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2012年11月24日

影の銀行システム2

皆さん、こんにちは…この「は」は、今日「は」天気が良いですね。とかに用いる「は」が残って「わ」とはならずに「は」となったとか…、しかし最近は多くの人が「こんにちわ」と書き始める人が多いと言います。まぁ、言葉が時代と共に変化しているわけで、どれが正しい、君の使い方はおかしいとか…言っても仕方がない事ですね。インターネットが一般化したのはウインドウス95の発売によってコンピュータが進化しており、時代の変遷も激しいのでしょう。このインターネットの登場により、アラブの春が引き起こされ、人類の進化のスピードは格段にあがっています。株の世界でも、政治の世界でも…、昔は○○と言っても、既に通用しなくなりましたね。常に時代は変わっているわけです。

さて昨日は金融の仕組みの「信用創造」を、「影の銀行システム」(カタルは、この仕組みを従来は「金融デリバティブの発展」と述べていました。)の観点から見てきましたね。今日の日経新聞には地方銀行の自己資本比率規制の話が載っています。劣後債や株式の評価益などを入れないとなっています。日本の「信用創造」はダブルで傷つきましたね。BISと言う国際的なルールは、日本を狙う打ちしている可能性が高いのですね。

一方、米国が基準になっている「影の銀行システム」への直接的な規制はなく、間接的にバーゼル3と言う自己資本比率規制を設けているだけです。太平洋戦争で負け、日本はポツダム宣言を受け入れて植民地化されたのです。幸い東西冷戦のおかげで米国の庇護の下で日本は大きく成長してきました。しかしまた憲法を改正できませんし、自民党が自衛隊を国防軍に改めると言うと…途端に批判は出ますね。おかしな国ですね。完全にロボット教育が浸透しています。軍隊を維持するために徴兵制度など言ったら絶対に政権など取れませんね。しかしどの独立国も自前の軍隊を持っており国際貢献をしています。日本だけですね。植民地化に甘えている国民は…。イスラエルの姿は、ある意味で国際的な標準だと考えた方が正しいのでしょう。イギリスだって1982年にフォークランド島を既成事実化するアルゼンチンに対し武力行使のよって奪回しています。地理的な関係は明らかにアルゼンチン領ですよ。しかしイギリスは香港を返還していますね。まぁ、この事件から30年経過しているから、武力行使の認識が、多少は変化しているかもしれません。しかしガサ地区の紛争やシリアを見れば…どうなのでしょう。

話しがそれましたが…今日のテーマは信用創造の考え方の進化の話です。この信用創造を日本は東西冷戦下において二つ持っていました。一つは土地担保融資で土地と言うものに価値を与え、信用を創造していましたね。もう一つは野村証券が始めた悪名高き株式持ち合いシステムですね。現在もこの共産党的な特権意識が企業経営者に残っていますね。近年では新日鉄と銀行の持ち合い、しかし現在はかなり崩れ始めています。BIS規制では株式を危険資産に認識して信用創造を禁止しています。日本の長い低迷、デフレの要因である信用創造の破壊が、既に行き過ぎの領域に来ています。その様子が、どうしてわかるかと言えば、収益還元法価格に土地も株も価格が低下しているからです。収益還元法価格とは…地価は建物を建てて賃貸にすると、投下資本に対するコストに見合った収益を得られます。リートを見れば分かります。だいたい5%の配当を実施しています。つまり都心では10%程度の益利回りを超える物件が多く存在するのでしょう。更に株式ですが、こちらは多くの銘柄で、配当利回りが4%以上のものが多いですね。ここでこの配当利回りと国債の配当を比べる「イールドスプレッド」と言う物がありますが…益利回りと指標国債の利回りの差ですが…この水準は株式が有利になっていますね。まぁ、最近はどの国も量的緩和に追い込まれる低金利政策を実施しているので世界中でそうなのですが…。

(参考に日本相互証券から新発10年物利回りのデータを用いてイールドスプレッドを作成しました。東証の東証一部・二部の単純平均を採用し、尚PERも同様です。益利回りはPERの逆数を用いています。尚イールドスプレッドは、本来は国債利回りとの差になりマイナスなのですが…感覚的にはプラスの方が良いと思い、益利回りから国債利回りを引いています。2009-6~2010-3まではPERが計上されていませんからご注意ください。故に横ばいの表示になっています。理由は一部企業の多額の損失計上があり、一株利益がマイナスになっているためです。)

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言葉の解説をすると、解説が見えにくくなりますね。皆さんに基礎知識があれば、こんな解説を省くことができるので、もっと話の筋が見えやすくなるし、カタルのレポートが楽しく感じられると思いますが…どの知識レベルを対象としてレポートを書くのか?難しいものですね。でもこのレポートを長く読んでいれば、自然に皆さんはトップ水準の金融マンレベルになると自負しています。要するにテレビに出ているような人は、二流の人が多いと思って間違いありません。その理由は肩書が外れるとみんな消えていますね。予想が外れているからですね。当たり続ければ大人気になりますね。バフェットの昼食会のチケットが2億円でしたかね? 一緒に食事をする権利が2億ですよ。競売価格は2億1千万円でした。

カタル君は、彼の足元にも及びません。しかし馬鹿は馬鹿なりに…一所懸命に努力をして勉強しているわけです。しかし最後の壁が越えられない。証券マンを辞めれば…自由度が増し何とかなるかと思いましたが、今のところは駄目ですね。トホホ…。自分の事はどうでもいいのですが、この信用創造を造ることが国の発展に繋がるのですが…なかなか日本はその仕組みを理解する政治家が居らず…停滞を続けているわけです。しかし米国は素晴らしいですね。もともとドルと言う紙くずに信用を与え続け、表のドルに、裏のドルを作り上げていますね。バーゼル3など「まやかし」ですね。こんなものはいくらでもどうにでもなります。要するにルールの中で何をやっても良いのですね。

