年06月15日 06:46