未来かたるが開催!みんなによく分かる

株式教室

« トンネル(景気後退) | 最新の記事 | 米国金融の混乱 »

流動性リスク(2008年09月13日)

今日はIRNETでも何度か取り上げたブリヂストンについて考えて見ました。この動きを通して流動性リスクについて考えて見たいと思っているのです。

流動性リスクとは…市場に売買の厚みがなくて正しい評価の株価で株式が売買できないことを言います。過小資本銘柄はこのリスクを背負うわけです。昨今のような市場環境になると個別株の評価が正しくされなくなります。一例を掲げるとブリヂストンです。下のような業績で確かに減益傾向にあるでしょうが、どう考えても世界でNO1のタイヤメーカーが黒字で配当をしており、会社の資産も簿価より時価はかなり高いと思われるのに、株価が純資産倍率1倍を割り込む道理がありません。

r20080913a.gif

このような現象は通常の市場では起こりえないものです。何故ならTOBを掛けられる可能性が高くなるからです。ところが不幸な事に世界の金融機関は資本不足に陥り余裕がなく、日本の市場が市場経済ではなくブルドックソースのような事例を認めるために、世界から見放された状態の為、ブリヂストンにTOBが掛からなかったのでしょう。私がブルドックソースや新日鐵の株式持合いを激しく批判している背景には、その行為が市場原理を歪める行動だと言うことなのです。

r20080913b.gif

1989年まで日本の多くの企業は株式の持ち合いをしていました。その為に正常な株価が形成されず、株価は常に割高になっていました。近年、株式の持ち合い構造が崩れ、ようやく世界基準に株価が下がったのです。国際会計基準の導入もあり、ようやく日本の株式は世界基準にマッチしてきた所なのです。それなのに…。時代を逆行させる動きを日本が選択すれば、現代の鎖国制度に逆戻りです。それで世界から認められ世界競争に勝てるなら良いのですが…

r20080913c.gif

ある意味でブリヂストンの株価の動きは色んな意味を私たちに伝えてくれました。ここに来て新高値を形成しているのは原油価格の下落と言う要因も大きな意味を持っています。この流れは一つの動きであるのでブリヂストンの株価の意味を考える上で色んな背景が隠されているのです。

r20080913d.gif