話しはそれますが…邦銀の自己資本比率が低いのは土地担保金融時代の名残がありますね。その為に全ての店舗は自前ですね。しかし地価は毎年下がり続け、その償却を続けてきました。でも多くの店舗は明治とかの時代ですから、簿価は非常に安かったのですね。だからバブル崩壊後も不良資産を何とか償却できたのですね。既に邦銀はバブル崩壊でスッカラカンです。故に過度のリスクに融資が出来ない体質になりました。今では融資業務の能力のある人は支店から消えているでしょう。だからリストラ組はチャンスですね。その査定能力があれば再就職できます。今日の日経新聞の記事の意味は中小企業円滑法が期限切れを迎え、多額の不良債権を処理することになるから、その準備を始めなさいと言う事ですね。既に千葉県のケースを事例として掲げていますね。ファンドを設立して債権を移管していると…。

この多くの不良債権の認定は、難しいですね。今の時代は失われた時代のターニングポイントに来ています。その為に我慢さえすれば、中小企業の借金は消えますね。カツカツの損益分岐点にいる中小企業も、間もなく始まる信用創造により救われる可能性があります。だから頑張らねばなりません。今までの借金は返せないが給料を払い金利を払うと何も残らない…故に元本の返済も進まないと言うスレスレの中小企業が多く存在するのでしょう。おそらく中小企業円滑法の対象債権は、そのような状態なのでしょう。だからファンドが大儲けできますね。信用創造など、所詮は金持ちが有利の世界です。権力の保持者なら、いくらでも金を稼げますね。簡単なんですよ。

最近は大手都市銀行が長期債を売り切っていることでしょう。更に債券先物でヘッジを掛けていることでしょう。馬鹿なのは金融の仕組みを何もしない地方の金融機関です。いつの時代もそうですが…おそらく証券マンも、僕が野村の証券マンならファンドを設立して地方金融に売りまくりますね。これは儲かります。ウィン、ウィンの関係ですね。しかし弊害として急速に金利が上昇するリスクが生まれ、財政が悪化している日本が増税の道を余儀なくされますね。このスピードを速めると、そうなります。デフレからの脱却は容易ですが、コントロールできるスピードでしないとなりません。安倍さんが述べている3%は馬鹿ですね。そんなに簡単に金融がコントロールできれば、みんな失敗はしませんね。流石、白川さんなのですね。故に彼は1%と述べています。この関係は断食していた人間に、いきなり腹いっぱい食わせるようなものです。通常は、先ずはおかゆですね。更に安倍さんが馬鹿だと思うのは、自分が日銀引き受けを口にし、公共事業投資を公約にしているから株が上がり、円が安くなったと錯覚していますが…これは間違いです。日銀の無制限の貸し出し支援が効いている可能性があります。確かに彼の発言が、切っ掛けになりましたが既に下準備は出来ていたのですね。

この観点から言えば、既に大相場はスタートしていることになります。しかしフランスの国債が引き下げられましたね。しかし…おそらく、これは布石でしょう。やはり本家の米国が引き下げられるのでしょうね。要するに株は上がるのですが揺れ具合が分かりません。どの程度、揺さぶるつもりなのか? 影の銀行システムを支配している連中の仕掛具合ですからね。彼等も戦略はあるが流動的でその揺れ具合も彼ら自身も分からないのでしょう。リーマンを潰すと決めた時も…その仕組みに沿ってポジションを組んでいたのでしょうが…。要するに力のある連中の化かし合いであり、その動向を読むのが証券マンの仕事ですが…こんな微妙なさじ加減が見える筈がありません。故に段階的なヘッジを掛けながら、段階的に布石を打つのが投資の極意かも知れません。

投稿者 kataru : 13:30 | コメント (0)

2012年11月17日

一抹の不安

米国と言う国は進歩的と言うか…やはり世界をリードしてきたアイデンティティーが確立されている国ですね。ケネディー家の長男を戦争で亡くし、王子の任地に配慮するイギリスとは少し違いますね。逞しいと言うか…市場原理を守るためには、対テロ戦争と言う見えない敵に戦いを挑むし、大統領選前の共和党と民主党の戦いは意見が大きく食い違ってレーティングを引き下げられても仕方なしとの態度でしたが…、今回は次回の選挙まで時間があるので超党派の話し合いが実現しそうですね。日本のような幼稚の政治とは違いますね。下野した自民党に反省の精神があるのかどうか…自民はもうこりごり、民主は落第生、期待の3極も烏合の衆の様相で、大義の下に纏まるのかどうか…兎に角、二世議員の寄せ集めなので本当の実力者が生まれていませんね。

中国は地方政治を足場にした這い上がり組が指導権を獲得するのは、理に適ったもっともなスタイルです。あの強欲な毛沢東に仕えた周恩来、鄧小平、江沢民などの創設第一世代が最後の影響力を見せていますが…これからは難しい場面を迎えます。中国は一気に時間を超えた高速成長を続けたので、その反動もきっと大きいでしょう。高度成長下の日本のケースを研究してないので分からないのですが、日本も高度成長のツケを、今の失われた時代で払っています。自然の原理として当然ですが…中国のGDPに占める固定資本形成の比率は非常に高いですからね。1%の富裕層としても、日本の10%の人口です。つまり対日デモの主体は、格差への不満なのでしょう。今回の人事は新しく常務委員に昇格された王岐山氏が党中央規律委員会のメンバーになっていることですね。観測では政治改革は後退と受け取られています。

さて、今日は株価が上がってきた背景が、日経新聞に載っていました。この2日間、仕掛けたグループの狙いは良く分かりますね。自民党が勝って安倍政権が誕生するので株が上がると読んでいますが…昨日の市況解説と重複するので避けますが、もっとも強い見方は日銀の先ごろ発表した無尽蔵の貸し出し支援への拡大解釈が背景に存在しますね。0.1%の金利で銀行はお金を調達でき、確実に返してくれる相手なら1%程度でも1000億円の貸付なら90億円を労せずに手にできます。一方、ヘッジファンドはこの資金で株を買い配当を貰えば…金利は払わずに逆に裁定勘定によって投資が出来て大儲けできますね。この辺りに照準をあてた思惑でしょう。故に先物から買っていますが…都市銀行株の公募増資をすべて買い切るには…思惑だけでは駄目ですね。

