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2013年10月26日
今週の下げの要因を考える
どうもおかしいと感じたのは…水曜日の後場の動きでしたね。この日、カタルは今日の市況の原稿を書くに辺り、ニュースを検索していたら「意外な見方」を発見しました。午前中の相場は強いので、弱き筋の見方を提供しても良いかな?…と判断し、ブルームバーグが提供するニュースから、英RBS傘下の「クーツ」の見解を紹介しました。このファンドの責任者のガリー・ドゥーガン氏によれば、安倍政権は迅速な実行力がなくなってきていると判断し、日本株の投資を減らすと言うものです。この動きが広がっている様で、本日は、米国のヘッジ・ファンドのサードポイントのダニエル・ローブ氏は「日本は岐路に立たされている」と、WSJは伝えています。おそらく、これらの動きが先物から仕掛けられ、日経平均株価の下落に繋がっているのでしょう。

日経新聞などが伝える中国の短期金利の上昇などが原因ではないでしょう。確かに市場は色んな理由で相場が動くので、理由を探し焦点を絞るのは難しいのです。カタルが懸念している「みずほのやくざ融資問題」を日経新聞は、今日は一面で扱わず5面にして、逆に一面には「金融ニッポン」で、「金融処分庁」から「金融育成庁」へ…と、カタルの主張に沿う流れの報道になっています。これが大人の対応です。彼らも金融庁筋からの圧力もあるので記事にしない訳に行かないでしょうが…。取り扱い方を徐々に、このように変化させれば、やがて社会の風潮も変化します。メディアの報道は、国民感情を左右するので、編集者は、その事を肝に命じねばなりません。失われた時代を創ったのは、何も日銀や政治家だけでなく、メディアの責任でもあるのです。編集長は、その辺りを、よく考えて欲しいと願っています。
一番、懸念されるのはヘッジ・ファンドの主張のように、構造特区なども役人筋に押されていますね。法人税改革などが決まるかどうか…などは、目玉の焦点となっているのでしょう。押されていると思う現状の一例を掲げれば、特区でも雇用問題の流動性〈契約社員の扱い方〉は、厚生労働省に押し切られました。今回、厚生労働省の事務次官に有望視されていた厚生省族の大谷さんが外れ、労働省筋の金子さんから村木さんと…抜擢されています。本来は厚生省出身の役人が事務次官になる筈なのに…この形は異例なのでしょう。企業が主張する雇用の流動化は、市場経済下では当たり前の現象ですが、なかなか日本社会に定着しません。キャリア・アップと言う転職は、余りありませんね。偽物ばかりの解説者が、幅を利かせる証券界を見ても分かります。市況解説者のレベルはお粗末ですね。なかなか年金ファンドなどの運用者が、育ってないのです。だから市場の動きがおかしいですね。

日本生命は日本国債を中心に運用を再開するとか…。このような動きが最近の流れで、長期金利にもその動きが現れ、為替にも影響を与えているのでしょう。この辺りは微妙なのです。春先は三井住友銀行などが中心になり、長期国債を外しましたが…。この方針は空振りに終わっています。この時期に三菱UFJは大きく動いていませんね。自分達も一緒に動けば、金利の変動が大きくなると言う理由で、平均的な行動に終始したようです。
カタルが「みずほのやくざ報道」に怒るのは…、いい加減に、日本のかじ取りを変えねば、時間切れになるからですよ。ガラガラポンの領域に踏み切ったのに…消費税の3%引き上げを決めた為に、役人筋の延命策にパワー・バランスが変化した可能性があるのです。法人税の引き下げを、復興増税の取りやめに置き換え、マスコミ誘導した役人筋の巻き返しは成功しました。財務省はしぶといのです。みずほのやくざ融資問題は、一つの潜在的なパワー・バランスの動向を示す、事件なのでしょう。このような動きを見て、ヘッジ・ファンド筋は、冒頭に掲げたコメントを発していると思われます。明らかに先物から誘導された流れが、今週は市場に生まれましたね。
しかし本日の日経新聞には、脱デフレ派の巻き返しで…一面に「金融育成庁」と言う表現が盛り込まれています。カタルは中山素平氏が、草葉の陰で泣いているとコメントした「今日の市況」を思い出して欲しいのです。本来の金融機能の使命は、成長力を加速させるための手段なのです。確かに、やくざ融資は悪いですよ。そんな所に資金を提供してはなりませんが、たかが一人100万の小口融資の問題で、しかも子会社を通じての融資なのでしょう。何故、親会社のトップが,引責辞任に追い込まれるの? この風潮が社会から、冒険心を奪うのですね。清貧思想を増長してはならないのです。
