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株式教室

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株価の基礎(お金の動き)(2013年03月09日)

1989年に起こったバブルの清算が、またひとつ終わります。三井住友トラストホールディングス(三井信託など)が、国から支援を受けていた資金の株式5億株を買い受けるそうです。半分は償却して、半分は市場で売却するのだとか…。先日、カブトデコムの清算が終わり、残るは「りそな」や「あおぞら」、「新生」などになりますね。1989年から、なんと24年か…。米国の金融危機の歪は、GSE(フレディーマックやファニーメイ)を見ていれば分かります。ただ日本と米国の違いは、後処理の適性さの違いです。日本の戦後の成長は、日米同盟に擁護され、日本独自規格の慣習により高成長を遂げましたが…ベルリンの壁崩壊、所謂、東西冷戦の終結により、バリアが外され内外価格差の崩壊など…構造改革を余儀なくされ、デフレ環境が続きました。私は三重野元日銀総裁だけを責めているように聞こえるかもしれませんが、実態は非常に複雑なのです。

先日、ベネズエラのウゴ・チャベス氏が癌で亡くなりました。58歳だったそうです。彼の国連演説はすごかったですね。米国を名指しで批判しました。『チャベスは前日の総会でブッシュが演説したことに触れ、「米国人にとっての脅威は彼ら自身の家にある。悪魔は本国にいる。昨日ここに悪魔が来た。まさにこの壇上に。まだ地獄の硫黄の匂いがする」と言い、お祓いの為に天を仰いで十字を切ったのだ。そしてブッシュによる外交政策を「悪魔のレシピ」「まるでヒッチコックの映画」と断罪し、「世界はお前の所有物じゃない、頭を医者に分析してもらえ」と斬り捨てた。』そうです。

アカデミー賞受賞の「アルゴ」の制作会社は「GKフィルムズスモークハウス・ピクチャーズ」と言う会社だそうで…配給はワーナーブラザーズに頼りました。その為か…日本での前評判は今ひとつだったのかな?僕は受賞が決まってから、先日に観に行ってきました。今、米国がイランに対し、敵対する気持ちもよく分かります。それと同時に…歴史を見ると米国の「覇権主義」に対する態度、北朝鮮の敵対、イラン、シリアなど…彼らの気持ちも分からないでもありません。過去、米国はアフガン、イラク、ベトナムなど…世界のポリスマンを演じてきました。その為に膨大な軍事費に苦しんでいます。1962年のキューバ危機を題材に描いた「13デイズ」と言う映画も、米国とソ連の「東西冷戦」下を理解するために、必要な知識でしょう。

さて今日は株式投資の知識を補うための基礎知識の学習篇を書く予定です。IRNETの読者層の知識レベルが、どの程度なのか? 非常に対象を絞るのが難しく、普段、カタルは証券マンの理論武装のようなページを、構成しているように感じます。それは自分の考えを整理するために、簡単な解説は省き難しい言葉を使っているかも知れないからです。一般の人は「流動性の罠」も「イールドカーブ」などの専門用語は理解できてないから…、いちいち解説が必要なのかもしれません。証券マンでさえ、おそらく僕の解説している事項を理解されているかどうか…疑わしいですね。理由の一つは…日本が本物を作る環境下にないからでもあります。まやかしの世界なのです。

一例を掲げると…過去、テレビで活躍した野村の解説者などが引退すると…、その後の動向は分かりますか? 現役時代だけ、テレビや雑誌、新聞に取り上げられ数冊の本を書いて終わりですね。みんな偽物なのでしょう。それではバフェットやソロスはどうでしょう?ジム・ロジャーズは? 日本人でも名前は知っている人が大勢いますね。本物を愛し育てる社会の米国と、偽物社会の日本の違いです。この違いは画一化を植え付けた戦後教育にあると思うのです。故に社長の給料が低くなり、平社員と社長の給料差がなくなりました。昔はもっと格差があったと思います。それは能力の差を、よく理解していたからです。

明治政府は外国の文化を吸収するために、盛んに外国人を招へいしました。当時の「お雇い外国人」の給料は、破格の金額でした。太政大臣の三条実美の給料が月800円、右大臣岩倉具視の月給が600円の時代、外国人の最高月棒は1045円だったと言います。この時期にお雇い外国人は、2690人招かれ、平均の月給は180円とか…。日本の古美術を買い漁ったアーネスト・フェノロサは有名で、彼はボストン美術館の日本コレクションの基礎を作りました。NHKで放映していましたね。浮気をして職を棒にふり落ちぶれて、古き良き時代の日本に戻って一生を終えます。きっと彼の人生も面白かったのでしょう。

さて長々と前置きが長引いていますが、物事には背景が存在するのですね。人間の感情が爆発するのは、爆発する理由が存在します。積み重なった背景があり、殺人などの事件を生みます。テレビドラマで「夜の観覧車」を、昨日も放映していましたが、事件の背景は存在します。株が上がったり、下がったりするのにも、必ず背景があります。仕手筋の裏舞台を知っている人は、その演出の効果を知っているでしょう。加藤あきらが、株価はどうにでも操作できると豪語し、大口投資家の勧誘に「この株が明日、ストップ高します。」と予言して、裏舞台を知らない素人の人間が、騙されて多額の資金を投じ「誠備事件」が起こりましたが…必ずと言っていいほど、背景があり仕掛けがあります。

その見えない構造を理解しないと、株式投資で利益を得る事が出来ません。所詮、株の儲けなど一時保管に過ぎません。畠山みどりの世界の話です。だからこそ…背景を理解するための理論武装が必要なのですね。今日はその基礎編です。簡単な理屈ですが、意外に皆さんは理解されていません。水は山から海へ、高いところから低いところへ流れますね。その原則は基本的に変わりません。それではお金は…どう流れるのでしょう。

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そうです。お金は金利の高いところへ流れるのです。お金は自分達を動かしてくれる人の所へ流れるのですね。活発に動かすから高い金利が生まれるのですね。電子レンジのように、お金と言う物質を分子レベルで刺激して動きを活性化させればいいのです。ところが現在の日本の現状は「流動性に罠」、つまりお金が動かない状態にあります。米国も日本も同じです。チャンスがあり、高い利回りが保証されているのに…お金は縮こまって、怖くて動けないのです。この現象はあの有名な「パブロフの条件反射」の実験に似ています。人間は慣らされるのですね。生活環境により性格までも変わるのです。長いデフレ環境が正常な価値観を崩壊させた現象が「流動性の罠」と言う水の流れを堰き止める堤防ですね。僕らの潜在意識にも、この「流動性の罠」は存在します。最近の子供…と言うか新世代と言うか…お金を使わなくなりました。故にブックオフなどの商売が栄えるのでしょう。

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このグラフは昨年10月27日の株式教室で用いたマネタリーベースの金額と前年比の増減表です。分かりますか? 僕らが2006年に失敗した理由ですね。僕らではない…かも知れませんが、僕はこの政策(Eの部分)の為に、40億円を飛ばしました。折角、3億を40億に膨らましたのに…僕の失敗です。政策の意味を理解してなかったのですね。証券マンなのに、統計数字の意味が分からなかった。だから40億円を飛ばし多くの方に迷惑をかけました。呆れる知識水準です。でも度重なる失政が、失われた20年とも言われる時代を創り上げました。パブロフの条件反射の実験により、我々は動機づけが、完全に出来上がっているのです。だから三菱UFJの株価は、理論株価以下のままだし、シャープに空売りが生まれます。信用創造の意味を理解してないから、ケネデックスの株価が低迷したままなのですね。

しかし…お金は、金利の高いところに流れるのです。