ただ私は何度も申し上げますが、超強気に傾きつつあります。兎に角、世界景気も日本も良い投資環境を迎える条件がいろんな面で揃っているからです。しかし今日は約束通り弱気論を述べます。一つは中小企業円滑法により80兆円の不良債権予備軍が存在することですね。この中身の推測は非常に難しいのです。おそらくあの時期ですから…通常は救われるべき体質を持った企業なのでしょうが…。今、生死の淵を彷徨っている様な状態でしょうね。過去の借金など返すゆとりはありません。どうにか利息はなんとか払い、カツカツ食える程度の状態なのでしょう。全体のパイが大きくなるなら救えますね。そのような企業がこの80兆円の中身の実体かと考えられます。しかし「失われた時代」の失敗の連続の政策下で、生き延びてきたこれらの企業は、本来は残すのが道理でしょう。この処理の峠が見えるのは法案が廃止され、今の状態を維持できる企業の峠が見えるのは半年後から1年程度でしょうね。つまり最大限、先延ばしに見て2014年3月です。しかし2013年9月を超えれば、おおよその数字が見える筈ですね。

米国の財政の崖からの展開はそんなに心配はしていません。欧州問題もギリシャは壮大な実験で面白い存在ですね。経済学者にとってギリシャはモルモットです。何故なら、ケインズ理論がどの程度有効なのか分かりますね。小さな政府の自立的な成長に、いつかは移るのですね。戦争をしないで再生する新しい社会体制への実験なのですね。この状態を観察するのは面白テーマです。助けるのは簡単だし、実験に失敗しても世界に与える影響は小さいのです。イタリアもスペインもポルトガルも危ない国は、他にたくさんあります。先駆したアイルランドは、最近、問題を聞かなくなりました。GDP大国の米国は可処分所得がシェールガス効果で増えますから…「財政の崖」の峠を越えれば、来年は良くなりますね。マネタリーベース増大の効果は、此処から大きくなります。おそらくQE3は必要なかったのでしょう。しかし実施しています。兎に角、僕は強気なのですが…。

一抹の不安は下値ボックスを離れる前に、一度、屈伸することは良くある現象なのですね。最後のダメ押しの場面です。その屈伸作業があるのか?ないのか?それだけの読みなのですね。何れ上がるのです。おそらく2013年9月頃までには…来年は色んな意味で、確実度が非常に高いのですね。しかし今年スタートするかどうかは自信がなく、一抹の不安も同時にあるのです。さてその根拠の一つであるテクニカル分析を注目している三菱UFJで見てみましょう。

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最大の理由は未だにチャートは、下降波動を継続しているように見えますね。上は週足で下は月足です。何故、そう見えるのか? 最大の要因は2003年4月の安値351円を昨年、割ったからです。みずほや三井住友は割っていませんよ。しかし三菱はあの最安値を一時的にも割り込み、昨年318円まで付けているのですね。これが一抹の不安を抱える要因の一つです。

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もう一つですが…チャート論では株価波動が変わるためには、前の二つの山を抜かないと駄目なのです。注目されるのはDなのですが、このDはCを抜きましたがBは抜いていません。しかし起点3の安値318円を、今の所、4の安値328円と上回っており、aのボックスを、bのボックスは上回って位置していますが、問題はbのボックスの株価の傾向線がcと下降波動を示していますね。

しかしこれは週足での話で…、今度は日足にしてみましょう。解説は省きますが、bのボックスを上放れるボックスチャートの必要条件を秘めていますね。このボックスは3点底(最初の352円は入れない)を示しており、直近にこれを下回り、一気に跳ね上がっているので9月の高値と7月の高値を抜く可能性も秘めています。そうなると今年の高値のDの448円も抜き、チャートがCとDの山を越えることになるので、長い下降波動が終わり横ばいか?上昇波動に転換したことを意味することになります。

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如何でしょう。中小企業円滑法の後始末等の背景とチャートはピッタリしますね。もしそのように動けば…の話ですよ。私はもともと公募増資の規模なども検案し、ボルガールールの背景からバーゼルの推移をみると、今回の上昇波動は2003年型ではなく緩やかな上昇を演じる可能性が高く、3年程度の上昇波動で株価は4ケタ奪回だろうと考えており、おそらく最終的には2006年の1950円も抜き株価は高値で安定すると考えています。ただ週足のチャート面では、もう一度下値を割れるような場面、絶対に割れませんが、割れそうな場面を演じても不思議ではないと思っています。その場面がこの11月14日の345円だった可能性も、勿論あります。つまり一抹の不安は去ったという見方。

しかし一方では、依然、週足では完全に転換しているというより、チャートはまだ下降を続けていると見方を支持していますね。この結論は、もうすぐ判明します。仮の今の株価波動で、bのボックスの高値398円を抜けるようなら…新しい相場がスタートしている可能性はより一層高くなりますね。

弱気論を演じるつもりが…日足を持ち出したら、強気に転じているように聞こえたら仕方ありませんね。もともとぼくは楽観論者で常に強気しか打たないからね。こんな細かなテクニカルはあまり意味がありません。どっちにしてもマネタリーベースが増えるので株価は騰がる方向性なのですね。仮に一度下げたとしてもです。下げるとすれば「財政の崖」の懸念が一層深刻になって、米国債の格下げ問題が出る辺りで終止符です。その下げの演出があるかどうか…分かりませんが、可能性はあります。むろん、その下げの演出がなく、このまま出発しても良いのですよ。要するに細かなテクニック的なやり取りがあっても…既に世界中でマネタリーベースが増大しているから、心配はないのです。弱気論を打つはずだったのに…トホホだな。でも何となくイメージは沸いてきたと思います。加えてみずほは割れていないし三井住友然りです。しかし野村は大きく割れていますね。面白いでしょう。この関係は…。更に今日はヒントだけにしますが、三菱地所が投資額を増大させたのは最近なのです。2012年(2011年4月~2012年3月期)に2008年、2009年規模を上回る投資を実施しています。投資キャッシュフローの推移をみると変化が面白いのですね。三菱は日本の国策企業なのですね。中核をなす三菱が奇妙なことに少子高齢化にも対応し、都心の再開発に力を入れていますね。丸の内の矢継ぎ早の再開発投資は三菱らしい戦略です。ベースマネーと株価の関係の発展編もありますが、当初の不動産への分析も非常に興味深いものがあります。いずれまた…。

