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問われる金融システム(2008年11月01日)
投資銀行のあり方が問われています。このことは今後の世界経済にとって非常に重要な事なのです。私は二つのテーマをずっと考えています。その一つが「投資銀行のあり方」です。今後の展開により相場観が大きく変わるからです。ノーベル賞を受賞したスタンフォード大のショールズ教授とハーバード大のマートン教授が今日の金融デリバティブの礎を築いたと言われています。1997年の話しです。このブラック・ショールズ方程式は広く使われ、様々な金融商品に用いられました。それから10年、発展し続けた金融工学の試練が今回のサブプライムショックからのCDSなどの問題です。アメリカの投資銀行業務は壁にあい、商業銀行復活の狼煙とか…市場主義の根幹を問われているのが今の現象なのでしょう。

まもなく新大統領が誕生します。共和党は自由主義の塊のような考え方で、民主党はいくぶん平等と言う共産的な考え方をする資本主義を目指しているのでしょう。1989年のベルリンの崩壊以来、共産的な社会主義は崩壊し自由主義の市場経済が世界の主流になりました。鄧小平の南巡講和は世界の市場経済を加速させました。その象徴的な会社がコマツなのですね。日本は最後に残された共産国家とよく言われます。計画経済を維持しているからですね。特別会計の存在を、私は最近まで知らなかったのです。学校で教える教科書は嘘ばかりです。実態は一般会計の4倍ほどの予算が特別会計として硬直化しています。

計画経済の弊害は組織が硬直化し時代に対応できないのですね。公共事業投資を見ると分かります。徐々に変化していますが、未だに特別会計予算を一般財源として使う事に難色を示す官僚や政治家が多いのは、道路族と呼ばれる人たちの行動を見ればわかります。
日本の問題はさておき、「市場主義の危機」と呼ばれるのが今の現象です。利益を追求するあまりモラルを欠いた過剰な行動がサブプライム問題です。貸し手責任を飛ばしたのですね。だから詐欺と同じような商品なのです。CDSも基本的に同じ考え方の仕組みの一環でしょう。一方ではリスクを分散できるので、お金を効率的に運用できる画期的な商品とも言えます。見方が変えれば見解が180度違うのです。
今回の公的資金投入に際し、ブッシュ大統領のお膝元の共和党議員から造反者が多数出ています。その理由は、共和党はもともと市場が効率性の悪いものを淘汰するという市場原理主義なのです。市場主義は効率の悪いものを淘汰するので悪戯に助けるべきではないという考え方が根幹にあります。だから共和党は規制に基本的に反対なのです。
ここで少しおさらいを…
資本主義とは与えられた制限、例えば金融機関ならば資産が負債を一定率上回らねばならない。と言う自己資本比率規制の制限の下で、自由な試行錯誤を可能にする仕組みなのです。例えば開発した新製品がどのくらい売れるか分かりません。だから試行錯誤を繰り返し正解を求めるわけです。ところが社会主義は計画経済なので予算が優先され、間違った試行を繰り返すのですね。この間違った試行を繰り返すことを回避する考え方が、資本主義です。常に正解を求める為に試行錯誤を繰り返しています。これが市場主義なのです。共産的な計画経済を維持する日本は、硬直化した予算編成の殻を破れないから20年近くGDPが伸びないのです。だから東証一部単純平均株価が下がり続けるのですね。外需が停滞すれば輸出に頼れず、グローバル企業が多く採用されている日経平均株価も新安値を付けるのでしょう。


少し難しいですか?
私は相場の流れを読む為に、投資銀行のあり方を考えてきました。民主党政権のオバマ大統領が誕生すれば金融システムはどうなるのか? イラク戦争の出費が止まり…金融の発展にブレーキがかかるのか? それとも秩序が保たれ新しいシステムの構築が進むのか? 今日の日経新聞にはCDSの清算機関が誕生し取引所が設立されるとか…正常化への道は徐々に築かれているように感じます。この続きは火曜日書く予定のビスタニュースの原稿で…
