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一抹の不安(2012年11月17日)

米国と言う国は進歩的と言うか…やはり世界をリードしてきたアイデンティティーが確立されている国ですね。ケネディー家の長男を戦争で亡くし、王子の任地に配慮するイギリスとは少し違いますね。逞しいと言うか…市場原理を守るためには、対テロ戦争と言う見えない敵に戦いを挑むし、大統領選前の共和党と民主党の戦いは意見が大きく食い違ってレーティングを引き下げられても仕方なしとの態度でしたが…、今回は次回の選挙まで時間があるので超党派の話し合いが実現しそうですね。日本のような幼稚の政治とは違いますね。下野した自民党に反省の精神があるのかどうか…自民はもうこりごり、民主は落第生、期待の3極も烏合の衆の様相で、大義の下に纏まるのかどうか…兎に角、二世議員の寄せ集めなので本当の実力者が生まれていませんね。

中国は地方政治を足場にした這い上がり組が指導権を獲得するのは、理に適ったもっともなスタイルです。あの強欲な毛沢東に仕えた周恩来、鄧小平、江沢民などの創設第一世代が最後の影響力を見せていますが…これからは難しい場面を迎えます。中国は一気に時間を超えた高速成長を続けたので、その反動もきっと大きいでしょう。高度成長下の日本のケースを研究してないので分からないのですが、日本も高度成長のツケを、今の失われた時代で払っています。自然の原理として当然ですが…中国のGDPに占める固定資本形成の比率は非常に高いですからね。1%の富裕層としても、日本の10%の人口です。つまり対日デモの主体は、格差への不満なのでしょう。今回の人事は新しく常務委員に昇格された王岐山氏が党中央規律委員会のメンバーになっていることですね。観測では政治改革は後退と受け取られています。

さて、今日は株価が上がってきた背景が、日経新聞に載っていました。この2日間、仕掛けたグループの狙いは良く分かりますね。自民党が勝って安倍政権が誕生するので株が上がると読んでいますが…昨日の市況解説と重複するので避けますが、もっとも強い見方は日銀の先ごろ発表した無尽蔵の貸し出し支援への拡大解釈が背景に存在しますね。0.1%の金利で銀行はお金を調達でき、確実に返してくれる相手なら1%程度でも1000億円の貸付なら90億円を労せずに手にできます。一方、ヘッジファンドはこの資金で株を買い配当を貰えば…金利は払わずに逆に裁定勘定によって投資が出来て大儲けできますね。この辺りに照準をあてた思惑でしょう。故に先物から買っていますが…都市銀行株の公募増資をすべて買い切るには…思惑だけでは駄目ですね。

ただ私は何度も申し上げますが、超強気に傾きつつあります。兎に角、世界景気も日本も良い投資環境を迎える条件がいろんな面で揃っているからです。しかし今日は約束通り弱気論を述べます。一つは中小企業円滑法により80兆円の不良債権予備軍が存在することですね。この中身の推測は非常に難しいのです。おそらくあの時期ですから…通常は救われるべき体質を持った企業なのでしょうが…。今、生死の淵を彷徨っている様な状態でしょうね。過去の借金など返すゆとりはありません。どうにか利息はなんとか払い、カツカツ食える程度の状態なのでしょう。全体のパイが大きくなるなら救えますね。そのような企業がこの80兆円の中身の実体かと考えられます。しかし「失われた時代」の失敗の連続の政策下で、生き延びてきたこれらの企業は、本来は残すのが道理でしょう。この処理の峠が見えるのは法案が廃止され、今の状態を維持できる企業の峠が見えるのは半年後から1年程度でしょうね。つまり最大限、先延ばしに見て2014年3月です。しかし2013年9月を超えれば、おおよその数字が見える筈ですね。

米国の財政の崖からの展開はそんなに心配はしていません。欧州問題もギリシャは壮大な実験で面白い存在ですね。経済学者にとってギリシャはモルモットです。何故なら、ケインズ理論がどの程度有効なのか分かりますね。小さな政府の自立的な成長に、いつかは移るのですね。戦争をしないで再生する新しい社会体制への実験なのですね。この状態を観察するのは面白テーマです。助けるのは簡単だし、実験に失敗しても世界に与える影響は小さいのです。イタリアもスペインもポルトガルも危ない国は、他にたくさんあります。先駆したアイルランドは、最近、問題を聞かなくなりました。GDP大国の米国は可処分所得がシェールガス効果で増えますから…「財政の崖」の峠を越えれば、来年は良くなりますね。マネタリーベース増大の効果は、此処から大きくなります。おそらくQE3は必要なかったのでしょう。しかし実施しています。兎に角、僕は強気なのですが…。