投稿者 kataru : 13:13 | コメント (0)

2012年11月10日

ベースマネーと株価4

1週間ぶりは時間が非常に長く感じられますね。さて「ベースマネーと株価3」が最後の検証で、時代背景は1985年~1990年代初期の過剰供給から急激な引き締めでしたね。金融政策は、よく効く時と効果が薄い時があります。それは体力ですね。人間の身体と同じで基礎体力があれば、僅かな薬でも効果を発揮し、病気から簡単に立ち直ります。今の日本は、非常に長い時間をかけて病床に臥せっていますから、多少の薬も効果がありません。よくも此処まで…放っておいたものです。基本的に中国共産党は地方組織で実績を積み上げないと上に行けませんが…、日本は二世議員など政治手腕の実績がなくても、国会議員になりますね。だから実力のない大臣などが、誕生する背景になっています。僕の郷里に関係ある田中直紀防衛大臣の失言などは、そのいい事例ですね。

1995年の沖縄兵による少女暴行事件は痛々しいもので、問題をこじれさせたのが日米間で取り交わされた「日米地位協定」と言う不平等条約の存在ですね。そもそも本来、条約の狙いは安全保障上のもので、たぶん軍事上の機密保持が目的だったのでしょう。しかしこの条約を楯にとった1995年の米国の行動が、沖縄県民の感情を損ねたことは間違いありませんね。米軍の指導部も情報力を欠いているのか…資質が問われます。まぁ、長い低迷相場の背景には、いろんな問題があるのですね。株価推移は時代背景をよく映していることが、IRNETを読むことで、お分かり頂けると思います。

日本は大蔵省の適正な資金配分のおかげで、躍進的な経済成長を続けてきました。この背景には米国が東西冷戦の最中にあり、日本を庇護しなくてはならない時代背景があったのです。それにしても…当時の大蔵省は見事な資金配分だったですね。電力債やNTT債などの存在を始め郵便貯金などは、その象徴的な仕組みでした。しかし、ここに罠が潜んでいましたね。一般会計と特別会計の意味を理解していない国民も多いでしょう。学校でもその背景を説明はしていないでしょう。ここに日本の構造問題がありますね。民意を反映しないロボット政治家が、誕生する背景はこの辺りにも起因しています。この背景を解説すると長くなりますからね。何れ話す事もあるでしょう。

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さて余談は兎も角、今日は、株価面では「5」からの「6」までの状況を犬種押して終わりにしたいと思っていますが…どうかな? 前回は1985年のプラザ合意から始まり金融緩和を実施した澄田さん、そうして急ブレーキをかけた三重野さんの話を、前回は中心にしてきました。しかし日銀だけが問題だったわけではありませんね。宮澤さんも同罪なのです。かれは大蔵省でもトップ官僚だったはずですが時代の流れを見誤り、ケインジアンの考え方に固執しましたね。もしマネタリスト的な発想を持っていれば…地価の下落がどのような影響を与えるか、分かっていたはずです。東西冷戦下での大蔵省の計画経済の根幹を造った成功体験の自負が、この「まさかの罠」に嵌った原因でしょう。きっと自分達は何でもコントロールできると自負していたのでしょう。もしそうなら…「4」の下落で「A」の波動調整は終わり日本を救えたのですね。

しかし90年代の「D」ボックスを抜け出す事が出来なかった。この間、自民党政権はケインジアンの立場でしか政策を実行していません。問題の本質を理解していなかったのでしょう。銀行の不良債権処理がなかなか進まずに、破たんに向かう原因を掴んでいなかったとも思われますね。慌てるのが2001年9月11日のテロ以降の時代ですからね。しかし運命は面白いもので、このテロ事件が日本を一旦、救う方向性に働きます。丁度、オバマさんがサンデーの発生によって、大統領に選ばれたように…神様は色んな悪戯をしますね。

90年代は信用組合など小さな金融機関が、次々に破たんしているわけで、金融機能がマヒしている実態の兆候は随所で起こっていたのです。背任横領が切っ掛けとは言え、東京協和信用組合や安全信用組合など1994年に破たんしています。彼等はバブルの先端を引っ張る最前線の軍曹だったのですね。その下士官を無殺しにして…生活大国づくりに乗り出すのです。しかしチャンスはあったのです。株価「4」の時に日銀特融を発動すると言う英断を、世間の目を気する余り、見送ったのですね。そのシナリオは1992年8月に検討されたと言われています。もしその時に、その政策を実行していれば…現在の膨大な財政赤字はなかったのです。宮澤さんは、所詮、官僚に過ぎなかったのでしょう。もし田中角栄が現役だったなら…彼がこの政策を見て、オールドパーを煽りながら時代を嘆きながら死んでいったことでしょう。歴史とは不思議なものですね。田中角栄は昭和40年代の証券不況時に、大蔵大臣として日銀特融を発動して証券界を救いました。

小渕さんからの時代から…ずいぶんと無駄な財政出動をしてきたものですね。2009年の麻生内閣で終えんを迎えますが、90年代後半から2000年代前半に積み上がった赤字は自民党が間違った政策を実行してきた証ですね。この関係は此方の資料から分かります。

