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黒田さんの真価は如何に…(2013年06月08日)
市場にはいろんな見方があり戸惑う人も多いでしょうね。
だから市場動向と実体景気の立ち位置を解説しなければなりませんが…なかなかメディアの人は、間違った解釈をする人もおり、困ったことです。長いカタルの読者の人は、お分かり頂けるでしょうが、カタルの基本は円高論者です。円安より円高の方が良いのだと考えています。しかし…構造改革の途中で日本はミスリードを連発してしまい、構造改革が中途半端で、新しい芽(新成長戦略)の統合性が取れていませんね。既に技術開発は出来ており、後は後押しをする流れを、作れば良いのですが…、中央官僚組織が機能してないのでしょう。アベノミクスの成否は此処にあります。薬のネット販売など茶番に過ぎないのです。ITSを初めとする高度交通技術を活用するために「みちびき」の後継機の打ち上げを前倒しで進め、遺伝子情報を加味した情報医療の確立を成し遂げ、交通システムも変化させねばなりません。本当に都心で自動車などが必要なのかどうか…。もっと便利なものが沢山あります。極めつけはキャッシュレス社会の構築ですね。犯罪も脱税もなくなり、お金の行方が追えるからフェアな社会が確立されますが、反対する悪者が多いのでしょう。株式市場を見れば分かりますね。僅かな、みせ玉を用い相場を意図的に株価を崩したり、注文を何度も出したり引っこめたりする人は、みんな、ある意味で犯罪者ですよ。実社会にも振り込め詐欺などが横行し、老人大国に優しくありませんね。キャッシュレス社会なら起こらない事件です。犯罪の捜査は怨恨だけに絞られるのでしょう。
株価の調整は現政権への警告ですね。このような時に元日銀総裁の三重野さんは、株が下がっても経済は影響ないと、資産デフレの弊害を軽視していました。それから何年も日銀は資産デフレの弊害を認めて来ませんでした。…が、しかし日銀が初めて「失われた時代」の反省をしたのが、2010年10月の包括的金融政策の採用で、リートとETFの買い入れを表明した時ですね。しかし2012年春には再びマネタリーベースの伸びをマイナスにするのですから…、呆れるデフレ概念ですね。順調な経済成長を望むなら、グローバル化の影響もあるから、10%近いマネーの伸びを、どんな時も確保しなければならない筈です。実は米国の金融危機が起こる前から、日銀は資金量を絞りはじめマイナス展開していたところに、例の金融危機が勃発し日本経済は「デフレ・ボトム・ポケット」に叩き落されました。勿論、経営者の判断ミスもあったのです。
先日、NHKでTSMC(台湾積体電路製造)のモリス・チャンの特集をしていました。両親は共産党と戦い敗れた国民党の支持者だったようですね。18歳で渡米しテキサス・インストルメント(TI)に入社したあと、54歳で起業するのですね。まぁ、台湾当局の応援があるのですが…それにしても凄いパワーです。彼は日本の半導体業界の失敗の原因を語っていました。「日本は垂直統合・分離型で設計だけの会社はない。設計、製造、組み立てが日本の垂直型だが、世界は水平分業型に変わっている。」まぁ、販売も含め日本は日立のような形を重視し、構造改革の入り口でパイオニアの「指名解雇」と言う事件が起こったのは1993年の話しでしたね。日本は構造転換の入り口で、システム転換への障害である世論の反対に遭い、「失われた時代」の道を、自ら選んだとも言えるのでしょう。日立はつい最近ですからね。構造転換を進めたのは…。2006年の古川さんの時代から日立は変化を始めました。この事例から見ると1993年から2006年の13年間が経営者の失われた時代とも言えます。
