トンネル(景気後退)(2008年09月06日)
IRNETでは日本の失政振りを嘆いています。無料で様々な資料が手に入るようになり情報の使い方次第で株式相場の背景を知る事が出来ます。未来かたるは1989年に東京に上京して以来、何故、株は上がらないのか? 不思議だったのです。上京した当時は株式の知識も希薄で、その後、苦労しながら株の仕組みを考えてきました。原因を究明した結果、日本の仕組みの壁が株価上昇を妨げていることが分かりました。閉塞観が漂う社会構成では国は滅びるばかりです。株式投資を通じて一緒に日本の問題点を考え、共に改善したいと考えている主旨でサイトを運営している次第です。今日は法人企業統計から面白い資料を提供し「景気と株価」を考えてみます。

私達の可処分所得が増えるためには給料が上がらなくてはなりません。GDPの成長なくして株価は上がらないのです。GDPの主力エンジンは消費です。かたるの失敗はこの消費と言うエンジンに火が付くと想い銘柄を選びましたが、その後の政策変更で消費が停滞したままなのですね。その原因の元は企業の余裕です。そこで法人企業統計から現預金の項目を抜き出し過去のデータを拾うと上のグラフになりました。世界の株価が軒並み新高値を付けているのに日本の株価は新高値の38915円を更新できない原因の一つです。現在は4四半期連続で現預金残高が減っており、下げの角度(減り具合)からみて明らかに景気減速の状況が窺えます。この現象は1990年1-3月以来です。
どうも景況感の方向性で株価は動いているようです。つまり企業業績が増益なのか、減益なのか? 本来は株価と財務内容は秩序のある比較感だと思われますが、近年、流動性不足から株価は目先の流れを継承する傾向にあるようです。幾ら減益傾向だとはいえブリヂストンまでPBR1倍割れを実現する現象は異常なのです。ブリヂストンはフランスのミシュラン(19%程度)と激しいトップ争いをしています。たぶん現時点ではブリヂストン(20%程度)が世界トップでしょう。3位は米国のグッドイヤー(16%程度)です。現在の株価は企業業績の方向性だけで極端に株価がぶれています。流動性が失われている為に適切な株価が付かないのですね。この原因はわが国の政策にあります。政治家や官僚が株式売買をしない国は珍しいですからね。経済を知らない人間が政策を運営しているのです。
外需(輸出)により支えられている日本の景気は、サブプライムローン問題で揺れる米国の流動性供給が減った為に、BRICs経済が減速した影響もあり低迷し始めました。その様子が上の現預金残高のグラフからも窺えます。残念な事に日本固有の問題から株価は2006年より下げています。ライブドアショックは新興株の崩落を招きましたが、若者の意欲を削いだ意味も大きいのですが、実はこの問題は企業会計基準の変更を伴ったのです。その為に公認会計士が過敏に反応し始めたのですね。故にゴーイングコンサーンなどのイエローカードが頻発して出されるようになりました。日本では様々な面で構造改革が進んでいます。その制度変更に人間の意識が付いて行けないのが実情です。その為に混乱が生じているのです。
市場は今までの投資家層と若い世代の投資家層と市場は変遷期にあります。
若い人は経験が乏しい為に目先の動きに惑わされ、古い世代は新しい世界の解釈が出来ない有様です。マスコミの意識レベルが低い為に正確な情報が伝わっていないからでしょう。株をしないので社会の仕組みの変化に気付かない人が大勢いるのです。その混乱が政治にも現れています。三つの課題が株式市場にはあります。
サブプライム問題
中国経済問題
わが国の固有問題
一番厄介なのが、わが国の固有問題です。サブプライム問題は出口が見えてきました。中国問題は10月の共産党大会で現状認識がされることでしょう。中国は共産党一党支配の強引な支配国です。独占支配ですからトップの方針が変われば経済は安定するでしょう。一番厄介なのが日本です。ただ景気低迷のトンネルの出口は微かですが見え始めています。

景気減速と言うトンネルが長いのか短いのか? 出口に一番近い業種は何か? …と言う争点があります。景気後退のトンネルの長さは政策によって大きく変わります。そうして業種により、景気後退と言うトンネルを入るものがあります。今もっとも暗いのは金融や不動産なのでしょう。夜明け前が最も暗いと言いますからね。トンネルの出口に近いのでしょう。これらの業種はアメリカのサブプライム問題に深い影響を受けます。日本の不動産市場を支えるのは日本の銀行ではなく、アクティブな行動をとる外資系金融機関の投資銀行などが主体なのです。残念ながら金融庁などの行政指導に縛られ、日本の銀行はその役割を放棄していますからね。現時点では博打株評価のダヴィンチなどの新興不動産株は、好業績株に変身できる素質を秘めているのです。倒産したアーバンの房園さんは優秀ですね。付加価値製造マシンのような人です。どんな人は知りませんが24億円の営業利益を696億円まで僅か4年で増やしたのです。この面だけ評価すれば市況産業とは言え、すごい才能です。この才能が消える国か…助ける人がない日本と言う国は懐が狭い国ですね。