よく考えてください。光通信の重田さんが表舞台から姿を消し、ライブドアの堀江さんも切り捨てるのですね。LINEが上場準備に入っているとか言いますが、カタルの認識が正しいなら、この実行部隊はライブドアの力でしょう。それを、みすみす韓国企業に売り渡したのは、村論理の妬みなどの醜い根性が日本に蔓延しているからです。若者が頑張っているなぁ~。…と、どうして笑って方向性を正せないのでしょう。NECなどが凋落し、サムソンが栄えた背景を考えると日本村社会のいやらしい構造が大きく影響しているように感じます。異次元の量的緩和に踏み切り、刑の執行猶予の中で、僅かな3%の引上げで時間が出来たと…巻き返しに動く輩に、日本を思う良心の欠片があるのでしょうか?
もう20年以上も続けているのです。いい加減に国策を変えねばなりませんね。メディアの人も、良く考えて欲しいのです。信用創造がデフレ脱却の大黒柱で、重要な「キーワード」です。日銀はチョコチョコと…動いていますが、彼らは資金がないから、先物から動くのですね。その分を全て現物で買えばいいのですよ。僅かな金額ですね。あっという間に、彼らの証拠金を飛ばせば、良いのです。簡単なことですね。黒田さんの本気度を見せつければ良いのでしょう。
年末年始の相場で、ケネディクスを4ケタに押し上げ、政策支援をすればケネディクスの利益は20倍、30倍に膨らみます。信用創造が起こると、投資活動が次々に生まれます。企業の内部留保は、過去最高水準に積み上がり、世界中で同じ現象が生まれています。戦後構築された社会資本設備は老朽化し、敷設し直さねばなりません。このパイプラインに情報と言う付加価値を加味した構造変化を与え、効率の良い産業形態に変えるのですね。エリネスは、ある意味で時代の流れですが…しかし、やはり野村はやり過ぎです。
カタルは今週の下落の背景は、明らかに、一部のヘッジ・ファンドがアベノミクスに失望した現象なのだと考えています。日経新聞に、この事を書いて、表面化させることです。眉唾の中国短期金利の上昇などと言う煙幕を張るから…いつまでもデフレ脱却が出来ないのです。本筋は、日本が本気になって、デフレ脱却を願っているかどうか…。
市場は今、判断に迷っているのですね。だから為替が、壁であるはずの96円台に突入したり、日経平均株価が三角保ち合いを演じ、なかなか高値を抜けない動きになっているのでしょう。黒田さんはETFの大量買いなどでも、市場にアナウンスを発する事が出来るし…、他に、いくらでも意思表示は出来ます。リート資金の増額発表でも良いのですよ。景気が緩やかに回復しているとの一般認識の表明ではなく、市場が求めている確かな「証」を市場に示せば、一気に、二段上げの相場がスタートするのでしょう。10月31日に、日銀の金融政策決定会合があります。此処でリートの増額やETFの増額、買い入れなどのアナウンスがあれば、明らかにサプライズは生まれます。果たして…、黒田さんに積極的な行動を採ると言う市場原理の認識があるかどうか…。消費税の引き上げ後の落ち込みに対し、準備しているだけでは、不十分なのですね。待ちの姿勢ではなく、攻める行動力がデフレ脱却には、不可欠なのでしょう。
2013年10月19日
罫線の形は相場環境で意味が変わる
今日はチャートの形にも、意味があるとの解説をしようかな?…と考えています。同じ陽線でも、全体の相場環境により、その陽線の意味が変わり、「株価位置」により、別の意味にも変わります。カタルが用いている株価位置と言うのは、時間軸を5年から10年程度の株価変動を10等分し、下の株価位置、あるいは上の株価位置と言う意味で捉えて欲しいのです。この株価位置は、会社の業績推移と共にステージが変わります。先ずは基本トレンドを確認するために、比較的に時間軸の長いチャートを用います。カタルはケネディクスを推奨していますから、このチャートを用い解説します。時間軸の長いスパンを見る為に月足推移を見ます。