長々と前置きを述べていますが、バックボーンがないと、なかなか現在の相場を理解できないからです。今回の円安で分かったことは、既に製造業の構造改革は進んでおり、後戻りはできないという事です。80円から105円でも製造業の回帰現象は見られませんでした。現状の移転計画を延長する程度の状況だったですね。だからアークの相場の腰が弱いのでしょう。市場経済とは、実体経済の動向を市場と言う鏡を通じて試すわけですね。常に市場は正しいと考えて、市場動向に合わせ、政策のスタンスを変えます。本来ならアベノミクスの新成長戦略で、PFI関連株やPPP関連株が物色されるべきタイミングです。カタルは最近ですが、熊谷と言う会社に興味を感じました。この会社が一つの会社の方針として力を入れているからですね。既に実証段階に入っています。クスリの開発で例えるなら臨床段階という事でしょう。まだ売り上げに占める割合は、僅かですが、これからの市場規模を考えるなら、欠くことが出来ない関連株として注目されますね。
ところが…、市場を見渡すと…群栄、丸栄などのババ抜き合戦を演じています。市場は明らかにアベノミクスの副作用を支持しています。つまりアベノミクスの失敗ですよ。異次元緩和はこれからで、資産価格が上昇するのですが…。だから敢えてカタルはケネディクスを金曜日に、再び取り上げました。理由は10日、11日の金融決定政策会合で黒田さんの真価が問われるからです。彼が本当に市場原理主義者なら、間違いなく市場の動揺を抑える為に、新しい手段を採用し行動する筈ですね。昨日の長期金利の水準は0.835%ですよ。もし金利だけが高止まりし続けるなら…。(僕は原則、1%程度の水準は容認しています。故に横ばいでも良いのですが…)政策への信頼感が失われますね。やはりヘッジファンドなどの市場関係者の疑念を、払拭させねばなりませんね。
これだけ株が上がったので、調整はある意味で当然なのですが…、調整の中身が悪すぎます。失われたデフレ時代が長かったので、市場参加者が動揺するのは、良く分かります。故に新興株などの2段下げの急落が、生まれているのでしょう。通常、2段下げは調整のリズムなのです。まだ市場は健全に機能していますが、市場の動揺を抑える為に、市場は政策主体の力量を試しています。黒田の力量が、市場から問われているのですね。もし何も、今回の政策決定会合で「現状維持」の回答をするようなら、市場はさらに混乱し、アベノミクスの価値は大きく下がります。シャープなら、いざ知らず、ソニーやパナソニックが、その時間に耐えられるとは思いません。だから黒田さんが回答せずに、現状維持なら、一般株の2段下げが演じられ、「デフレ・ボトム・ポケット」からの脱出を先買いした3銘柄は、残念ながら、空売りの対象になるでしょう。おそらく参議院選挙も自民党は勝てなくなる可能性も出てきますね。
だから日経新聞さん、あなた方が書く記事が明暗を握ってもいます。ようやく長期金利の動きを掲載し、今日は黒田さんの真偽を問う、一面記事を掲げてありますが、もっと黒田さんに、現状を分かるように問いかけねばなりませんね。彼の真価が問われているのです。つまり安倍政権の真価が、市場から問われているのですね。アホな菅政権の下で日本の製造業のコストは上昇しました。法人税も高く、いくら我慢強い日本企業も、既に日本には拠点を持っていませんね。シャープが危機に問われているのは、当たり前なのです。亀山から堺は、明らかに余計だったのです。日本に雇用の場を維持させたいと考えるには、政策の転換が遅すぎましたね。1989年から2010年ですよ。20年以上も日銀はデフレ政策を堅持してきたのですね。今の相場は、ようやく「デフレ・ボトム・ポケット」から脱出できるかどうか…の瀬戸際です。