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要するに自民党政権は利権集団なのですね。国家のお金を私欲に回すための集金システムでしかなったのです。何の為に田中角栄を検察は立件したのでしょう。その存在意義を完全に忘れていますね。宮澤喜一が失敗し、インフラ整備が確立されている日本の置いては、ケイジアンの財政出動なんか乗数効果が少なく意味がないのに、誤った政策を実行してきたのが自民党なのです。それも永遠に…です。この歴史をよく考えてくださいね。

本来、正しい政策を実行しているなら株価は「4」の水準で止まっていたのです。この下落の元凶を造ったのは三重野さんであり、宮沢さんの失敗なのですね。あの時の日本に、バーナンキが日本にいたなら…、日本の今の失われた時代は存在してなかったのでしょう。

この状況を一旦救うのが、Dの時代にマネタリーベースを増やす政策です。

1999年に一体、何があったのでしょう。この時代の日銀総裁は速水さんですね。ずいぶんと私は彼を批判しました。しかし彼の時代に量的緩和政策が開始されたのですね。その前にITバブルが起こる時代の検証も必要ですね。1999年2月に無担保コールレートを史上最低の0.15%に誘導し、この当時速水さんは「ゼロでも良い」と発言され「ゼロ金利政策」と言う言葉が生まれたと解説されていますね。グラフでは「A」の位置です。そうして実際にマネタリーベースが増えるのは1999年12月ですね。14.2%と二ケタ増えています。「B」の位置ですね。そうして2000年1月には一気に22.8%増です。

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丁度、この頃、年末からソフトバンクが急騰し、大納会にかけてソニーが連続でストップ高して行く時です。僕はこの様相を見て呆れていましたね。当初は強気にソフトバンクを買っていたのですが…あまりの急騰ぶりに売りだと思っていたのです。ソフトバンクが急騰する前の10月頃には、そう考えたのですね。当時の株価は3万円台から4万円前後でしたね。しかし株は恐ろしいもので…、その後、198000円まで急騰するのです。丁度その頃、あるお客様がソフトバンクを持ってこられ…「絶対に死ぬまで売らない」と言っておられたので「そうですか…」と株券を預かったのですね。

でもそのお客様は、翌年、ソフトバンクの株価が下がると僕を批判されていましたね。「何故、売るように言ってくれなかったのか?」…僕はずっと売らないと断言されていたので、セールスの声を掛けなかったのですが…。ただ預かっただけだったのです。その後、その株を元に売り買いをして大きく損をしたのを覚えています。幻の2億円だったかな? いや、もっと少なかったかな? なにしろ、当時のソフトバンクは198000円でしたかね? たった1000株で2億円ですからね。お預かりした株数は、もっと少なく600株程度だったかな? だから1億程度だったのかな? 彼はたしか東大の外科医で優秀な人でしたね。何しろ実績を積むために海外に行って腕を磨いてきたのです。魅力的な人だったけれど…今はどうしたかな?ITバブル全盛期の時代の話ですね。

さて、まだITバブルの時代はゼロ金利政策でマネーサプライが増えていました。金利の上下を誘導するだけで…お金の量がコントロールできる良い時代だったのですね。何故、この政策が実行されたかと言えば、この時期に金融機関が一気におかしくなるのですね。山一證券や長銀が破たんするのが、1997年、1998年ですから…。その為にゼロ金利政策を導入します。ITバブルが起こる背景は、リスクを取る新世代が新しく誕生したのですね。この時代はIT企業の上場により、新世代の金持ちが誕生する時代です。楽天の三木谷氏など代表的な事例ですね。2000年4月上場しITバブルの恩恵を受けるぎりぎりセーフのタンミングでした。この点、彼にはツキがありましたね。このITバブルを受けて2000年8月にゼロ金利政策が解除されます。その様相が「B」~「C」の辺りで分かります。しかし一般産業界向けの政策なら良かったのでしょうが、肝心の当時の金融機関は、まだまだ痛手を受けている最中だったのです。資産デフレは止まらずに地価の下落は続いています。当時、私が速水さんを批判していたのは、此処を見逃した為でしょう。株価より地価の動向は、非常に重要ですね。もともと根が浅い新興成金は、僅かな景気のブレで資産を失います。山一や長銀、日債銀などの破たんなら、何とかなったのでしょうが…。

この見逃しが株価のグラフ「5」に繋がります。マイナスまで減らしたマネタリーベースは景気のさらなる悪化を生み、空洞化も重なり基礎的な構造整理は進みますね。2001年3月にゼロ金利政策の再開から、さらに踏み込み量的緩和政策が実行されます。この背景はITバブルの崩壊をゼロ金利政策の復活では救えなかったのですね。当時のマネタリーベースは低金利でも減り始めます。よって2000年12月にマイナス1.1、翌2001年にマイナス5.6%と大きく落ち込むのを受けて、グラフでは「C」の場面です。3月に量的緩和政策を実行し、5月から徐々に増え始め、9月に14.2%となりますね。それから2002年1月に23.4%と増え、3月には32.6%と大きく増えます。この効果が市場に出て来るのは翌年の2003年5月ですね。グラフでは「D」の場面になります。この量的緩和を受けてバブル以降、初めて地価が反転し出します。ゼロ金利政策の時は、まだ下げ続けていましたが…。量的緩和実施でようやく地価が上がり出すのは2005年から2006年ですね。しかし不幸にも金融危機が起こりますね。折角、正常な景気状態になる寸前で…。この量的緩和政策を2006年4月から、土地が上がるのを見て止めてしまいます。グラフでは「E」の部分になります。おそらくバブルの再来を懸念したのでしょう。そうして海外では金融危機が訪れ金融危機が重なります。

ここで注目されるのが、大きくマネタリーベースを伸ばしているのに、市場が実際に反応するのは、ずっと後なのですね。タイムラグが生じています。2001年9月に二桁のマネタリーベースが伸びているのに…株価は直ぐに反応せずに翌年5月に動き出しているのですね。実に1年と8か月ですね。「流動性の罠」の状態はこの時期に発生したものと思われます。何故なら、最初はゼロ金利を復活させたのですが、マネタリーベースは増えませんでしたね。「B」から「C」の時代です。いくら金利を下げても、貸し出しが増えない異常事態が起こったのですね。金融機関が能力を失った時です。バブル崩壊から10年間の積み重ねで1998年の日債銀などの破たんは、それを意味しています。

