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世界の潮流(2013年06月29日)
最近、金価格は下がっていると、度々報道されていますが…この感覚は不思議ですね。為替の影響なのでしょうが、この違和感は何処からくるのでしょう。国内の金価格は2013年4月10日の5339円でピークを打ったようです。しかし国際市場では2011年9月の1921ドルでした。国内ではグラム、国際価格の単位はトロイオンス(1トロイオンス=31.1g)なので、何故か、しっくりきませんが…。しかし国内のピークは、第二次オイルショックからソ連のアフガン侵攻時に付けた1980年1月の6495円なのですね。これほど国際価格の金が上昇したのに…。国内価格では残念ながらピークを更新する事が出来ませんでした。この事からも分かるように…円の為替水準は、やはり過剰に評価されているのでしょう。

1989年11月のベルリン壁崩壊からBRICsの誕生への流れを、当時、想像するのは困難でした。鄧小平の南巡講話が1992年1月から2月の話ですね。「富める者から豊かに成れ」と市場原理主義に傾く政策の機敏さが今日のGDP大国の誕生を、あの時に示唆していました。逆に日本はその頃からバブル期の反省に沈み「失われた時代」を過ごすことになります。空洞化の動きと相まっています。そうしてナスダック市場の2000年3月10日の5132ドルをピークとするITバブル・ブームにより、一気に通信環境が劇的に変化しインターネット環境が急速に整備されます。象徴的な事例は2002年8月に始まったソフトバンクの子会社が提供するヤフーBBのパラソル戦略でしょう。無料をうたい文句にADSLへの加入推進は日本の進化に大きく貢献しました。
丁度この頃、1997年にマイロン・ショールズがブラックーショールズ方程式でノーベル賞を受賞した辺りから、オプションの考え方が金融界に急速に広がり、金融工学が大きく発展します。そうしてサブプライムローンから金融危機に至り、CDSを保証していたAIGと言う保険会社に公的資金が投入されましたね。CDS残高は異常に膨らんでいました。この金融工学の進化によりデリバティブ全盛期を迎え、新興国ブームが一気に広がります。しかし2007年10月に上海総合株価指数は天井を打ちます。この新興国投資のブームを支えたのは、ITバブル崩壊により、お金が代わりに向かったのが、代替投資(オルタナティブ投資)と言う商品市況への流れでもあります。
CRBなどの商品指数は2008年7月に、金融危機と共に天井を打ちますが、金価格は金融システム崩壊の代替手段として、長らく資金が保持されていました。その様子は此方のチャートの方が良いでしょう。この関係は他の商品の動きと違い面白いものがあります。

先日、三菱UFJはアユタヤ銀行(タイ5位)の買収に動くと報道されています。まだ実現はしてなく観測記事でしょうが…。邦銀の転換期は2003年です。あれから10年ですからね。自己資本比率規制(BIS規制)の改善のハードルは高かったでしょう。1998年には、我が国の土地バブルの処理は、一旦、終了したのでしょう。理由はダヴィンチの誕生です。不動産の収益還元法価格への収斂ですね。仮にアベノミクスが成功するなら、我が国の不動産は、ようやく上昇に向かうタイミングとなります。ここに来て世界の不動産マネーは日本をターゲットに動き始めています。ダヴィンチの金子さんは非常に優秀だと言われていました。何しろ、あのロックフェラー財団からもお金を出させるわけですからね。惜しい人を日本は潰したものです。何故なら、メザニンローンなどの普及に貢献したからですね。失敗したのですが…残っていれば日本の金融市場に革新をもたらしたかもしれません。ホリエモンにしてもそうですが…惜しい人を失いました。
既得者利益を重視する仕組み社会の殻は、なかなか破れませんね。西武電鉄などをみると、堤一族の私物化が未だに通用している有様で、JR東日本などが応援する論理が、何故、働くのでしょう。JR東のお金のつかい方は、理解に苦しみます。株主利益に相反するもので市場経済化していない日本の「仕組み社会」の力の強さを物語るものですね。電気事業法改正案が廃案になったことは、如何にも自民党らしい対応です。「だから、ねじれ国会を解消しなくてはならない。」と結ぶ辺りは、如何にも政治家らしいですね。小手先の口先人間だけが認められる眉唾の仕組み社会か…。さて余談はこの程度にして、最近は金価格が下がっていると…度々、報道され話題になっています。この動きはベルリンの壁崩壊から流れていた資金の転換を示すもので2011年9月に流れが変わりました。QE1からQE2そうしてQE3と米国の緩和は続きましたが…同時にファニーメイやフレディマックの正常化が見えるようになり、米国住宅市況の転換期と金価格の動向は重なっています。
物事の流れの基本は、必ず起承転結がありますね。山場を迎え終わるのですね。株式市場には有名な格言があります。「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑と共に成長し、楽観と共に成熟し、幸福感と共に消えていく」と言うニュアンスの言葉ですね。上手く物事の成り立ちを示した言葉です。カタルが007を支持し続けている理由は、懐疑と共に成長している過程だからですね。株の場合は楽観と共に成熟するのでガンホーのように利益が見えるようになると相場は終わりを迎えます。2年ほど前のグリーの田中さんの心境でしょう。株の世界で赤字から黒字への過程が、一番効率が高い投資だという事を示しているのです。
話しがそれますね。金価格です。異次元緩和により金価格が一段安しているのは奇異にも移ります。だってインフレになればモノの価格は上がり、商品価格は高騰しても良いのに…世界の商品は下がっていますね。最近、あまり大きく採り上げられていませんでしたが、イングランド銀行のキング総裁は議会証言で、国内銀行は2012年末時点の自己資本規制を満たすためには、総額271億ポンド(4兆1000億円)の資本の増強が必要と指摘していました。先進国の金融システムが復活するかどうかの順番は、米国、日本、欧州と、市場では判断されているようです。そうして金融システムの正常化の可能性が高まってきたので、金価格が下げているとも思われます。代替需要が薄れてきたのでしょう。中国では地方政府の不良債権への取り組み姿勢が明確にされ始めています。同時に人件費の高騰から、ロボット需要が膨らみ安川は工場を新設しますね。
ここまで世界のお金の潮流について考えてきました。既にレポート書くにあたり、4時間以上が経過し疲れてきました。中途半端に映ると思いますが、日本株の行方を決める重要なポイントの一つの検証作業を進めてきたつもりです。CRB指数の動きと金価格の流れは違い、意外にもナスダック市場は高値を更新しておらず、ITバブルの凄さを実感したのですね。そうしてIRNETの多くの読者は、パラソル戦略以降の人達なのでしょう。カタルは電話回線時代から始めましたからね。あの時にカタルは転職を考えていたのですね。1997年から1998年の話ですね。その時に面会したペイペイの宮坂さんが、今ではヤフーの社長になっているのですから、時代の流れの早さを実感する次第ですね。スマフォの誕生は、2009年ですからね。2002年のパラソル戦略から、まだ10年余りの時間です。大きな流れを考える事の大切さを実感して下さい。