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ベースマネーと株価2(2012年11月03日)

今日はマネタリーベースと株価の関係を、日本株について検証する。と言う後半を書く予定ですが、先ずはニュースから…田中真紀子文部科学大臣の大学認可取り消しが話題になっているので、少し私感を述べれば、基本的に彼女の発想は日本村社会の考え方ですね。中央政権が重要なことを決めていくので、みんなは従えと言う発想です。わが国の仕組みである多くの重要案件は専門家が決めます。その調整をしているのが官僚ですね。重要な案件の決定は、審議会が開かれ議論され答申が出され、その答申を受けて大臣が認可して物事が進みます。問題は審議会のメンバーの選び方ですが…多くが学識経験者などで構成されますが、この学者先生の多くは中央官僚よりのメンバーで、元官僚だとか…さらに純粋な学者でも補助金などのお金、研究費が政府から供出されており、中央官僚の意向に逆らう事は難しいし、メンバーも中央官僚が選びます。つまり中央集権で物事が決められています。だから石原都知事や橋下さんが、国政の矛盾を並べるのですね。予算の細かい支出まで中央政府の指示があるのです。故に県職員は中央から派遣されるキャリア官僚に毎年お歳暮や中元、郷里の名産品が収穫されると官僚に贈るのですね。この審議会は今、話題になっている活断層の原子力規制委員会のメンバーなども、この流れを汲んでいます。ただこの委員会は注目度が高いので、選出などの裁量に遠慮が働いているかもしれません。

まぁ、仕組み論は兎も角、田中真紀子大臣のやり方はある意味で村論理にも反しますね。既に決定され動いている案件にストップをかけたわけですから問題になっていますが、彼女の言い分はもっともですね。大学の数が増え、大学に行く必要のない人間まで行っていますからね。中学卒業すれば、料理人ならその修行に行った方が良いでしょう。その道のプロになった方が良いのに、みんな必要もない大学に行きたがります。僕のその口ですが…。

だって考えてください。毎年、早慶の卒業者数だけで16000人から18000人程度いるのだそうです。東大を含めると2万人前後になる訳で…従業員が1000人以上の大企業の毎年の採用者数は18000人前後だとか…つまりこの3つの大学だけで大企業に就職する人は決まる訳ですね。つまり上場企業に入社するのは非常に狭き門なのです。この現状に大臣は文句を言っているわけですね。このように仕組みで中央官僚が物事を決める方法は、日本村社会的な考え方ですね。市場原理の世界では一定の質を保てるなら無尽蔵に大学は作られていいわけで、大学同士が競争すればいいのです。このような考え方で始まったタクシー業界は、業界全体が競争で食えなくなり、当然、劣悪な労働環境になりますから、事故も増え再び規制の方向性にあります。そうです、問題になったツアーバスもこの事例ですね。

田中大臣の問題点は、日本村論理の発想で自分達が決めるから、庶民はロボットのようについて来いと言う自民党的な考え方が根底にありますね。この仕組みが行き詰まり、日本の失われた時代に繋がっているとも考えられるわけです。故に石原都知事が中央権力体制の打破を政策目標にしているのですね。でも消費税の引き上げが決まり、頭のいい優秀な日本の官僚だって馬鹿じゃない筈ですよ。僕の友達と言うか交流範囲は狭いですが…やはりキャリアの水準は頭が良いのです。だから消費税の引き上げも決まったので、政策を時代に合ったものにしようとしているような気がしていますね。これはカタルの仮説でもあります。消費税が決まれば、自分達の延命が決まるから、本気になって政策運営をするから、景気が浮上すると言うカタルの淡い希望的な仮説ですね。

最近は厚生年金基金の解散など…通常はあり得ませんね。何故なら、自分達の天下り先の退路を断っている政策も容認し始めています。しかし裏にカラクリがありそうな…。何故なら年金の自主運用が減ると効率の悪い株式は売られ、これが最後の買い場になるのですからね。更に、今日の公共情報のオープン化の話題ですね。ようやく情報の共有化が始まりますね。縦割りの隠された資料でなく、情報の共有化が進めば効率が高まりますね。この話は非常に大きな記事ですよ。価値があるニュースです。

