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株式教室

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経常収支と為替と株(2012年12月01日)

今日は貿易収支と経常収支、更には為替の関係を考えてみたいと思い、レポートを作成していますが、かなり苦戦しています。例えばLNG(液化天然ガス)ですが、貿易では見られぬMT(メトリックトン)と言う単位で数量計算されており、更に国際価格は立方メートルだと思ったのですが、一般化している報道は、どうもイギリスの熱量の単位の百万BTUと言う単位で、報道されているのですね。

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株屋と言うのは…分からないものは自分で調べねばなりません。特にインターネット上の情報の真偽は怪しいものが多く、検証が必要になりますね。良く報道機関が裏を取ると言いますが…同じような作業をするわけです。更にカタル君は一般的な報道を、信じない傾向があります。つまり統計資料と言うのは、採用期間によりグラフから受けるイメージの感じ方が変わる訳ですね。作者は自分の都合のいいグラフを誇張して作図することはよくあるのです。部分的に取り上げれば、確かにそのように感じるのですが、期間を5年、10年と伸ばすとまた別の感じ方をするものです。例えば為替相場の時間軸を変えたものを掲載しておきます。違ったイメージに感じるでしょう。

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この統計上のマジックに引っかからない為に、統計情報は元の数字を用いて自分でグラフを作らなくてはなりません。自分で原稿を書いてみれば分かりますが、新聞記者などの人は僕の指摘している意味は分かると思いますが、一般の人は自分がレポートを書いた事がないから、この感覚が良く分からないでしょう。故に大変な作業になっています。何しろ貿易統計のHSコードを調べたりするのですね。昨日のβ値と同じですが、レポートを書くのは統計資料を探す時間が大半で、仮に有能なアシスタントが居れば、その人に委託すればいいわけですね。僕はそのデータの検証作業に時間を使えるわけです。ところが今の僕は検証する時間より、このデータ作りの時間が多くて…そんなに嫌いではないですが、兎に角、大変なのです。さてボヤキを書きました。要するに、いい加減に時間ばかり食いレポートを書くのが嫌になってきたわけです。資料を集めている内に、僕の我慢の限度が超えてきたのです。よって資料が途中なのですが、途中経過のレポートを作って、今日は株式教室の原稿を終えようとしています。

丁度、村上春樹さんの1984ではない「1Q84」の小説のようです。二つの世界を結びつける青豆さんと天吾くんの巡り合いのような関係を、様々なパーツから集める作業に似ています。僕には少し疑問なのです。何故、円安トレンドと株価上昇の関係が成り立っているのか、よく理解できてないのです。故にそれを探す旅に出ているのですね。この連動性は何故、起こるのでしょう。

一般的には輸出企業が貿易により、円安になると利益が増えるから…とされていますが、この仮説は疑わしいのです。日本は大量のエネルギー、食糧を輸入しており、本当に円安が有利なのか分かりません。ましてや2007年を起点に、為替が円高に進むと、日産のようにマーチの生産移転をさせ、とうとう震災をきっかけにして天然ガスなどの購入費がかさみ、貿易赤字に転落しています。この震災は貿易赤字のスピードを速めただけですね。しかし…本当に天然ガスが貿易収支を悪化させているのでしょうか? これだけが原因なのでしょうか? 自動車輸出の減り具合はどうなのでしょう。

このようなデータを収集する過程において…いろんな相場展開を考えるわけですね。
昨日の自動車生産の話ですが、スバルは輸出が好調で、円高を克服しているのですね。それにも拘らず、他の自動車メーカーは円高を目の敵にしています。しかし僕らは毎日、そばを食べ、パンを食べているわけで、1ドルが100円になったら、どの程度、生活に影響が出るのでしょう。インフレターゲット論に僕は賛成していますが今は大合唱ですね。非常に危険な状態になってきました。コントロールできるのでしょうか? 国債価格は最高値を付けています。馬鹿な銀行です。しかし三菱UFJはタイの大手銀行へ出資を計画しているとか…ようやくアジア進出ですね。

経常収支が赤字になると資金の流出が加速します。市場経済の常ですが、方向性が確定されると動きが加速されます。今は経常収支が赤字になる可能性があり、故に円安になりますから、これを抑える為に今度は金利が上がります。そうなると国債価格は暴落しますね。歴史的な高値水準ですから…。問題は此処ですね。米国でも日本でも同じですが、企業は豊富なキャッシュを抱え込んでいます。順調に業績も伸びてきます。通常は設備投資が起こるのですが、将来不安をかなり煽っていますから、資金がなかなか動きませんね。このタガが、一気に外れた時に…今まで低迷していた設備投資が一気に動く可能性があります。信頼性がその動きを加速させ、企業には空前のキャッシュがあり、中央銀行は空前規模の緩和政策を実施しています。ある瞬間から、いきなり沸点に達する可能性がありますね。僕の大相場のシナリオの一端ですが…こんなところからも検証されますね。

経常収支を考えるに辺り、所得収支を見るべきかもしれません。これを見てみると欧米と比較すると、まだアジアへの投資が足りないようです。データからはその様に感じています。このデータと僕の認識はずれていました。そこでこの潜在認識を修正したのですね。この修正作業が、見えない糸を結ぶ重要なパーツになります。

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青豆さんも最初はチェコの作曲家ヤナーチェックのシンフォニエッタを聴いた時から、1Q84への世界に導かれる訳です。あれは小説の話ですが、時代は同じような状態ですね。金融取引のアイディアは、様々な糸が絡み合っているのですね。だんだん、専門分野が多くなると読者が離れる傾向にあるようです。皆さんは単純に儲かる株だけを求めているのでしょうが…僕はレポートを書くことにより、自分の考えを纏めているわけで…自分の為に書いている傾向が強いですね。ここにもギャップがあります。あまりに読者のレベルと僕の認識レベルの差があると、当然、レポートは面白くなりなります。最近は、マネタリーベースや所得収支の概念などは、まだ一般化してないですから退屈かもしれません。何故、アジアからの所得収支が少ないのか? これまで日本は欧米人を相手に商売していたからですね。欧州がユーロの導入に踏み切り一気にEUからの所得収支も伸び始め、影の銀行システムのおかげで新興国の経済成長が盛んになっています。デカップリング現象があるので金融危機があっても大きな落ち込みに繋がらないと言う仮説がありました。所得収支からもその様子がある程度は窺えます。

残念ながら時間切れです。非常に悔しいですね。上手く纏めることができない中途半端な形のレポートになりましたね。多くのデータを集め終わったので…何故、こんなに見えない糸が絡み合っているのか…何れ、時間を割いて解明してみたいと思っています。今日は中途半端でごめんなさい。いくつかのデータを収拾した優秀なサイトを紹介しておきます。

為替データは此方

貿易統計は財務省より