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2008年08月30日
塩野義
最近、新高値を更新している塩野義製薬を短い時間ですがざっと調べてみました。私は薬品アナリストでもないし発表された資料からの推測でこの資料を作っています。ご利用に辺り各人がそれぞれ資料を会社のホームページなので確認され判断されることを望みます。当たり前の注意書きを書かなければならないほど、日本人は情報管理が下手なのですね。残念です。何故、日本人はこうも他人に頼ろうとするのでしょうか? 後期高齢者医療制度や年金問題なのを考えると悲しくなります。
さて薬品株や食品株は株式市場では「ディフェンシブ・ストック」と分類される業種です。景気が悪化すると消費が低迷しあらゆる商品が売れなくなります。当然、生産活動が低迷し企業の売り上げは鈍りますね。しかし人間が生活するうえで欠かせないのは食事や病気に対する費用です。この費用を減らすには限界があります。故に景気の低迷に強い業種と言う意味で保守的に選択されるのが「ディフェンシブ・ストック」(Defensive stock)です。つまり保守的な選択ですね。しかし夢がないわけではありません。最近では京大の山中教授などで有名になったES細胞の研究などはスケールナ大きな話しです。
昔、市場では小野薬品のプロスタグランジンと言う物質がいろいろな用途があり大変に将来性があると注目され株価が1万円台に駆け上がったことがあります。古くは科研製薬と言う会社の株も…此方は開発に失敗し仕手株としての評価でした。また持田製薬もそうですね。現代は情報開示が進み、まともな評価になっていますね。最近の傾向としては日本の製薬会社も海外市場に活路を求めていると言うことでしょう。業界トップは武田製薬が海外展開により急成長しました。今日、取り上げる塩野義の注目点も「クレストール」の成長性です。イギリスのアストラゼネカに海外の開発と販売を委ねロイヤルティーの収入が増えているのです。塩野義クラスではこの方法がもっとも効率がいいのでしょう。日本の製薬会社は海外から見れば小さな存在なのです。

製薬会社は患者数が多く売れる薬を開発しようとします。新薬が発見され基礎実験から臨床を経て実際に薬として世に出るために10年以上の歳月が掛かります。後期の臨床段階に入るまでに多くの薬は消える運命です。仮に臨床データが上手く集まっても承認までに日本の場合では1年半ぐらい掛かるのが普通だと言われています。学会での発表資料によれば、承認年ごとの審査時間(中央値)を見ますと1998年は40カ月でしたが、2004年は17.9カ月と言うことです。一方で臨床期間は伸び続ける傾向にあります。2004年のデータでは88.8ヶ月だそうです。だいたい7年半ですね。この数字を考えると、一つの効果が発見されてから、市場に出るまでは10年程度の歳月が必要なのです。つまり山中教授の発見が世の中に貢献するのは10年後ぐらいから…

しかし一度、市場に出れば、数百億、数千億の商売になり、ぼろ儲けのお金を生む商品に変わります。だからこそ独創的な見地からの発見が求められ、膨大な開発費の負担に耐えられる大企業しか新薬の開発が出来ないのです。塩野義は小さな会社ですが、今、流行のメタボリック関連の開発でコルステロールの合成を抑え血中コルステロールを下げる薬として「クレストール」を売り出したのです。この伸びが株価の焦点です。次世代への取り組みもやっていますが注目されている薬は「S-2367」と呼ばれる脳内神経物質に作用して食欲を抑える薬が注目されています。しかし順調に開発が進んでも市場に出るには2013年から2014年と言われています。つまり「クレストール」の特許が切れる2016から2017年に後発品なのですね。


