« 企業の海外留保金 | 最新の記事 | 塩野義 »
市場経済を考える(2008年08月23日)
IRNETは形を変えてIR(Investor Relations)と言う投資家向け広報活動の一環としての使命に力を注ぎたいと、かねてより考えていました。株式投資をするためにはその投資する会社をよく知ることが重要です。ところが昨今の株式市場を見ていると残念ながら、本来の株式投資の姿から外れているような気もします。
私は株式投資をすると言うことは、その企業の活動を支援することだと考えてきました。私達の投資するお金が上場企業の活動を通じて社会に貢献するという使命ですね。そうして投資を受けた会社は事業活動を通じて儲けながら社会に貢献するわけです。企業は社会から利益と言う還元を受けて株主に利益を返却する仕組みが市場原理です。
社会的な使命とは…人々の生活を豊かにすることです。車を創る会社は私たちに便利な交通手段を与えてくれます。鉄道会社も電力会社も私達の生活に欠かせません。豊かな人間生活に必要な道具や手段を提供してくれる会社を育てる場所が証券市場の使命だと考えています。
株式の売買の意味は…株式を売買し「儲ける」という活動を通じて、市場の効率化を促進させることを意味しています。競争に敗れ業績が悪化する会社は非効率な形態なのです。故に株価が下がるのですね。好業績の会社は競争に勝ち残った会社で効率的な会社なのです。だから株価が高くなります。株式の売買はその効率化社会を演出する場なのですね。市場が豊かになり流動性が増せば経済活動が活発になります。そのような効率的な豊かな市場を創る為にIR活動は必要です。IR活動を通じて企業を良く知る事により、より多くのお金を投じることが出来ます。知らないものに大きなお金を投じることは出来ません。
素朴な投資動向が仲間を増やすのです。この会社の作っているお菓子は美味しいからその会社を応援する。私はトヨタの車が好きだからトヨタ自動車の株を買う。ディズニーランドが好きだからオリエンタルランドの株を買って応援する。本来の株式市場はそんな場の筈です。ところが最近の市場の動きを見ていると信用取引が横行し、本来の市場経済を支える株式市場の意味合いとずれている様にも感じます。そこでIRNETは株式市場の本来のあるべき姿を目指し、投資情報より会社をよく知るという観点から株式市場を見つめたいと願っているわけです。
勿論、企業情報だけでなくその活動を取り巻く社会環境も解説していきたいと考えています。私が政策批判をする理由はそのような市場経済の仕組みを阻害している例が目立つからです。お金は自由に動くべきなのです。しかし儲けと言う観念が強すぎ、昨今の市場を見ていると米国のように行き過ぎが、当然、生まれるわけで、方向性を定めると言う規制もある程度は必要でしょう。サブプライムローン問題から発生した一連の問題は、行き過ぎた信用創造が生んだ悲劇なのでしょう。今、市場経済はその反省に立ち自浄作用が働き調整と言う形を通じて反省しているわけです。
このように市場は常に公平です。日本はもっと市場原理を上手く取り入れた社会を構築できないかと考えているわけです。その為にIRNETの株式教室では企業情報の補完機能としてのIR活動を支えることが出来れば良いなと考えております。