さて雑談は、この程度にして本題に移りましょう。先ずは僕の書いた原稿を読まないと続きが書けませんから、今、読み直しますね。10月26日の今日の市況から株式教室そうしてコラムですね。読み直していたら…やはり気づきました。中国のGDP成長が大きく伸びた後半は、やはりマネタリーベースが大きく伸びて成長率に沿っています。でも、まぁ、この現象は当たり前の事なのですね。景気が良くなればお金は動きますから、市場のお金の量が増えるわけですね。マネタリーベースと景気、つまり株価は、相互依存関係にあり、「鶏と卵」の関係に似ていますね。景気が失速するからお金の流通量が減る訳です。だから日銀の言い分は正論でもあり一理あります。しかしここでマネタリストとケイジアンの論争が生まれますが…その話しは後にしましょう。

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前回は列島改造論の頃の関係を見ていたのですね。そうして今回はBの地点を検証すればいいのですね。果たして僕の仮説は当たっているかな? この時期はプラザ合意の時代で円高が進み、円高不況論が騒がれた時代ですね。僕の地元である新潟の燕の洋食器メーカーがバタバタと倒産して行くのですね。僕の友達の会社も倒産しました。その為に澄田総裁が資産バブルを見逃し、円高対策として金融緩和政策を永遠に続けたので、澄田さんは犯罪者の一人なのですね。日本の「失われた時代」の引き金を引いた男の一人だとカタルは決めつけています。それなのに…犯罪者なのに罰せられずに、退任後はユニセフの理事長になっていたから驚いて、僕はユニセフへの寄付をやめたのです。市場原理の米国では、問題の過ちを調べ、裁判をして罪を問い、監獄に収監していたのですよ。それを日本は…だからバブル崩壊後は、怒り心頭だったのです。その時代の検証ですね。

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当時は金利平価説と言うのが広く信じられていましたね。つまり為替水準は金利の高い方にお金が流れるという論理で、金利を低くすればお金は流出し高金利を求めると言う裏付けで為替水準は決まるという仮説ですね。故に澄田さんは円高が国会で問題になり、円高を止める為に、金利を低く誘導するのです。ここでケイジアンの考え方とマネタリストの考え方が再び対立します。両者の意味を簡単に解説すれば、ケインジアンは財政政策など含め、自分達が経済をコントロールできるという立場ですね。故に公定歩合操作で需給バランスをコントロールできると思っている日本村論理的な考え方ですね。一方、マネタリストは市場重視ですね。通貨量や市場を見て政策をコントロールすると言う市場追認派なのでしょうね。政策の結果を見て政策を的確にコントロールするわけですね。故にバーナンキ議長は完全に後者です、白川さんもそうですが、幾分、ケイジアン的な考え的なようですね。日銀は最近まで市場を軽視していたのです。私が問題化していた資産価格の概念がないのですね。だから資産デフレが進行しても気にしてなかったのです。

でも最近は違いますよ。近年まで市場を無視していましたが、2010年10月の包括的な金融政策の採用で日銀は姿勢を変え始めています。まぁ、あとはネットで調べてください。IS-LM曲線の話などが出て来るかな? 財政政策の需要論とか…出て来るかもしれませんが、基本は日本村社会の自分達がコントロールできるという村論理と、市場を重視する市場原理主義の対立なのです。近年ではFRBもECBも日銀も基本的にマネタリストですよ。しかし日銀は政府に注文を付けていますね。自分達だけの問題でないと…まぁ、その通りなのですが…。だから小泉・竹中政策の弊害である強引なUFJ問題が火種になりますね。金融庁の現場を無視した強引な不良債権認定が現在まで尾を引き、貸し出しが伸びない原因の一因にもなっています。だから日銀は無担保融資と言う形骸化した政策を実行するのでしょう。今日もBIS規制の話が載っていましたね。バーゼルなどの言葉が躍っていました。