強制的にお金を積み増す為に、公開市場操作を通じて、日銀は当座残高を意識的に積み増します。所謂、ベースマネーが増えて行くのがこの時期ですね。グラフでは「D」の場面です。この背景にはITバブルが崩壊した影響が在ると思われます。そうして9.11のテロにより、この行動が更に拡大され第二段エンジンが点火されました。速水総裁を当時私はずいぶん批判していましたが、彼がゼロ金利政策や量的緩和政策を実行したのですね。

しかしこのゼロ金利政策を直ぐに止めるのが問題だったのかな?「C」の場面ですね。ここが重要なのでしょう。2001年9月にマネタリーベースが二桁の伸びを示しているのに…株価の反転は2003年5月ですね。実に1年と8カ月も時間を要していますね。冒頭の薬と体力の話をしましたが…その意味が分かると思いますね。1999年2月にゼロ金利政策を実施するときには、半年程度で反応しており、年末には株価は暴騰します。通常、金融政策が実体経済に影響を与えるのは半年から1年後と言う意味はこの辺りにありますね。

今回の起点は2010年の10月の包括的金融政策ですが、実際にマネタリーベースが伸びているのは2011年3月です。つまり、この2012年11月で、丁度、1年8カ月を迎えるのです。しかし…一度白川さんは2012年3月と4月に僅かですが、ベースマネーを減らしています。丁度、今年の春に株価が上がり始めた時ですね。この影響も考慮せねばなりませんが…。

何故、私が長い期間、マネタリーベースと株価の特集を組んで、金融株の復権を何度も繰り返し述べているか? この辺りを焦点にして、何故、金融株に拘っているのか? この連載を通じて、少し背景はお分かりいただけたでしょうか? エクセルデータを添えて掲載した方が分かりやすいでしょうが…グラフだけの掲載に留めます。日銀の当座残高推移のグラフも掲載しておきます。

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必要なら日銀の検索ホームページに行き、自分で実際に検証するのが良いでしょう。慣れるまで少しこのフォームはすこし戸惑いますが…。この時間的なズレは、日本経済の体力にも影響を受けますし、世界情勢にも影響を受けます。前回の2003年の相場の時は海外のヘッジファンドは上手く機能しました。しかし今はこの勢力は力を欠いていますね。勿論、マネタリーベースと株価の関係は鶏と卵だという認識も同時に抱いています。

しかし現代の金融政策はマネタリストの時代なのですね。何故、古典的なケインズ経済が廃れていき、マーシャルからフリードマンのシカゴ学派が主導してきたか? 全ては未知の実験なのですね。バーナンキが行っている実験が継承され、僕がQE3を支持し、このQE3は必要でないかもしれないとも考えています。しかし、何故、私がこの実験は面白いと言っているか? またイギリスが財政政策より、緊縮財政の道を選択した実験に注目しているのか? 今は「財政の崖」が懸念され、減税や財政支出削減の影響がどうなるか?

みんな、お金の供給量をコントロールする手段の方法に過ぎませんね。「財政の崖」の懸念はある意味で時代遅れのケインジアン的な考え方です。マネタリストは基本的に減税を止めても、お金の量が増えていれば問題ないと考えます。財政支出も同じことですね。要するに最終的にコントロールする目標は、マネタリーベースでありマネーサプライのお金の量を増やし続けることの手段にすぎないのですね。

銀行の自己資本比率規制が、何故、問題なのか? 今はみんなが反省している時代だからですね。好景気の時に、規制をかけるのは良いのです。健全な方向で規制をかけるべきですね。しかし今は、一所懸命になってお金を増やそうとしているのですね。マネタリストは株価や地価をみながら、お金の量をコントロールすることにより、景気が維持されるという市場原理派の考え方ですね。市場の動向を見ながら、政策を実行するのです。日本村社会は理想を追い求め、市場を理解しないで強引に導くやり方ですね。既にグローバル時代で通用しませんね。常に市場を観察しながら、その市場の叫びを聴きながら、政策を実行するのですね。財政政策ではなく、金融政策に重きを置くのはマネタリスト(市場原理派)で、財政政策によりコントロールするのがケインジアン(日本村社会派)のような区分ですね。しかし景気をコントロールするには両者の力が必要です。財政政策もね。しかし財政政策の価値はどの程度なのか…むしろ規制緩和などの方向性を模索するのが大切だと考えます。

何故、私が超強気になっているか? 
それはFRBもECBも日銀もみんな流動性の供給に躍起になっているからですね。白川さんがシカゴ大学で、学んだとは知らなかったのです。この検証を通じて白川さんの評価を高めましたね。しかし同時に、この3月、4月の行動は不可解です。丁度、株価が高くなりETFの購入を止めた時期ですね。かれがこの反省をしていれば良いのですが…。だからまだ早いですが…都心の地価は上がる筈です。だからこの検証を始めるにあたって…不動産株の話まで…と最初に述べたのです。さて僕の仮説が正しいなら、間もなく壮大なスケールの相場が開始されます。予想通り市場は財政の崖の懸念をし始めました。しかしそれはケインジアンなど、時代遅れの考え方なのですね。今はインターネットがあり、各国の中央銀行の動向が瞬時に判る時代なのです。よって、この下落が最大の買い場を迎える筈なのですね。カタルの超強気の背景をマネタリーベースと株価の検証を通じて述べてきました。あとはご自身で判断されることです。今なら配当利回りで、どう考えても理屈に合う株価なのです。

投稿者 kataru : 15:29 | コメント (0)

