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企業の海外留保金(2008年08月16日)

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上記の株価をみると日経平均株価はある程度の高値を維持しているのに、東証一部単純平均株価は安値の位置まで再び下落しております。その理由を考える為に最近二つの現象が話題になっています。一つは交易条件の悪化ですね。交易利得がマイナスになり国内からお金が出ている様子が覗えます。主だったものは資源価格の上昇なのですが…その背景を考えると、パイオニアの薄型テレビのように利益のない技術にしがみ付いている現実もあるわけです。

私は自分の失敗が、何故、起こったのか?
最近、いろいろ考えています。これまでは景気循環から、不景気になれば金融政策と財政政策により浮揚を図り、景気を刺激して設備投資に火がつくと、やがて忙しくなり所得が増えるので消費に火がつき、好循環の景気回復パターンになる事を想定していました。ところが…待ちに待った、折角の景気浮揚が消費に結び付かなかったのです。大きな相場観の読みを間違った為に見込み違いが生じ、大きな失敗を犯し苦しんでいるわけです。その大きな理由と考えられる問題が交易条件の話と、もう一つは企業のグローバル化により税制が違う為に海外で稼いだお金が国内に還流しない問題が指摘されています。現在、経済産業省ではこの矛盾を解決する為に税制改正に向け財務省と折衝しています。

わが国の税負担は諸外国に比べ重く、実効税率が40%ほどと言われています。国内では100億円の利益があると40億円が税金に消えます。仮に税金が緩やかな国(25%)の現地生産企業が利益をあげた場合は25億円で済むわけです。しかしこの海外現地法人から国内に利益を持ってくる段階で、残りの15億円に対し企業は税金を払わねばなりません。折角、稼いだのに日本に還流しないお金が2005年度末は12兆円もあると言うのです。毎年、およそ6兆円から7兆円ほど利益をあげるわが国の海外部門のお金が無駄に眠っているわけです。個人所得がなかなか増えない原因の一因です。毎年、わが国の海外の生産比率は上がり既に30%を越えています。海外は好調に推移し国内経済は低迷している為に日経平均株価は比較的に確りしていますが、国内で頑張っている企業はジリ貧の為に、東証一部単純平均は大きく下がっているのでしょう。勿論、この二大要因のほかにたくさんの理由があると思います。

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既にグローバル化が進み日本の独自基準が通じなくなっているのですね。このままの政策を維持していると加工貿易国の日本はさらなる空洞化を強いられ続けるのでしょう。派遣法の見直しが行われ、キャノンの例のような雇用形態問題が起こると、日本を見捨てる企業が続出しても不思議ではないのですね。エルピーダは実効税率の低い台湾で半導体の工場を作りました。更にHOYAの税負担が15.3%と言う現実は、既にこの動きが始まっているのでしょう。このような現象を考慮せずに日本の成長は新興企業の躍進にあると考えていた私の相場観が間違った為に失敗をしたわけです。残念です。