ケネディクスの業績推移と月足の推移を掲げていますが、基本的に2003年8億71百万円の利益計上の辺りより、利益の膨らみ方が大きく変化します。常に、株価は企業業績に先行して動いていることが、お分かり頂けると思います。2008年は既に金融危機の影響もあり、営業利益は162億円の黒字でしたが減損会計の適用でこの年は108億円の最終赤字に転落しています。三菱地所や三井不動と違い、ケネディクスはレバレッジを掛けている為に、業績の変動率が高いのですね。大手不動産は金融危機に陥ってもレバレッジの掛け方が違い基本的に企業業績の動きはマイルドです。カタルはハイリスク派なので変動率の激しい銘柄を好みます。
さてここで捉えて欲しいのは株価位置です。経営環境が好転すると、この企業の価値はどの程度まで膨らむのか?と言う大よその見込みを付けます。また環境が悪化すると、どの程度のリスクがあるのか?よく考えておかねばなりません。ケネディクスは米国資本の金融デリバティブを活用しているアクティブな会社です。最もアクティブな会社は、カタルが好みのダヴィンチでしたが…残念ながら、金融庁検査の減損会計の壁を乗り越えられず上場廃止になっています。上場企業の中でも不動産と言えば、今では受託資産規模の大きなケネディクスが代表される存在でしょう。
既に仕組みは何度も解説しているので…今日はテクニカル面の解説を中心にします。基本構造を覚えておいてください。何故、カタルが赤字の段階で、多くの銘柄に取り組み始めるのか? 理由は相場の息が長いからですね。証券マンはお客様を説得せねばなりません。その為に時間が必要なのです。お客様は素人ですから…赤字の段階で構想を話しても、なかなか信じて貰えない訳ですが…企業業績が好転しはじめ、株価が上がり始めると、前もって予言してありますから、だんだん、カタルの解説を信じ始めるわけです。だから全顧客がカタル銘柄を買うようになりますね。予言が現実化すると…人間は誰でも信じるようになるのです。しかし…この予言は時代背景や経済環境を常に勉強をして、実践経験を積めば、ある程度まで誰にでも分かるようになります。しかし現実は予言どおりに、株価は動きません。政策により環境が変化し、企業業績が変わるからです。だから政策動向が大切なのです。
さてケネディクスをカタルは、今年3月初め、実際は2月の赤字発表の時に感じるわけですが…IRNETに登場させ、推奨したのは3月からでした。しかしそれほど熱心に薦めた訳ではありません。どうしても初期波動からの調整は長引く可能性があるからです。事実、今回も4月が高値ですが、既に6か月が経過しています。カタルが二度目に推奨し始めたのは6月だったかな? ケネディクスの株価が500円を割れたので、そろそろ…と考え始め、早ければサマラリーの対象に選別されると考えていました。しかし…ファイナンスなどが事前に決まっていたようで、結局、スタートは伸びるわけです。しかしこの間に、二つの大切な新事実が生まれました。一つは昨日の容積率の拡大報道、もう一つは介護分野などにもリートを利用できるように、規制緩和をすると言う報道です。この二つは潜在的な「見えない利益」を、大きく押し上げる材料です。この価値を理解しない人は相場をやる資格がありませんね。カタルは昨日の「今日の市況」で、今回の緩和処置で不動産ミニバブル当時に、地価は回復すると述べています。ここで銀座ティファニービルの価格推移を考えてくださいね。
さてテクニカルです。初期波動の最初の押しは意外に深く500円割れで留まらず…なんと311円まで押します。500円が300円じゃ、トホホ…追証の世界の話です。カタルの投資金額は大きくへこみます。幸い、カタルは5月には元本も引上げ、投資金額を減らしていたために、ギリギリ乗り越える事が出来ました。株などは必ず儲かります。問題は自分の力量を超えないことです。最終的に、追証が入ったなら信用の建玉を現物にして、尚且つ、買えるなら問題はありません。しかしこの事が、出来そうで出来ないのですね。だから多くの人が負け組に転落するのです。政策さえ正しいなら…確実に信用創造は拡大し、デフレ脱却が可能になります。もしケネディクス株を買って、損をするパターンがあるとすればアベノミクスの失敗です。だから首相の所信表明演説が重要なのですよ。中村正直などを引き合いに出した、あの意味を今の証券マンは理解しているのかどうか…。証券マンの人で、スマイルズの自助論を読もうと思った人が、何人いるのでしょうか?