2012年11月03日

ベースマネーと株価2

今日はマネタリーベースと株価の関係を、日本株について検証する。と言う後半を書く予定ですが、先ずはニュースから…田中真紀子文部科学大臣の大学認可取り消しが話題になっているので、少し私感を述べれば、基本的に彼女の発想は日本村社会の考え方ですね。中央政権が重要なことを決めていくので、みんなは従えと言う発想です。わが国の仕組みである多くの重要案件は専門家が決めます。その調整をしているのが官僚ですね。重要な案件の決定は、審議会が開かれ議論され答申が出され、その答申を受けて大臣が認可して物事が進みます。問題は審議会のメンバーの選び方ですが…多くが学識経験者などで構成されますが、この学者先生の多くは中央官僚よりのメンバーで、元官僚だとか…さらに純粋な学者でも補助金などのお金、研究費が政府から供出されており、中央官僚の意向に逆らう事は難しいし、メンバーも中央官僚が選びます。つまり中央集権で物事が決められています。だから石原都知事や橋下さんが、国政の矛盾を並べるのですね。予算の細かい支出まで中央政府の指示があるのです。故に県職員は中央から派遣されるキャリア官僚に毎年お歳暮や中元、郷里の名産品が収穫されると官僚に贈るのですね。この審議会は今、話題になっている活断層の原子力規制委員会のメンバーなども、この流れを汲んでいます。ただこの委員会は注目度が高いので、選出などの裁量に遠慮が働いているかもしれません。

まぁ、仕組み論は兎も角、田中真紀子大臣のやり方はある意味で村論理にも反しますね。既に決定され動いている案件にストップをかけたわけですから問題になっていますが、彼女の言い分はもっともですね。大学の数が増え、大学に行く必要のない人間まで行っていますからね。中学卒業すれば、料理人ならその修行に行った方が良いでしょう。その道のプロになった方が良いのに、みんな必要もない大学に行きたがります。僕のその口ですが…。

だって考えてください。毎年、早慶の卒業者数だけで16000人から18000人程度いるのだそうです。東大を含めると2万人前後になる訳で…従業員が1000人以上の大企業の毎年の採用者数は18000人前後だとか…つまりこの3つの大学だけで大企業に就職する人は決まる訳ですね。つまり上場企業に入社するのは非常に狭き門なのです。この現状に大臣は文句を言っているわけですね。このように仕組みで中央官僚が物事を決める方法は、日本村社会的な考え方ですね。市場原理の世界では一定の質を保てるなら無尽蔵に大学は作られていいわけで、大学同士が競争すればいいのです。このような考え方で始まったタクシー業界は、業界全体が競争で食えなくなり、当然、劣悪な労働環境になりますから、事故も増え再び規制の方向性にあります。そうです、問題になったツアーバスもこの事例ですね。

田中大臣の問題点は、日本村論理の発想で自分達が決めるから、庶民はロボットのようについて来いと言う自民党的な考え方が根底にありますね。この仕組みが行き詰まり、日本の失われた時代に繋がっているとも考えられるわけです。故に石原都知事が中央権力体制の打破を政策目標にしているのですね。でも消費税の引き上げが決まり、頭のいい優秀な日本の官僚だって馬鹿じゃない筈ですよ。僕の友達と言うか交流範囲は狭いですが…やはりキャリアの水準は頭が良いのです。だから消費税の引き上げも決まったので、政策を時代に合ったものにしようとしているような気がしていますね。これはカタルの仮説でもあります。消費税が決まれば、自分達の延命が決まるから、本気になって政策運営をするから、景気が浮上すると言うカタルの淡い希望的な仮説ですね。

最近は厚生年金基金の解散など…通常はあり得ませんね。何故なら、自分達の天下り先の退路を断っている政策も容認し始めています。しかし裏にカラクリがありそうな…。何故なら年金の自主運用が減ると効率の悪い株式は売られ、これが最後の買い場になるのですからね。更に、今日の公共情報のオープン化の話題ですね。ようやく情報の共有化が始まりますね。縦割りの隠された資料でなく、情報の共有化が進めば効率が高まりますね。この話は非常に大きな記事ですよ。価値があるニュースです。

さて雑談は、この程度にして本題に移りましょう。先ずは僕の書いた原稿を読まないと続きが書けませんから、今、読み直しますね。10月26日の今日の市況から株式教室そうしてコラムですね。読み直していたら…やはり気づきました。中国のGDP成長が大きく伸びた後半は、やはりマネタリーベースが大きく伸びて成長率に沿っています。でも、まぁ、この現象は当たり前の事なのですね。景気が良くなればお金は動きますから、市場のお金の量が増えるわけですね。マネタリーベースと景気、つまり株価は、相互依存関係にあり、「鶏と卵」の関係に似ていますね。景気が失速するからお金の流通量が減る訳です。だから日銀の言い分は正論でもあり一理あります。しかしここでマネタリストとケイジアンの論争が生まれますが…その話しは後にしましょう。

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前回は列島改造論の頃の関係を見ていたのですね。そうして今回はBの地点を検証すればいいのですね。果たして僕の仮説は当たっているかな? この時期はプラザ合意の時代で円高が進み、円高不況論が騒がれた時代ですね。僕の地元である新潟の燕の洋食器メーカーがバタバタと倒産して行くのですね。僕の友達の会社も倒産しました。その為に澄田総裁が資産バブルを見逃し、円高対策として金融緩和政策を永遠に続けたので、澄田さんは犯罪者の一人なのですね。日本の「失われた時代」の引き金を引いた男の一人だとカタルは決めつけています。それなのに…犯罪者なのに罰せられずに、退任後はユニセフの理事長になっていたから驚いて、僕はユニセフへの寄付をやめたのです。市場原理の米国では、問題の過ちを調べ、裁判をして罪を問い、監獄に収監していたのですよ。それを日本は…だからバブル崩壊後は、怒り心頭だったのです。その時代の検証ですね。

