自動車生産を考える(2013年11月30日)
今日は先日、疑問に感じた自動車生産の資料を集め考えてみました。日経新聞をはじめとする大手8社の発表数字を何処から持ってきたのでしょう。おそらく独自に各社が発表している数字を合わせたものではないかと思うのですが、カタルがデータを集めてきたJAMA「一般社団法人、日本自動車工業会」の数字を元に原稿を書こうかと考えています。新聞数字との違いは、たぶんJAMA(日本自動車工業会)のデータは、小さな会社も含めてある全体の数字なのでしょう。
何故、こんな事を考えてみようと思ったかと言うと、「アーク」の狙いは正しかったかもしれないからですね。昨年11月に異次元緩和の期待から円安が起り、カタルは、当初、空洞化した生産が、国内回帰するのでは…と考えた経緯があります。しかしながら、なかなか戻らない国内生産をみて、アークをカタル銘柄から外したわけです。アークはホンダ系を中心とする金型メーカーですからね。別にアークなどはどうでも良いのですが…「時間の壁」を考える重要性を認識しているのです。この材料を元に、例えば007の村田のWiFiモジュールの動向を推察するヒントになるんじゃないか…とも考えている訳です。時代の流れは分かるのですが、実際の業績に寄与するタイミングを判断するのは、なかなか難しいのです。
例えば、建設の売り上げ計上は、何処で計上するのか?と言う会計法の問題があります。工事の進捗状態に合わせ、随時、計上して行くのか? それとも工事が終了した時点の完工基準で売り上げ計上するのかどうか? さらに工事代金を回収した時に、売り上げ計上するのか? 色んなケースがあり、一般的には進捗状態に合わせ計上されていきますが、実際に工事が完成し、引き渡しの段階になって、相手が倒産し未入金などと言うケースもあり得ますからね。大きな金額の場合は、契約に合わせ3割とか半分とか、途中で一時入金する場合もあるのでしょが…、この辺りは恣意的で難しいのです。同じように製品開発をして展示会を催し、そこから商談に発展し、更に個別対応の為に共同開発して、製品を納めるとか…。例えばWiFIモジュールの場合、ある程度、製品完成メーカーに合わせた仕様変更があるかもしれないし…、実際に売り上げ計上されるのは、何時なのか?
要するに、この辺りの疑問は、007以外でも発生している訳です。実際に日揮のケースは1年も相場になるのに待たされました。環境が改善しているのに…、どの時点で売上変化が生まれるのか? この辺りの考え方は株式投資にとって非常に重要なのです。だからこの円安環境から自動車業界の生産を海外から戻し、国内回帰しているなら、新たな政策発動から1年が経過しており、この程度のタイムラグが普通なのか? この辺りの考え方が色んなケースでも参考になると考え、自動車生産のデータを集め、自分なりに資料を作っているのです。基本的にカタルは、日経新聞の恣意的な報道に何度も騙されているので、報道内容を鵜呑みにせずに、自分で裏付け捜査をしている訳ですね。そうしていたら10月の生産台数が日経新聞は82万5137台となっていましたが、JAMAの発表数字は87万1434台と違っていました。この辺りは小さなメーカーも団体に所属しているからJAMAの資料を基に考える方が良いのでしょう。アークのケースを個別に調べるとしたら、ホンダの生産高を追うとか…投資家、それぞれが自分で調べてみればいいのです。
ただこのような作業は無駄に終わることも良くあります。推論はあくまでも想像で、現実ではないからですね。ここで2011年のデータがあるので、概略を掴んでおかねばなりません。中国の自動車販売は1851万台、米国は1304万台、日本は421万台でブラジルが363万台、ドイツが351万台となっています。世界では72225万台の車が販売されています。一方、自動車生産は2011年の中国では1842万台なので、ほぼ100%です。米国は866万台で66%なので輸入超過です。日本は840万台の生産なので約200%なので輸出が多いのですね。ドイツの生産は615万台で175%ですね。韓国は日本より輸出比率が高く、国内販売は158万台ですが、生産は456万台で290%なのです。

さて問題の国内自働車生産拡大のニュースは、今日の日経新聞にも自動車と建設作業員は人材不足の様相との記事が掲載されていました。建設各社は好調なのですが、資材高や人件費高だから利益が伸びていませんでしたね。だから大成建設の株価はオリンピックの発表から横ばい推移を続けています。建設全般に同じです。内需は好調なのですよ。来年も消費税の減速分を埋める為に、補正予算が組まれ基本的に建設需要は増大しています。だから時間をかければ大成建設も上がりますね。単なる時間調整です。この所、カーテンのサンゲツなどもTV・CMが見られるようになってきました。広告宣伝を打てると言うことは本業も好調なのでしょう。このように住宅関連資材提供会社も好調の様子です。このような要因の合わせ、カタルは日銀の政策失敗も念頭に置き、EU経済の回復やグローバル展開を鑑み、LIXILや日本板硝子なども参考銘柄に掲げているも面白い見方だと思っています。トヨタの期間工増大が見出しに踊っていましたが、本当に自動車の生産拡大が続いているのでしょうか?

上のグラフで見る限り円安効果による明確な生産活動回帰の動きは見られません。むしろエコカー減税特需による在庫調整が終了し、通常の生産活動に戻っていると言う印象ですね。さらに消費税の引き上げによる駆け込み需要を見込んだ、在庫積み上げ投資が増えているのかもしれません。在庫投資は見込み生産ですから、実需とは少し意味合いが違います。ただ円安推移からの時間のタイムラグから、9月の12.9%増から10月は10%増となっている可能性がないと一概に否定していいものかどうか…。データから様々な推測は成り立ちどれが正解なのか見えにくいのです。
ただ102円台の為替推移が、白井さんの講演会を切っ掛けにしていると言うのは興味深い現象です。つまり日銀が市場の期待通り、緩和拡大の行動に出るなら、確実に信用創造の流れは生まれるという事です。世界の投機資金は日本の不動産に流れ込み、ケネディクスが狙い通りスター株に育つのでしょう。…が、しかし、黒田さんが何もしなかったら、グローバル銘柄の選択の方が正しいのかもしれません。ソフトバンクにファーストリテイリングが高く推移している現状は、GDPデフレターを改善できないと言う見方も示唆しているのかもしれませんね。あまりに物価ばかり強調しすぎている解説は、何か違和感を覚える次第です。
おそらく自動車経営者は、在庫投資と為替水準を両睨みしての行動なのでしょう。故に今後、数カ月は前年比でプラス圏の生産回復になるのでしょうが、タイの世情動向もあり、国内の生産回帰なのかどうか…。やはり、このデータだけでは読み切れませんでした。どれも可能性は存在しますね。国内回帰のアークの選択も、日本の失政が続きLIXILや板ガラスなどのグローバル展開企業と言う選択も、正しい政策が実行され、国内の信用創造が膨らみケネディクスが物色され、投資活動が活発になる本当のGDPの成長もあり得ます。最近はベンチャー企業に対する投資熱も、ナスダックの上昇からも窺えるように上がっており、時代の要請による技術革新の007も有力候補になっています。全体の相場環境は良く、少なくとも節分辺りまで、経験則では、株は上昇を続けるのでしょう。しかし指数ばかり追うと消費税の引き上げ後の失速も考えられ、しっぺ返しを食らう可能性も来年になると考えねばならないかもしれません。まぁ、今日の考察は中途半端ですが、何か参考になったでしょうか?