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銘柄の選別(2013年08月17日)
日経新聞を見ると…ようやく日本の金融制度が変わるらしいですね。実に20年ぶりの変化と言っても過言ではないでしょうが…果たして日本の組織に人材が生き残っているかどうか…。的を得た政策変更でしょうが…この記事は日経のアドバルーンかも知れないし、仮に規制緩和になっても、円安のように遅いかもしれませんね。火種が残っている内なら、いざ知らず、既に火種は消えているのでしょう。長い失われた時代が続いたので、多くの業界で正常な人間を失うのに、充分な「空白の時間」だったのです。池井戸潤君の小説を読めば分かります。既に小説になっているのです。さらに証券界を見れば分かります。今の証券界で、株の事が知っている人が生き残っているとも思えません。皆マニュアル人間ばかりで、財務局の検査員にたてつく人など居ないでしょう。しかし本日の日経新聞の一面は、非常に価値のある規制の変更ですよ。この規制を緩和することで銀行融資の姿勢が変わり、日本に活力が戻ります。もっと早く規制を緩和していれば、ダヴィンチも…古くは鐘紡も、上場廃止にならず済んだのでしょう。ひょっとすれば…双日のMSCBの発行もなかったかもしれません。そうすれば、僕らは損をする事も無かったかもしれないのです。人生は運ですからね。
さて今日は「銘柄の選別」の話をしましょう。なかなかカタル基準にある銘柄は見つかりません。007は2010年2月からの注目銘柄です。まさかQBの開発に2年以上の歳月がかかるとは…あの当時は思いもしなかったのですね。通常、株価は理想買いと、現実買いの二種類の相場があるとされます。この組み合わせの間隔が、相場では問題になります。更に利益の質も問題になります。ガンホーに当初から興味を抱かなかったカタル君、かなり早い段階でパズドラが売れているらしいと言う話は聞いていました。しかし…、「利益の質」が問題になったのですね。実際の相場が大きくなったのは、相場のタイミング、つまり相場全体の外部環境と、想定外の売り上げ増加でした。この二種類の条件が重なったので相場が意外高したのでしょう。ただ「利益の質」の概念はやはり崩せませんね。同じ一株利益100円でも…PERと言う評価に違いが出るのは、この「利益の質」が違うからです。

ゲームは単発の「利益の質」で、流行に左右され、囃される時間が短いとされます。一方、積み上げ式の利益もあります。一度利用すると…何度もリピートされる利益です。携帯電話会社の料金は、この範疇にあります。電力料金もそうですね。一般に公共関連の利益の質は継続的に利用され、半永久的に生まれます。しかし料金産業は許認可で、利益が膨らむと料金改定が行われ、大きく儲ける事が出来ません。日本の携帯料金は高いとされていますから…本来は社会インフラも整備されたので、規制が掛かっても不思議ではありません。その為にPERの評価は低いのが通例です。
更に利益の上昇確度が問題にされます。ガンホーのようなブーム商品は売上高が倍々ゲームで伸びます。この右肩上がりの上昇カーブが相場には魅力になります。グリーは今回の決算発表により、十中八九、相場は転換しました。たった1日の大幅上昇ですが…大きな陽線は相場の基本波動を変えるものです。日経平均で見れば5月23日の陰線は、基本波動が変化を迎えたのですね。それと同じです。現在のカタルの実力では、全体の株価波動が上昇しない限り、儲けらしい、儲けは生まれません。残念ながらオールマイティーにはなっていません。
個別企業の努力も当然のことですが…相場の外部環境も大きく相場のスケールを変えます。その意味では今回のガンホーは条件が整い、大きく育ちました。もしこの企業業績の波がもっと早く民主党政権下で始まっていれば、いくら好業績でもこんなに大きな相場にならなかったでしょう。アベノミクスと言う最大限の追い風環境が、市場に生まれていた時期だけに…相場が大きくなったのですね。カタルが何度も値惚れによる買いに注意を促すのは…とんでもない間違いを犯す可能性があるからですね。
パズドラ一発だけの企業業績の好転だと仮定すれば、株価はドンドン下がります。PERが10倍を割れ、割安感を感じてからの株価の下げはきついものです。今、この原稿を書く為に、初めてガンホーのサイトのページを閲覧し、四半期別売り上げ推移を見ています。212.1Q辺りに3291百万円と企業業績変化が生まれ、2Qは3846百万円、3Qは4561百万円ですね。そうして4Qはフィーバーして14121百万円になっています。株価的には10月から12月に変化を感じ、昨年のこの時期が、もっともワクワクする面白い場面だったのでしょう。

