« 自動車生産を考える | 最新の記事 | 仕掛人の登場 »
お年玉(2013年12月07日)
今日は約束通り、株価変動率が一番高い場面の考え方を解説しましょう。通常、多くの証券マンは企業業績の良くなった優良企業(大型株)しか薦めません。ここで重要なことは時間軸なのですね。株式投資は6か月先の状態を見極めて株価が動いていると言います。
例えば嘗てカタル銘柄だったマツダを事例に解説をしましょう。カタルは2010年の前半にカタル銘柄として盛んに取り上げていました。覚えている方も多いでしょう。しかし結果は2年半遅れの登場になりましたね。理由は金融危機の影響が大きく、時間軸が横にずれた為ですね。こういう事は良くあります。先ほどカタルページを検索していたら2009年から2010年にかけて取り上げ、解説されたページがありましたから、関心のある人は此方を見ると、より一層は理解が進むと思います。

そのマツダの実際の企業業績の推移は色々あり時間軸が横にずれました。その実際の企業業績推移が此方です。カタル銘柄の多くは、赤字から黒字転換される場面で選ばれています。ベンチャリもそうだったのですね。しかし世界の経済環境などが様々な要因でぶれた為に、折角の狙いの時間軸が、横ずれしたケースがあります。マツダのケースで見ると、2012年の赤字計上の位置ですね。2010年にはカタルの狙い通り構造改革を終え、上昇し始めていたのです。しかし欧州危機の再燃などで、もう一度、駄目押しを入れます。そのあとアベノミクスと絡み100円割れまで追い込まれたマツダが、市場の人気株になり、今では、間もなく500円台になります。最初の狙い通りの動きに時間軸はずれましたが、結果は狙い通りになりました。

今回のユビキタスこと007もそうですね。僅かな時間軸の修正ですが…少し横にずれました。現在のマツダは既に市場に人気株になり、正当な評価を市場から受けています。でも株価的には、中国の大きな改善がないと言う前提なら、業績の伸びのカーブは角度が変わりますから、株価は僅かな上昇か、横ばい波動に移行するのでしょう。カタルの狙いは赤字から黒字に転換し、その黒字が急激に大きく膨らむ環境になる銘柄に狙いを定めています。それがケネディクスであり、007なのですね。一般株の狙い目は、日本板硝子なども、その一つ候補でしょう。最近はグローバル化が話題になり、その価値観が再認識されています。ソフトバンクにファーストリテイリングなどが代表事例で、ニトリやLIXILGなども、この後に続いています。この傾向は正しいのでしょう。
欧州の景気が改善を見せ始めてきましたので、現在構造改革最中の日本板硝子などもその候補に浮上しそうです。しかし残念ながら、英ピルキントンの馬鹿高値の買収代金である無形固定資産、のれん償却がまだまだ続き先行きは不透明ですが…日本を始め、米国なども住宅環境が改善しており、遅れていた欧州が来年は注目されますから、公募価格の181円を目指し一気に仕手化する可能性も存在します。それほどピルキントンの改善は、変化率が大きいのでしょう。そうして同じグローバル化で高い買い物をして、失敗した古河電工も2015年に向け構造改革を終えるので企業業績の変化率が高まります。此方は既に黒字を確定させており、配当もしているからあまり大きな妙味はありませんが、確実に人気化する素地があります。新興国の社会基盤整備の絡む光ファイバー網、好調な自動車のワイヤーハーネス、電線も基盤整備の一環で、電力の自由化に絡み色んな思惑も生まれます。両社とも、グローバル化の先駆者ですが、なにより失敗組なので、市場の評価が低く株価に改善の余地が生まれます。一般的に利益余剰金がマイナスになるほどの危機からの回復は、株価へのインパクトが強いものです。ただ板硝子は会計法の変更による影響もあるようなので、ケネディクスと場合と少し意味合いが違うようです。いいですか…株価は企業「変化」を買うものなのですね。良い会社を買うのではないのです。
今日は推奨している訳ではなく、板ガラスや古河電工の解説をしている訳ではありませんが、概略を掴んでないと、この仕組みを理解できないから簡単に解説しました。一番重要なことは売上変化なのですね。何故、007の立ち上がり角度が「急」なのか? カタルは何度も、本文でこの角度の話を採り上げています。グラフでは、緑の古河電工に青の板ガラス、そうしてオレンジの007ですね。過去最高利益水準を念頭に置き、企業の変化を観ます。この業績の立ち上がり角度が、一番高いのは007ですね。売上変化は4割もの増額が見込めます。本当はこんなものではないでしょう。先日の組み込みソフト展で9つものブースを設けており、その売り上げが来年に計上期を迎えますね。村田などが関与しており、村田の供給する部品数は億単位です。それにIVIなどの未来利益が加味され、しかも売上全てが利益に変化する構造なのですね。製品を製造販売する5%や10%の売り上げ営業利益率の話しではなく、ソフトの原価の基本は無料なのです。実質的な経費は人件費だけですよ。利益の質も高いく、売上変化も大きいので、カタルが大きく評価をしている訳ですね。
この業績角度の高い銘柄は日本では限られます。ROEの上位の企業数を見れば分かりますね。赤であらわされた時間軸はカタルの推奨ポイントからよくずれる事があります。日揮のケースは1年ずれ、マツダは2年半です。しかし営業黒字になる辺りに注目し、株価が低迷しシコリがなく、仕手性があるかどうか…の市場の潜在人気の判断は、経験がものを言います。カタルの狙いはPFIでしたが、建設株のバックボーンを高く評価していたので早くから熊谷組も取り上げていました。注目地点は100円台だったのです。それがオリンピックを切っ掛けにリニアも絡み、熊谷組も人気株に育ちました。潜在人気の判断は経験がないと、なかなか見極める事が出来ません。何れ、市場の人気株に成長する3銘柄を材料にして、今日は、赤字から黒字転換する業績の角度の話を中心に解説を試みました。この角度の中で、単に角度が高い銘柄でも駄目なのですね。そこには利益の質が加味されなくてはならないのです。007が赤字の段階から、市場からの高評価を受けている理由が、何となく皆さんにも理解されてきたかと思います。3銘柄とも面白い段階を迎えています。他の多くの人気株と株価位置を比較して下さいね。今から皆さんにカタルからの早めのお年玉プレゼントです。