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仕掛人の登場(2013年12月14日)
先日、本文で「仕掛け人」の話をしました。株価が、何故、上がるのか? 多くの疑問を感じる所です。それは業績のいい企業の株が上がるとは限らないからです。好業績を発表しても株価が下がるケースも多く、逆に先日のミクシィのように赤字発表が引き金になり、突然、上昇するケースもあります。通常、株価が上昇するためには様々な条件が整わないと綺麗な株価の上昇になりません。この条件とは何か? 一番は業績推移ですが…意外に知られてないのが、その会社の未来の利益(未来の業績)の見方で、意見対立が株価上昇の重要な要素なのです。そうして、もう一つが今日の話題である「仕掛け人」の存在です。相場を演出する存在ですね。市場が弱い時に意識的に株価を支える役目や、上下のふるいなど…の演出は、相場妙味を倍増させる重要な役割を演じます。ドラマ作りや映画作りにこの演出効果が非常に重要ですね。相場も同じです。その為に、それを演出する仕掛け人の存在が相場の成否を決めます。誠備グル―プの加藤あきらさんは非常に上手かったですね。隠し味のない料理は美味くありません。
先日、カタル銘柄のユニデンが、突然、人気になりましたが…仕掛け人が存在するから、あのタイミングで人気を集められたのでしょう。藤本さん達のグループは昔から有名で、仕手性のある株として市場から評価されています。現代ではデジタルガレージに、サイバーエージェントなども、その仕手性がある株として分類されるのでしょう。おそらく実態は、経営陣の交友関係から発展した人脈が種となり、組織が形成されているのでしょう。実はこのような繋がりは非常に重要なのです。ソフトバンクがこれほど上手く成長できたのは…創設期において、北尾さんらの野村人脈が効果的に生きているからですね。通常はあの金融時代に於いて、2兆円もの借金をジャンプできませんね。今では、遅れていた設備投資を逆手に取るCMを流すほどまでになっています。繋がらないソフトバンクは、借金返しと設備投資の絶妙なバランスの綱渡りで、そのファイナンスを支えたのが、野村人脈です。孫さんだけでは絶対に無理だったのです。この綱渡りの過程で生まれた証券人脈がソフトバンクの仕掛け人たちを生んでおり、現在の株高に繋がっています。
経営者は企業業績を伸ばす事は当たり前ですが…大きく伸びる会社は、夢(理念)を市場と共有するのですね。証券マンは銀行マンと違い、商社マンに近い、ワイルドな金融網を構築します。お金が事業を生かしたり沈めたりすることを、よく知っているからです。更に時代の流れ、時間変化の大切さも知っています。基本的にどんな事業でも、お金さえあれば、ある程度のラインまで成長が出来るものです。ただ最後は並外れた勘が必要になります。スプリントの買収など…の発想は、あの時期だから成功を収めるのでしょう。遅くても、早くても潰れていました。まさに絶妙のタイミングでしたね。日本板硝子を見れば分かりますね。さて、その仕掛け人達は、どんな姿をしているかは…ケース・バイ・ケースです。仕手グループの場合もありますし、社長の人脈筋の場合もありますし、海外のヘッジファンドの場合もあります。
株価が大きく上がるには、最初の仕掛け人の登場があり、次々にその仕掛け人たちが、その会社の夢に引きずられ参加する過程で、相場が大きく形成されます。だから一つのファンドではなく、二つ、三つと重なり合うと、更に相場のスケールが大きくなりますね。最近では5%ルールなど煩くなり、通常5%程度までがファンドの目安になるのでしょう。

さて遂に007ことユビキタスに、初めて外資系ファンドが参加し始めたようです。その名は「CGMLIPBカスタマーコラテラルアカウント」何処のファンドか調べませんでしたが、彼らのこれまでのやり方は、まともな投資をしているようです。例えば、カタルがよく採り上げていた横河ブリッヂにも、嘗て123万株(2.6%)ほど買っていたようですね。此処のファンドマネージャーは、優秀なようです。その後、横河ブリッヂの株価は400円から1500円台まで急騰し、このファンドは売り逃げているようです。更に巴コーポなどの過小資本銘柄にも参加し、196万株(4.8%)ほど買っていたようですね。