この日足チャートで重要なことは、10月8日と9日の動きですね。全体相場が安い中で明らかに異色の動きでした。間違いなく、ヘッジファンドは参入しているのです。ただ規模は分かりません。これほどの逸材なので、きっと複数のファンドが関与しているのでしょう。更に公募株は海外取り分も多く、間違いなく種玉として仕入れられていますね。もう時間の問題です。政府はリートの規制を緩和し、容積率も緩和すると言います。外部環境はどんどん改善され、「見えない利益」は大きく膨らんでいます。4ケタになってもファンドは買うでしょうから、相当、大きな相場が確定しているのでしょう。既に相場は6か月以上休み、200日線とのかい離もなくなり、調整も充分です。カタルが今回、指摘したいのは10月8日、9日の陽線ですね。この連続陽線の起きた時の相場全体の環境は、非常にわるい物でした。それにも拘らず、分岐点と思われる株価で、予想通りに反発した動きは、間違いなく仕掛け人が存在する証です。
一番大きくなるパターンは、この仕掛け人たちが、自分達が利食いをしても、尚且つ株価が急騰するパターンです。ITバブル当時の相場の形です。そうなると人間は通常、悔しくなり…今度は空売りを仕掛けるのです。この空売りが踏まされる事があるのですね。それは政策次第です。現時点では分かりませんね。ひょっとすれば1兆円を超える受託資産規模なので、場合によれば…株価1万円と言う相場がないとは言えません。何しろ、失われた時代は、余りにも長く、明治から蓄えてきた三菱グループも含み益が全て飛んだほど、今回のバブル処理〈1989年〉は大きかったのです。時間を超えた整理が敢行されたのです。その怨念相場が、あり得るからですね。今から話しても仕方ありませんが…、当面は年末年始に向けた4ケタの相場を楽しみたいと思っています。
2013年10月12日
株式投資の神髄
今朝の新聞を見て…、細かい事ですが日経新聞とWSJの報道内容が若干違うので、記憶違いかな?…と思い調べ直したら、「見出し」の付け方が違っているようです。WSJの見出しは「9月の中国の乗用車販売台数、前年比21%増加」で、日経新聞は「中国、9月の新車販売19%増 日本メーカーも回復」となっています。中国汽車工業協会という同じ情報源なのに、何故、見出しの数字が2%も違うのでしょう。この記事の扱い方を一つとっても、社の編集方針と言うか社風が違うのでしょうね。インターネットが普及し、簡単に記事検索ができますから、なるべく関心のある話題は、いくつかの方法で検索を掛けた方が、より客観的に判断が出来るのでしょう。
このニュースと、鉄鉱石の輸入によりバルチック海運市況が反発しているとの記事などは、シャドーバンキング問題との兼ね合いが、先ず浮かびますね。「あれ?」おかしいな…。悪戯にシャドーバンキング問題を、日本のメディアは、日本のバブルや米国の金融危機、更にはギリシャ危機などと、連想を働かせた見方で、編集された記事を見慣れたせいか…何故か、この現実に違和感を覚えますね。日本のメディアの在り方は、どちらかと言えば清貧思想の観点が強すぎます。長いデフレ下に日本があり、村社会の悪い面が強調されているように感じられます。物事の見方と言うのは、必ず二面性があります。株を買う人、株を売る人…それぞれには、その背景になる理由が存在するのでしょう。カタルが現在推奨しているケネディクスに、007は一見しただけでは、その評価が分かり辛い銘柄です。
人は表面的な数字しか追いませんが、実際は株価が2倍になった後、誰がその高値を買うかが問題になります。多くの銘柄は株価が2倍になれば…大概の好業績は、株価に織り込まれます。故に人気化した時は、だいたいが売り場になるのです。しかし中には株価が2倍になったのに人気が続くケースがあります。更に企業業績が伸びるパターンですね。この見えない利益を推測するのが、株式投資の神髄なのでしょう。