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当時は金利平価説と言うのが広く信じられていましたね。つまり為替水準は金利の高い方にお金が流れるという論理で、金利を低くすればお金は流出し高金利を求めると言う裏付けで為替水準は決まるという仮説ですね。故に澄田さんは円高が国会で問題になり、円高を止める為に、金利を低く誘導するのです。ここでケイジアンの考え方とマネタリストの考え方が再び対立します。両者の意味を簡単に解説すれば、ケインジアンは財政政策など含め、自分達が経済をコントロールできるという立場ですね。故に公定歩合操作で需給バランスをコントロールできると思っている日本村論理的な考え方ですね。一方、マネタリストは市場重視ですね。通貨量や市場を見て政策をコントロールすると言う市場追認派なのでしょうね。政策の結果を見て政策を的確にコントロールするわけですね。故にバーナンキ議長は完全に後者です、白川さんもそうですが、幾分、ケイジアン的な考え的なようですね。日銀は最近まで市場を軽視していたのです。私が問題化していた資産価格の概念がないのですね。だから資産デフレが進行しても気にしてなかったのです。

でも最近は違いますよ。近年まで市場を無視していましたが、2010年10月の包括的な金融政策の採用で日銀は姿勢を変え始めています。まぁ、あとはネットで調べてください。IS-LM曲線の話などが出て来るかな? 財政政策の需要論とか…出て来るかもしれませんが、基本は日本村社会の自分達がコントロールできるという村論理と、市場を重視する市場原理主義の対立なのです。近年ではFRBもECBも日銀も基本的にマネタリストですよ。しかし日銀は政府に注文を付けていますね。自分達だけの問題でないと…まぁ、その通りなのですが…。だから小泉・竹中政策の弊害である強引なUFJ問題が火種になりますね。金融庁の現場を無視した強引な不良債権認定が現在まで尾を引き、貸し出しが伸びない原因の一因にもなっています。だから日銀は無担保融資と言う形骸化した政策を実行するのでしょう。今日もBIS規制の話が載っていましたね。バーゼルなどの言葉が躍っていました。

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さて時代的な基本は出来ましたかね?
日銀がプラザ合意を受けて金融緩和を行ったのは仕方ありません。マネタリーベースのグラフのAの時点ですね。これは仕方ありませんが急速に平均残高が伸びており、しかも株価は急騰しています。確かに為替は1988年11月まで円高が進みこの点だけを考慮すれば、金融緩和は仕方なかったかもしれませんが…銀行融資による地価の急騰を見逃すというか…この当時は、土地は下がらないという土地神話は生きていますし、銀行マンから保険会社まで貸し出し競争をしていたのですね。私が問題にするのはBの部分です。この長い期間、10%を超える高いマネタリーベースの伸びが続いていたことです。しかも1988年9月に先物が導入され、株価が大きく飛ぶようになった1989年5月まで金融緩和を続けています。結果、マネタリーベースでは1990年4月までお金の過剰供給は続きます。

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他の指標などを見れば分かるでしょう。貸し出しが大きく伸びて、株だけでなく不動産などの資産インフレが貸し出しでなされている事を…。この現象を澄田さんは見逃したことですね。今でこそ批判は出来ますが…当時は円高不況のメディアの誘導報道が世論を捻じ曲げていました。しかし日銀総裁ですからね。データは揃っているし…。当時の東京の地価動向のグラフも参考にして下さい。この結果、不良債権が生まれ、だから…ながい失われた時代を創った張本人だから、澄田さんを犯罪者と決めつけています。でももう亡くなったから死者に鞭を打っても仕方ありません。ごめんね。彼も知らなかったのかもしれませんからね。結果論は誰にでも言えます。しかしもし実力主義が日本で定着していれば防げたかもしれません。

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まだこの時代は土地担保融資が生きており、日銀の三大金融政策の公定歩合操作、預金準備率、公開市場操作であるオペや、更には窓口指導などでマネタリーベースをコントロールできた時代ですね。だから「卵と鶏」の関係で、マネタリーベースと株価の因果関係はカタルの仮説であるマネタリーベースを伸ばせば株価が上がるという証明にはなりません。でも因果関係があるという事実は確認できますね。

実はCの三重野時代の話しも重要です。この時代は株価が下がっているのに、三重野さんは、資産デフレは景気に影響しないと的外れな論理を展開し、市場関係者の批判を浴びていたのです。だって小学生でも分かりますね。こんな理屈は…しかし当時は宮沢喜一が「生活大国5か年計画」を発表して、家の価格は年収の5年分の価格に収めようと、地価の下落を促進するために税法などを変えましたね。既にバブルが崩壊しているのに崩壊の後押しをしたのです。日本村論理で市場を重視する市場原理主義と大きく違いますね。故に銀行の不良債権は雪だるま式に増え、どんどん悪化していきます。ここが金融危機の起こった2008年以降の米国との大きな違いですね。日本の失敗を反面教師にして、米国は大幅な金融緩和を実施し銀行を助けていますが、日本は不良債権を増やす政策を実施していました。その状況がCの時代です。グラフなどを作って説明しても良いのですが急ぎましょう。でも今日は既にかなり長くなりましたから…ここであとの展開は次回に譲ります。

如何でしょうかね? 時代の検証シリーズ、「マネタリーベースと株価の関係」のレポートは…株価を予測するうえで如何に時代観察が大切か?長くカタルのレポートを読んでいただいていればご理解いただけると思います。本当はグラフ一つ一つの箇所を示し解説した方が分かりやすいでしょうが…この作業は非常に難しいですね。おそらくフラッシュを用いて声も聞こえるような解説も出来るのでしょうが…僕の技量では無理ですね。もしやろうとすれば、ビデオで撮影してユーチューブに投稿するくらいかな?

明日は、グリーの決算でも見てみようかな? あらら…あの日経記事は観測記事らしいですね。会社側は正式発表をしていませんね。でもあの記事にはヒントはたくさんありましたが…実際に発表されていないんじゃ…日経の観測記事にコメントはできないね。兎も角、今日は此処で終わりにして、また明日にしましょう。

投稿者 kataru : 14:08 | コメント (0)