もう一つが「ノムラノミニーズ・オムニバスマージンキャッシュPB」の存在です。今回の四季報では、この二つのファンドが新たに登場しているようです。ユビキタスは野村が幹事であり、通常、幹事証券は初値に責任を持つものです。相場環境が悪い時期にユビキタスは登場し、4000円の初値を付けてスタートしました。通常、カタルも含め、証券マンは推奨時の株価からの運用成績には、責任を感じるものです。2010年の…あの相場が再現される可能性が、高くなってきたように感じています。
創設時の鈴木さん、末松さん、川内さん達がそれぞれ換金し、来年から税制が変わるので需給悪化要因は、一段落するのでしょう。実は、このケースはカタルも初めての経験でよく分からないのですね。カタルが観察してから、社長交代はよくしますし…安定感に欠けるのも事実です。しかしそもそも会社は株主のもので経営者のものではありませんからね。外部から優秀な経営者を招くことは良くあります。鈴木さんはカタルと同じか、それ以上の年齢でアスキーのメンバーだったインターネットの創設第一世代です。ビルゲイツらとも親交がある筈ですね。だからいい年なので、現金が晩年は必要なのでしょう。
金曜日に007の株価が緩みましたが、戻っていた水準のところに、四季報の悪い予想数字が発表されて、新規の参加者が動揺したのでしょう。しかしこの現象は、一度、市場で消化された二番煎じです。それに、この手の会社の業績の読みは難しく、東洋経済の記者が観測であてられる筈もありません。一応、多くの場合、会社側の予想を前提にして、外部環境などを考え独自に2015年3月の予想を立てますが…調べてみれば分かりますが、実にいい加減な予想なのです。カタルの知り合いが東洋経済にも居り、彼とも交友がありましたから、実態は、ある程度知っているつもりです。このような見方が分かれるから…相場は面白いのですね。冒頭に説明した強弱感の対立は、株式の大相場には不可欠で重要な要素です。東洋経済の記者を信じるか、会社の背景を実際に調べ、200千株(2.2%)ほど買った「CGMLIPBカスタマーコラテラルアカウント」のファンドマネージャーの実績を信じるかは…読者の勝手ですね。CGMLIPBカスタマーコラテラルアカウントが過去に買った銘柄を見てみましたが、なるほど…と思うタイミングで投資しているようです。通常、株主登場から、半年から1年程度で、その後大きく相場が形成されているようです。おそらくその相場の背景には、人脈が存在する可能性がありますね。ファンドの仲間にも人脈はありますからね。
さて明日はケネディクスの業績の裏付け作業に挑戦しようかとも思っていますが、何しろカタル君は怠け者ですから…約束はできません。ただようやく外資系ファンドの登場が確認できて、長くカタル銘柄だった秘蔵っ子のデビューが近づいている様で…ワクワクするような…さみしいような…。昔、カタルが中学生か高校生の頃、山水のオーディオセットを親から買ってもらい、その4スピーカーの試聴版に小椋佳の「青春」と言うアルバムが付録についていました。その時に、目を瞑ってその試聴版を聴くと、蒸気機関車が左から右に動く様子が、まるで本物のように聞こえたものでした。あの青春と言うアルバムを聴いて以来、彼のファンになり彼のその後の動向を追っていたのです。最初は無名で、世の中の誰もが知らず…だんだんに彼が有名になっていくと、嬉しいやら寂しいやら…自分だけの存在から、やがて『シクラメンのかおり』などのヒット曲がガンガン生まれ、紅白歌合戦に出るようになると…第一勧銀時代の神田さんを知る者にとって、有名になればなるほど、嬉しいやら寂しいやらの複雑な思いに007は似ています。そろそろヒット曲が生まれるタイミングなのでしょう。何故か、CGMLIPBカスタマーコラテラルアカウントの登場は、そんな感情を想い出させました。