カタルはこれまで様々な現実に起こっているニュースを組み合わせて、シナリオを構築しています。その現実はどういった社会的な背景があり起り、その社会環境で恩恵を受ける会社を探し、企業業績を調べるわけです。このような下調べが完成すれば…あとは仕掛け人の登場を待つだけの話ですね。世界中の投資家が、同じような感覚で見えない利益をネタに銘柄を探しています。だからこそ、時代背景をしっかり掴む事が大切になるのです。
その流れに身を委ねている企業の株価は、必ず騰がります。短絡的な発想では設備投資を政府は増やそうとしていますから、工場の新設に絡むロボット業界が注目されます。故にカタルは長い間、ファナックを追っています。理由は国内生産で為替効果も享受でき、ロボット技術世界一だからです。しかし安川電機の方が一般的には相場の投資効率は高く市場での人気度も高いですね。この見方は市場で既に浸透しており、株価と業績のギャップは余りありません。つまり正当な評価を受けている訳です。
一方で「アーク」は相場としては、単発に終わったように、円安効果による国内生産回帰は空振りでした。この辺りの背景がカタルの設備投資関連株への傾斜を妨げています。もし国内生産活動が活発化しているなら、この延長線上で銘柄選択を考えたのでしょう。しかし現実は長いデフレ環境だったために、下請けを含め、既に海外へ生産基地移転をしてしまい、余程の環境変化がないと国内回帰は難しいのでしょう。火種を落としては駄目だったのですが、デフレ脱却の決断が遅すぎたのです。カタルが金融庁批判をするのは、彼らがこの辺りに影響を与えたからですね。2006年からの日銀のマネタリーベースを絞る態度は、明らかに間違っていました。
丁度、今の米国は2006年の日本と同じ環境下にあるのでしょう。日本の場合はようやく不良債権のバブル処理も終わり、これから伸びる時代の入り口で、冷や水を浴びせたのですね。米国も今は同じ環境下にありますね。FRBが金融緩和縮小を取りやめるのも、JPモルガンが多額の訴訟損失引当金を積んだことを見れば頷けます。金融機能が正常に機能してないのに…、多少、バブルを連想させる現象が見られると、途端にお金を絞るミスリードを日銀が犯したので、本来は、米国の金融危機の影響度は低かった筈なのに被害が増幅されてしまいました。その結果がパナソニック、ソニーやシャープの赤字に繋がったのです。この辺りの現象を、よく政策担当者は理解をせねばなりません。ルネサスエレなどの倒産は、ある意味で日本の「村構造の敗退」なのですね。それを…革新機構ですからね。なかなか成長できない政策官僚に、株の取引でも奨励すればいいのです。馬鹿なカタル君でも、日本の迷走が嫌と言うほど分かるのですから…、彼らが信用取引をして追証の請求でも受ければ、自ずと政策が正しい方向に向かうのでしょうが…現実は株取引禁止ですからね。おかしな国です。

さて本筋に戻さないと…
株価が2倍になってもそれ以上に膨らむ利益、その銘柄としてカタル君は2銘柄ご用意しています。ケネディクスと007ですね。ケネディクスのチャートをよく見て下さい。2003年~2004年と、現状の社会環境は非常に良く似ているのです。カタルはいくつかの不動産売買の事例を紹介しています。ダヴィンチが失敗した軍艦ビルの売買価格の問題。2006年にダヴィンチが1430億円で買い、この度、アブダビ投資ファンド等が1170億円で買ったのですね。しかもメザニンローンが付いているのです。金融機能が復活している現象ですね。更に新生銀行の本社、建て替えの話しや銀座ティファニービルなどの現象を掲げています。統計上もこの傾向が裏付けられており、ここに来て銀行貸し出しを含め、マネーストックの拡大が続いています。カタルは何度も不動案向け融資残高推移を掲げ、2003年から2004年と同じ現象が、今、生まれていると解説しています。