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さて時代的な基本は出来ましたかね?
日銀がプラザ合意を受けて金融緩和を行ったのは仕方ありません。マネタリーベースのグラフのAの時点ですね。これは仕方ありませんが急速に平均残高が伸びており、しかも株価は急騰しています。確かに為替は1988年11月まで円高が進みこの点だけを考慮すれば、金融緩和は仕方なかったかもしれませんが…銀行融資による地価の急騰を見逃すというか…この当時は、土地は下がらないという土地神話は生きていますし、銀行マンから保険会社まで貸し出し競争をしていたのですね。私が問題にするのはBの部分です。この長い期間、10%を超える高いマネタリーベースの伸びが続いていたことです。しかも1988年9月に先物が導入され、株価が大きく飛ぶようになった1989年5月まで金融緩和を続けています。結果、マネタリーベースでは1990年4月までお金の過剰供給は続きます。

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他の指標などを見れば分かるでしょう。貸し出しが大きく伸びて、株だけでなく不動産などの資産インフレが貸し出しでなされている事を…。この現象を澄田さんは見逃したことですね。今でこそ批判は出来ますが…当時は円高不況のメディアの誘導報道が世論を捻じ曲げていました。しかし日銀総裁ですからね。データは揃っているし…。当時の東京の地価動向のグラフも参考にして下さい。この結果、不良債権が生まれ、だから…ながい失われた時代を創った張本人だから、澄田さんを犯罪者と決めつけています。でももう亡くなったから死者に鞭を打っても仕方ありません。ごめんね。彼も知らなかったのかもしれませんからね。結果論は誰にでも言えます。しかしもし実力主義が日本で定着していれば防げたかもしれません。

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まだこの時代は土地担保融資が生きており、日銀の三大金融政策の公定歩合操作、預金準備率、公開市場操作であるオペや、更には窓口指導などでマネタリーベースをコントロールできた時代ですね。だから「卵と鶏」の関係で、マネタリーベースと株価の因果関係はカタルの仮説であるマネタリーベースを伸ばせば株価が上がるという証明にはなりません。でも因果関係があるという事実は確認できますね。

実はCの三重野時代の話しも重要です。この時代は株価が下がっているのに、三重野さんは、資産デフレは景気に影響しないと的外れな論理を展開し、市場関係者の批判を浴びていたのです。だって小学生でも分かりますね。こんな理屈は…しかし当時は宮沢喜一が「生活大国5か年計画」を発表して、家の価格は年収の5年分の価格に収めようと、地価の下落を促進するために税法などを変えましたね。既にバブルが崩壊しているのに崩壊の後押しをしたのです。日本村論理で市場を重視する市場原理主義と大きく違いますね。故に銀行の不良債権は雪だるま式に増え、どんどん悪化していきます。ここが金融危機の起こった2008年以降の米国との大きな違いですね。日本の失敗を反面教師にして、米国は大幅な金融緩和を実施し銀行を助けていますが、日本は不良債権を増やす政策を実施していました。その状況がCの時代です。グラフなどを作って説明しても良いのですが急ぎましょう。でも今日は既にかなり長くなりましたから…ここであとの展開は次回に譲ります。

如何でしょうかね? 時代の検証シリーズ、「マネタリーベースと株価の関係」のレポートは…株価を予測するうえで如何に時代観察が大切か?長くカタルのレポートを読んでいただいていればご理解いただけると思います。本当はグラフ一つ一つの箇所を示し解説した方が分かりやすいでしょうが…この作業は非常に難しいですね。おそらくフラッシュを用いて声も聞こえるような解説も出来るのでしょうが…僕の技量では無理ですね。もしやろうとすれば、ビデオで撮影してユーチューブに投稿するくらいかな?

明日は、グリーの決算でも見てみようかな? あらら…あの日経記事は観測記事らしいですね。会社側は正式発表をしていませんね。でもあの記事にはヒントはたくさんありましたが…実際に発表されていないんじゃ…日経の観測記事にコメントはできないね。兎も角、今日は此処で終わりにして、また明日にしましょう。