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今週の下げの要因を考える(2013年10月26日)
どうもおかしいと感じたのは…水曜日の後場の動きでしたね。この日、カタルは今日の市況の原稿を書くに辺り、ニュースを検索していたら「意外な見方」を発見しました。午前中の相場は強いので、弱き筋の見方を提供しても良いかな?…と判断し、ブルームバーグが提供するニュースから、英RBS傘下の「クーツ」の見解を紹介しました。このファンドの責任者のガリー・ドゥーガン氏によれば、安倍政権は迅速な実行力がなくなってきていると判断し、日本株の投資を減らすと言うものです。この動きが広がっている様で、本日は、米国のヘッジ・ファンドのサードポイントのダニエル・ローブ氏は「日本は岐路に立たされている」と、WSJは伝えています。おそらく、これらの動きが先物から仕掛けられ、日経平均株価の下落に繋がっているのでしょう。

日経新聞などが伝える中国の短期金利の上昇などが原因ではないでしょう。確かに市場は色んな理由で相場が動くので、理由を探し焦点を絞るのは難しいのです。カタルが懸念している「みずほのやくざ融資問題」を日経新聞は、今日は一面で扱わず5面にして、逆に一面には「金融ニッポン」で、「金融処分庁」から「金融育成庁」へ…と、カタルの主張に沿う流れの報道になっています。これが大人の対応です。彼らも金融庁筋からの圧力もあるので記事にしない訳に行かないでしょうが…。取り扱い方を徐々に、このように変化させれば、やがて社会の風潮も変化します。メディアの報道は、国民感情を左右するので、編集者は、その事を肝に命じねばなりません。失われた時代を創ったのは、何も日銀や政治家だけでなく、メディアの責任でもあるのです。編集長は、その辺りを、よく考えて欲しいと願っています。
一番、懸念されるのはヘッジ・ファンドの主張のように、構造特区なども役人筋に押されていますね。法人税改革などが決まるかどうか…などは、目玉の焦点となっているのでしょう。押されていると思う現状の一例を掲げれば、特区でも雇用問題の流動性〈契約社員の扱い方〉は、厚生労働省に押し切られました。今回、厚生労働省の事務次官に有望視されていた厚生省族の大谷さんが外れ、労働省筋の金子さんから村木さんと…抜擢されています。本来は厚生省出身の役人が事務次官になる筈なのに…この形は異例なのでしょう。企業が主張する雇用の流動化は、市場経済下では当たり前の現象ですが、なかなか日本社会に定着しません。キャリア・アップと言う転職は、余りありませんね。偽物ばかりの解説者が、幅を利かせる証券界を見ても分かります。市況解説者のレベルはお粗末ですね。なかなか年金ファンドなどの運用者が、育ってないのです。だから市場の動きがおかしいですね。

日本生命は日本国債を中心に運用を再開するとか…。このような動きが最近の流れで、長期金利にもその動きが現れ、為替にも影響を与えているのでしょう。この辺りは微妙なのです。春先は三井住友銀行などが中心になり、長期国債を外しましたが…。この方針は空振りに終わっています。この時期に三菱UFJは大きく動いていませんね。自分達も一緒に動けば、金利の変動が大きくなると言う理由で、平均的な行動に終始したようです。
カタルが「みずほのやくざ報道」に怒るのは…、いい加減に、日本のかじ取りを変えねば、時間切れになるからですよ。ガラガラポンの領域に踏み切ったのに…消費税の3%引き上げを決めた為に、役人筋の延命策にパワー・バランスが変化した可能性があるのです。法人税の引き下げを、復興増税の取りやめに置き換え、マスコミ誘導した役人筋の巻き返しは成功しました。財務省はしぶといのです。みずほのやくざ融資問題は、一つの潜在的なパワー・バランスの動向を示す、事件なのでしょう。このような動きを見て、ヘッジ・ファンド筋は、冒頭に掲げたコメントを発していると思われます。明らかに先物から誘導された流れが、今週は市場に生まれましたね。