一抹の不安は下値ボックスを離れる前に、一度、屈伸することは良くある現象なのですね。最後のダメ押しの場面です。その屈伸作業があるのか?ないのか?それだけの読みなのですね。何れ上がるのです。おそらく2013年9月頃までには…来年は色んな意味で、確実度が非常に高いのですね。しかし今年スタートするかどうかは自信がなく、一抹の不安も同時にあるのです。さてその根拠の一つであるテクニカル分析を注目している三菱UFJで見てみましょう。

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最大の理由は未だにチャートは、下降波動を継続しているように見えますね。上は週足で下は月足です。何故、そう見えるのか? 最大の要因は2003年4月の安値351円を昨年、割ったからです。みずほや三井住友は割っていませんよ。しかし三菱はあの最安値を一時的にも割り込み、昨年318円まで付けているのですね。これが一抹の不安を抱える要因の一つです。

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もう一つですが…チャート論では株価波動が変わるためには、前の二つの山を抜かないと駄目なのです。注目されるのはDなのですが、このDはCを抜きましたがBは抜いていません。しかし起点3の安値318円を、今の所、4の安値328円と上回っており、aのボックスを、bのボックスは上回って位置していますが、問題はbのボックスの株価の傾向線がcと下降波動を示していますね。

しかしこれは週足での話で…、今度は日足にしてみましょう。解説は省きますが、bのボックスを上放れるボックスチャートの必要条件を秘めていますね。このボックスは3点底(最初の352円は入れない)を示しており、直近にこれを下回り、一気に跳ね上がっているので9月の高値と7月の高値を抜く可能性も秘めています。そうなると今年の高値のDの448円も抜き、チャートがCとDの山を越えることになるので、長い下降波動が終わり横ばいか?上昇波動に転換したことを意味することになります。

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如何でしょう。中小企業円滑法の後始末等の背景とチャートはピッタリしますね。もしそのように動けば…の話ですよ。私はもともと公募増資の規模なども検案し、ボルガールールの背景からバーゼルの推移をみると、今回の上昇波動は2003年型ではなく緩やかな上昇を演じる可能性が高く、3年程度の上昇波動で株価は4ケタ奪回だろうと考えており、おそらく最終的には2006年の1950円も抜き株価は高値で安定すると考えています。ただ週足のチャート面では、もう一度下値を割れるような場面、絶対に割れませんが、割れそうな場面を演じても不思議ではないと思っています。その場面がこの11月14日の345円だった可能性も、勿論あります。つまり一抹の不安は去ったという見方。

しかし一方では、依然、週足では完全に転換しているというより、チャートはまだ下降を続けていると見方を支持していますね。この結論は、もうすぐ判明します。仮の今の株価波動で、bのボックスの高値398円を抜けるようなら…新しい相場がスタートしている可能性はより一層高くなりますね。

弱気論を演じるつもりが…日足を持ち出したら、強気に転じているように聞こえたら仕方ありませんね。もともとぼくは楽観論者で常に強気しか打たないからね。こんな細かなテクニカルはあまり意味がありません。どっちにしてもマネタリーベースが増えるので株価は騰がる方向性なのですね。仮に一度下げたとしてもです。下げるとすれば「財政の崖」の懸念が一層深刻になって、米国債の格下げ問題が出る辺りで終止符です。その下げの演出があるかどうか…分かりませんが、可能性はあります。むろん、その下げの演出がなく、このまま出発しても良いのですよ。要するに細かなテクニック的なやり取りがあっても…既に世界中でマネタリーベースが増大しているから、心配はないのです。弱気論を打つはずだったのに…トホホだな。でも何となくイメージは沸いてきたと思います。加えてみずほは割れていないし三井住友然りです。しかし野村は大きく割れていますね。面白いでしょう。この関係は…。更に今日はヒントだけにしますが、三菱地所が投資額を増大させたのは最近なのです。2012年(2011年4月~2012年3月期)に2008年、2009年規模を上回る投資を実施しています。投資キャッシュフローの推移をみると変化が面白いのですね。三菱は日本の国策企業なのですね。中核をなす三菱が奇妙なことに少子高齢化にも対応し、都心の再開発に力を入れていますね。丸の内の矢継ぎ早の再開発投資は三菱らしい戦略です。ベースマネーと株価の関係の発展編もありますが、当初の不動産への分析も非常に興味深いものがあります。いずれまた…。