どうしてケネディクスの利益が膨らむか? その理由も解説していますね。だから時間の問題なのです。あとは仕掛け人の力量次第なのですね。条件は整っています。株価が2倍になっても、企業業績は5倍、10倍と膨らむので問題はありませんね。だからこそ、下手は下手なりに619円の株価を超えてから、参戦しても一向に構わない訳ですね。上手に買おうと思うから、僅かな時間差に戸惑わされ、失敗を重ねるわけですね。「乗るは大相場」との格言があるのを知っていますか? 手数料などを考えると、儲けらしい儲けが出るのは株価が2倍や3倍、ひょっとすれば5倍から10倍になって、初めて素人は儲かったと…実感できるようになるのですね。信用創造はアベノミクスの神髄を突いているデフレ脱却の要なのでしょう。
2013年10月05日
金蔵の時代
しかし…市場とは、勝手気ままな世界だなぁ~と昔から感じています。
一般的な投資尺度として「PER」と言うものがあります。毎年稼ぎだす純利益を、発行済み株式総数で割ったものが、一株当たりの利益で「EPS」と言いますが、この利益水準を基に、株価を10倍まで買うと言うのが、現在の市場のコンセンサス(合意)です。つまりその企業は、10年間は、その利益を稼ぎ出すので、その企業価値はPER10倍程度の評価が妥当だろうと言う、市場の「暗黙の了承」が存在します。丁度、日銀券やドル紙幣が紙屑なのに、皆が、その紙くずを一定の価値に置き換えている「暗黙の了承」と同じ意味ですね。まぁ、ここで言う10倍が正しいのかどうかは、意見が割れますが、そんな認識が市場にはあります。だからPER5倍だと割安だとか…PERが50倍だと割高だとか言われる訳です。
しかしこの市場評価の基準は、時代により「ものさし」が変わります。カタルが証券界に入った頃はPER30倍程度が基準だったように感じます。その理由は、その時代は日本全体の成長率が高く、5%~7%程度の成長率が当たり前の時代でした。今では、信じられないかもしれませんが6.1%の利率の国債、通称「61国債」を販売するのに苦労していた時代です。カタルが最初に売った販売のノルマが、国債の100万円でした。「元本保証」と謳って国債を売っていたのですが、その国債を買ったお客様が、半年後位に換金に来られ、国債を売却すると100万円が、95万円程度だったか、90万円程度だったか…、記憶は定かであありませんが、兎に角、僕は自分の言っていた元本保証を約束できなかったのです。
小さな証券会社ですし当時は社員教育も疎かだったのです。10年の償還まで持っていれば元本保証なのですね。途中で売る場合は、市場動向により高くなる場合もあれば、安くなる場合もあります。こんな初歩的な知識もなく、国債を販売していたわけです。その為に悩み、一時は証券会社を辞めようかと思ったほどです。嘘をつくのが、耐えられなかったわけです。そんな小さな積み重ねがあり、今ではかなり世の中の仕組みが分かるようになってきました。月間株式手数料1000万円と言うのは、今でもトップクラスの水準だと思います。これを達成したのは4年生か5年生の頃ですね。小野薬品が大相場を演じた時だったと思います。考えてみれば分かります。金融マンの年収が1000万なら、僅か1か月で年収分を稼ぐのですから、優秀な部類だったのでしょう。こんな脇道の話をしていると本題が逸れますので戻しますが、時代によりPERの評価が変わる訳です。
カタルが証券界に入社した当時、株式の持ち合い制度が確立されており、銀行株の売買などは、一度、銀行の資金運用部?に電話をして「御行の株式を1万株売りたい人が居ますが、どうしましょう。」市場には注文を出す前に、銀行に電話をしていた時代です。そうすると信用を重んじる銀行は、株価を維持するために買い手を探してくれ、直ぐに売買が成立する仕組みでした。それほど株式の持ち合い制度が確立していたのですね。
あれはスーパーの公募増資の時だったかな?