しかし本日の日経新聞には、脱デフレ派の巻き返しで…一面に「金融育成庁」と言う表現が盛り込まれています。カタルは中山素平氏が、草葉の陰で泣いているとコメントした「今日の市況」を思い出して欲しいのです。本来の金融機能の使命は、成長力を加速させるための手段なのです。確かに、やくざ融資は悪いですよ。そんな所に資金を提供してはなりませんが、たかが一人100万の小口融資の問題で、しかも子会社を通じての融資なのでしょう。何故、親会社のトップが,引責辞任に追い込まれるの? この風潮が社会から、冒険心を奪うのですね。清貧思想を増長してはならないのです。
よく考えてください。光通信の重田さんが表舞台から姿を消し、ライブドアの堀江さんも切り捨てるのですね。LINEが上場準備に入っているとか言いますが、カタルの認識が正しいなら、この実行部隊はライブドアの力でしょう。それを、みすみす韓国企業に売り渡したのは、村論理の妬みなどの醜い根性が日本に蔓延しているからです。若者が頑張っているなぁ~。…と、どうして笑って方向性を正せないのでしょう。NECなどが凋落し、サムソンが栄えた背景を考えると日本村社会のいやらしい構造が大きく影響しているように感じます。異次元の量的緩和に踏み切り、刑の執行猶予の中で、僅かな3%の引上げで時間が出来たと…巻き返しに動く輩に、日本を思う良心の欠片があるのでしょうか?
もう20年以上も続けているのです。いい加減に国策を変えねばなりませんね。メディアの人も、良く考えて欲しいのです。信用創造がデフレ脱却の大黒柱で、重要な「キーワード」です。日銀はチョコチョコと…動いていますが、彼らは資金がないから、先物から動くのですね。その分を全て現物で買えばいいのですよ。僅かな金額ですね。あっという間に、彼らの証拠金を飛ばせば、良いのです。簡単なことですね。黒田さんの本気度を見せつければ良いのでしょう。
年末年始の相場で、ケネディクスを4ケタに押し上げ、政策支援をすればケネディクスの利益は20倍、30倍に膨らみます。信用創造が起こると、投資活動が次々に生まれます。企業の内部留保は、過去最高水準に積み上がり、世界中で同じ現象が生まれています。戦後構築された社会資本設備は老朽化し、敷設し直さねばなりません。このパイプラインに情報と言う付加価値を加味した構造変化を与え、効率の良い産業形態に変えるのですね。エリネスは、ある意味で時代の流れですが…しかし、やはり野村はやり過ぎです。
カタルは今週の下落の背景は、明らかに、一部のヘッジ・ファンドがアベノミクスに失望した現象なのだと考えています。日経新聞に、この事を書いて、表面化させることです。眉唾の中国短期金利の上昇などと言う煙幕を張るから…いつまでもデフレ脱却が出来ないのです。本筋は、日本が本気になって、デフレ脱却を願っているかどうか…。
市場は今、判断に迷っているのですね。だから為替が、壁であるはずの96円台に突入したり、日経平均株価が三角保ち合いを演じ、なかなか高値を抜けない動きになっているのでしょう。黒田さんはETFの大量買いなどでも、市場にアナウンスを発する事が出来るし…、他に、いくらでも意思表示は出来ます。リート資金の増額発表でも良いのですよ。景気が緩やかに回復しているとの一般認識の表明ではなく、市場が求めている確かな「証」を市場に示せば、一気に、二段上げの相場がスタートするのでしょう。10月31日に、日銀の金融政策決定会合があります。此処でリートの増額やETFの増額、買い入れなどのアナウンスがあれば、明らかにサプライズは生まれます。果たして…、黒田さんに積極的な行動を採ると言う市場原理の認識があるかどうか…。消費税の引き上げ後の落ち込みに対し、準備しているだけでは、不十分なのですね。待ちの姿勢ではなく、攻める行動力がデフレ脱却には、不可欠なのでしょう。