だからカタルは、再びケネディクスを推奨し、市場にその存在価値を問うたのです。ケネディクスは赤字から黒字転換したばかりですが、資産デフレから資産効果を見直す、重要なキーワードの銘柄ですね。この会社が再び沈むようなら、アベノミクスなど成功する筈がありませんね。ソニーは間違いなく倒産の岐路に立つでしょう。既に異次元緩和に踏み込み、長期金利は上昇し始めました。この事は正常化との裏返しの動きで容認されますが、スピードが問題なのですね。市場は既にガラガラポンのリスクを感じ、慄いているから動揺を鎮めねばなりません。だからケネディクスの株価が反騰の狼煙になり、2段上げに入る筈なのです。1兆円を超える付加価値は高いですよ。探して御覧なさい。だれもこの時期に、都心の物件を数千億円も買えませんね。僕の友達は2003年の不良債権の処理の最中に、リーマンから800億円の資金の運用を頼まれましたが、そのお金を使い切ることが出来なかったのです。僅か800億円の物件を、採算の合う形で揃えるのは出来ないのです。
だから1兆円と言う資産価値は、今では2兆にも3兆にも匹敵するのかもしれません。昨日の株価は46350円です。つまり時価総額で1061億円に過ぎません。この会社の受託資産は1兆1270億円もあります。最近の動向では運用利回りは5%ですから、毎年、この会社が生み出すキャッシュは563億円もありますね。勿論、金利負担があり、借金を返済せねばなりませんが、当面は利払いを続け資産を積み上げ、上がった資産を売却し始めて売り出せば…。何しろ浅草は1年で9%も地価が上昇したのですね。仮に20%上昇したら…、大変ですね。2254億円の含み利益が生まれます。何故、3月から外人買いと思われる買いが入り、株価が暴騰したか? 背景を説明すればマジックが見えてくるでしょう。株価が新高値圏に、一気に突入しても不思議ではありませんね。

上には東京都の基準地価動向の推移を掲げました。1998年にはバブルの後遺症の処理は終わっているのです。ダヴィンチの金子さんは、投資採算利回りが合うから、資産運用会社を創業させ、外国資本を頼りに受託資産の運用を開始したのですね。彼は非常に優秀で合理的な判断をする人です。しかも果敢に兆戦を続けましたが、2006年の日銀の政策転換や米国発の金融危機に追い込まれ、減損会計システムに敗退し、市場から去りました。倒産したわけではありませんよ。2010年の証券マン時代に、カタルは何度も助けるべき会社だと述べていましたが、誰もリスクを取りませんでしたね。きっと日本の仕組みに、金子さんが敗退したのでしょう。三菱UFJも、三井住友、みずほも、誰も…金融庁様の意向に逆らうことは出来ませんね。

何故、僕が、この話をするかと言えば非常に重要なのです。日本は1998年にバブルの処理を終え、成長戦略に進むべきだったのですが…ようやく、転換したのが2003年ですが、折角、浮上の形に持ち上げておきながら…、2006年に、日銀は間違ったミスリードをしています。今のFRBと同じ状況ですね。日本は先駆者で米国のお手本ですよ。マネタリーベースの推移を見れば分かります。ある意味で、今、問われているアベノミクスの真価は、小泉政権下の動向に似ています。金子さんが沈むのは無理がありませんね。丁度、信用取引で規模を拡大させた状況下で、奈落の底に叩き落とすような試練を与えた訳ですね。しかしこの試練に残ったのが、ケネディクスと言う会社でもあります。伊藤忠のバックがあったから銀行や会計士は、無理に減損会計を強要しなかったのでしょう。面白ものですね。人生は…。金子さん方が優秀なのに…ある意味でこの状況が日本の限界ですね。
長くなりましたね。相場の背景を語るには、これでは不十分でしょうが、おおよその相場の立ち位置が、ご理解いただけると思います。何故、ケネディクスが反騰の狼煙になるのか、お分かり頂けると思います。資産効果を無視しては、経済運営などできませんね。株は上がるから、人気が高まり、資金が世界中から集まるのですね。資金がなければ、成長などできません。信用創造の意味を、日本人はあまりに知りません。三重野さんのレベルでも知らなかったのです。鄧小平さえ市場経済の道を歩んだのですよ。世界は市場経済の下に成り立っています。