取引先リストが持って回りセールスに行くわけです。例えばイオンの取引先は非常に多いですね。製品を納入する業者は数が多く、そのリストを基に、セールスに回ります。大概はそれでノルマは終了です。取引先は簡単に株式を売りませんね。こうやって持ち合い株制度は確立して行きました。この制度の推進役が、野村証券です。その為に日本の株式は世界から見て、利益水準の割に株価が高くPERが割高だったのです。この持ち合い制度の仕組みが解消されたのが、2000年に入ってからでしょう。今でも資本関係が保たれている企業もありますが…概ね、解消されました。長年、企業にとって株主総会はお飾りだったのです。
このような仕組みは、日本村社会に多く残っており、グローバル化の洗礼を受け、この仕組みの転換に掛かったのが「失われた時代」です。何もデフレ時代は、政策が悪かっただけでなく、過去の偽造社会の修正が、主眼にあったのですね。日本村社会がグローバル化するために、プラザ合意以降、何年にも及び仕組みを変化させてきました。銀行の自己資本比率規制なども、同じ土壌下にあります。社会全体が日米同盟により守られた、保護の55年体制時代から変化を遂げてきたのです。この期間が失われた過去の仕組みの清算の時代でした。江戸時代の徳川時代の清算の為に、明治政府は会津を仮想敵国として祭り上げ、見せしめに叩いたのです。だから会津の人は近年まで、「薩摩憎し」の感情がありましたね。皆さんのおじいちゃんに聞いてみれば、その時代を知る人も居るでしょう。徳川幕府に保護されていた東本願寺も、時代が変わり明治政府に苛められ、北海道開拓に利用されました。歴史は面白いですね。この時代にアイヌ民族は迫害されていきます。
兎も角、日本はプラザ合意から始まった制度改革をようやく終えたのが、ダヴィンチなどが創業した1998年頃と思われます。その後は惰性で…失政の連続です。また15年も掛かる訳ですね。人々の認識の変化には、世代交代と言う時間が経過しないと、新しい時代の幕が開かないのでしょう。きっと…。黒船来航から明治政府の内部抗争が終る西南の役まで、1853年から1877年ですから実に24年掛かっています。1985年がプラザ合意ですから、2009年が24年目になります。現代は明治14年頃の時代にあるのでしょう。この明治14年(1881年)に政変が起きています。伊藤博文や井上毅が支持するビスマルク憲法か、イギリスの議院内閣制を憲法にするか争われた大隈重信などが対立する立憲体制を巡る争いですね。何故か、安倍政権は日本国憲法の改正を掲げているのは、奇妙にも時代が一致します。因みに大日本国憲法は1889年に公布され、1890年に施行されています。まさに「歴史は繰り返す」なのでしょう。
先日、伊勢神宮では「式年遷宮」の儀式が行われました。当たっているかどうか定かではありませんが、前は東側の「米蔵」と呼ばれる敷地に、天照大御神が鎮座されていましたが、「米蔵」の時代は、食は満ち足りているが、経済は低迷し、助け合う時代なのだそうです。今度、遷宮された西側は「金蔵」と呼ばれており、この時代は世の中が忙しくなり、人間関係は疎遠になりますが、経済的には発展するインフレの時代なのだそうです。本当かな? でも、この見方は面白いですね。
僕らの概念と言うものは、時代により認識が大きく変わるのですね。冒頭のPERの話しからこんな展開に…今日の原稿は相成りましたが、実は、今日の狙いは、「オバマ・ケア」で揉める米国議会の混乱は、釣りで使われる「疑似餌」のようなものと言う解説に、皆さんの思考パターンを誘導しようと、原稿を書く前に思っていたのです。カタルの原稿は、時々、書いている途中で、異次元空間に飛ぶので困ったものです。疑似餌の話は、又にしましょう。何しろ長くなったので…。それでは、また明日。