今、チャートを開きました。やはり…そのような展開になっていますね。しかし4Qから2013年1Qの14121百万円から2Qの30904百万円の変化率は鈍っています。これでは株価は持ちませんね。ひょっとすれば…株価は既に大天井を付けた可能性があります。ガンホーのケースは黒字からのスタートで、大きなヒット商品に恵まれ企業業績はさらにスケールアップしました。この段階で馬鹿をやったのがグリーと言う会社です。この利益の伸びを前提にして、一気に企業買収や海外事業の規模を拡大させ、更に従業員の給料水準を…それも基本給を大幅に引き上げました。

カタルが、最も懸念していた膿を今回出し切ったのかどうか…と本文で述べたのは、M&Aのれん償却も一括して損金計上すべきだったと…考えていたのです。しかしリストラは不採算部門と思われる損金計上に留まりましたね。この辺りの評価が、株価予測を難しくさせています。だから業績変化の「角度」の話を、「今日の市況」の本文でしたのです。カタルが経営者ならM&A資金も減損会計をしたかも知れません。その方が再出発をより強くしましたね。のれん代の償却は買収した会社の利益で償却すべきなのですが…、それに見合った買収額だったのか…。良く調べてないので分かりませんが…。海外売り上げ部門が黒字化しても…買収時に見込んだ利益が計上されないと、V字回復に繋がりませんね。あの時、日産自動車のゴーンは、未来の費用まで、前期の決算に押し込みV字回復を演出したのです。
この辺りの間隔は、経営者と会計士の話し合いの中身で…推測なので分からないのですね。田中さんの「覚悟のほど」が見えないのです。もしM&Aの「のれん代」まで減損会計を実施して通期の数字を赤字にしていたら…相場的にはもっと面白かったのです。一旦株価は下がり、それから出直れば…カタルも相場に参加していたでしょう。グリーの相場に悲観的な訳ではありませんよ。カタルはドラスティックな相場を想像しただけの話です。そうです。昨日、既に原稿を書く前に、売り禁になっていたのですね。昨日の今日の市況にその事を盛るべきでしたね。ごめんなさい。注意喚起にも既になっていたのでしたね。通常は注意喚起の後、段階的に担保率を上げたりして、ステップを踏みながら売り禁止になりますが…。いきなりの売り禁は、今の目先筋の相場を象徴するような出来事でした。

皆さんに相場論を解説すると…長くなりますね。グラフなども用いなければならないし…正直、面倒なのです。上記のガンホーの四半期別売り上げ推移と株価波動を見ると、業績ペースの現在進行形の形で、株価も連動していることが、よく理解されると思います。カタルは007を久しぶりに買い増ししようかと考えています。実際、若干ですが、既に株を買い増ししましたが更に買おうかな…とも考えている理由は、このガンホーの動きを見れば、カタルが金曜日に相場観を述べた理由が分かりますね。多くの皆さんは、赤字を毛嫌いしますが…赤字にも色んなパターンがあります。赤字額が膨らむ過程なら問題ですが…いつ黒字化するかという段階の赤字は、株価面では魅力的なのです。今の007はひょっとすれば、ガンホーの3Q(10月~12月)の段階で、ガンホーの株価面に007の時間軸を置き換えると…今の007はガンホーの昨年11月8日の段階かも知れません。(あくまでも贔屓目線です。)
カタル銘柄のほとんどは…誰もが疑問を感じる赤字から取り組んでいます。時代性に乗り、企業業績に変化が生まれ、その利益が加速度的に増えて行く。ただそれだけでは、株は上がりませんよ。全体相場が大きく影響します。空売りが儲かるような相場環境では、いくら仕掛けても無駄です。空売りはチョビチョビ儲けて、ドカーンとやられます。空売りに意地は禁物ですよ。グリーの話をしています。何故、本決算を通過したことが重要かと言えば…カタルはM&Aの「のれん代」まで会計士に指摘され、減損を強いられるんじゃ…ないかと疑っていました。丁度、シャープの工場建設費の減損会計処理と同じ発想です。仕組みを知れば知るほど奥が深いし…周りの時代性に流され、企業業績の恣意的な数字を感じられるかとおもいます。
今日は若干、株価の見方を解説しました。ガンホーを中心に、グリーと007を絡めたので分かりにくかったかもしれません。しかしカタルの説明が理解されなくても良いのです。毎日読めば、何れだんだん、その辺に転がっている証券マン以上に、自分の知識武装はされて行くでしょう。分からなくても…、面白くなくても…、毎日、接している。この無駄に思える時間が、やがて膨大な利益を生むと信じて…カタルは日々生きています。所詮、最後は「運」が、ものを言いますからね。何が幸いするか、分からないものです。追証で投げさせられたから…新しい出発で成功することもあります。人生は何が起こるか分からないから、面白いのですね。ただ諦めないで続けることが、大切なのでしょう。例え1株でも…。