業績面は分かりやすいのですが市場で本当に売れ始めれば「たな卸し在庫」がある程度増加するのではないかと想い調べてみました。しかし好調な状態から「たな卸し」が増えれば製品が売れない事になりますから、同じ資料でも使い方の注意が必要なのでしょう。健全な財務動向の会社で、流動負債は一貫して減り続けています。財務キャッシュフローは一貫してマイナスですね。最近の傾向としては研究開発に力を入れています。塩野義はアットホーム的な会社のイメージです。会社発表の数字は過去の例を見ると概ね過大表示する傾向にあるようです。私自身、企業分析はあまりやったことがありませんから発表資料を元に下の資料を作成しました。今回は薬品会社を選びましたが銘柄選びのヒントになればと想い、これから毎週、財務面や収益面から企業を簡単に検証し、一緒に考えて行きたいと考えています。
此方を参考に…
なかなか繋がらずに、サーバーの具合が悪くてどうもすみません。
2008年08月23日
市場経済を考える
IRNETは形を変えてIR(Investor Relations)と言う投資家向け広報活動の一環としての使命に力を注ぎたいと、かねてより考えていました。株式投資をするためにはその投資する会社をよく知ることが重要です。ところが昨今の株式市場を見ていると残念ながら、本来の株式投資の姿から外れているような気もします。
私は株式投資をすると言うことは、その企業の活動を支援することだと考えてきました。私達の投資するお金が上場企業の活動を通じて社会に貢献するという使命ですね。そうして投資を受けた会社は事業活動を通じて儲けながら社会に貢献するわけです。企業は社会から利益と言う還元を受けて株主に利益を返却する仕組みが市場原理です。
社会的な使命とは…人々の生活を豊かにすることです。車を創る会社は私たちに便利な交通手段を与えてくれます。鉄道会社も電力会社も私達の生活に欠かせません。豊かな人間生活に必要な道具や手段を提供してくれる会社を育てる場所が証券市場の使命だと考えています。
株式の売買の意味は…株式を売買し「儲ける」という活動を通じて、市場の効率化を促進させることを意味しています。競争に敗れ業績が悪化する会社は非効率な形態なのです。故に株価が下がるのですね。好業績の会社は競争に勝ち残った会社で効率的な会社なのです。だから株価が高くなります。株式の売買はその効率化社会を演出する場なのですね。市場が豊かになり流動性が増せば経済活動が活発になります。そのような効率的な豊かな市場を創る為にIR活動は必要です。IR活動を通じて企業を良く知る事により、より多くのお金を投じることが出来ます。知らないものに大きなお金を投じることは出来ません。
素朴な投資動向が仲間を増やすのです。この会社の作っているお菓子は美味しいからその会社を応援する。私はトヨタの車が好きだからトヨタ自動車の株を買う。ディズニーランドが好きだからオリエンタルランドの株を買って応援する。本来の株式市場はそんな場の筈です。ところが最近の市場の動きを見ていると信用取引が横行し、本来の市場経済を支える株式市場の意味合いとずれている様にも感じます。そこでIRNETは株式市場の本来のあるべき姿を目指し、投資情報より会社をよく知るという観点から株式市場を見つめたいと願っているわけです。
勿論、企業情報だけでなくその活動を取り巻く社会環境も解説していきたいと考えています。私が政策批判をする理由はそのような市場経済の仕組みを阻害している例が目立つからです。お金は自由に動くべきなのです。しかし儲けと言う観念が強すぎ、昨今の市場を見ていると米国のように行き過ぎが、当然、生まれるわけで、方向性を定めると言う規制もある程度は必要でしょう。サブプライムローン問題から発生した一連の問題は、行き過ぎた信用創造が生んだ悲劇なのでしょう。今、市場経済はその反省に立ち自浄作用が働き調整と言う形を通じて反省しているわけです。
このように市場は常に公平です。日本はもっと市場原理を上手く取り入れた社会を構築できないかと考えているわけです。その為にIRNETの株式教室では企業情報の補完機能としてのIR活動を支えることが出来れば良いなと考えております。
2008年08月16日
企業の海外留保金


上記の株価をみると日経平均株価はある程度の高値を維持しているのに、東証一部単純平均株価は安値の位置まで再び下落しております。その理由を考える為に最近二つの現象が話題になっています。一つは交易条件の悪化ですね。交易利得がマイナスになり国内からお金が出ている様子が覗えます。主だったものは資源価格の上昇なのですが…その背景を考えると、パイオニアの薄型テレビのように利益のない技術にしがみ付いている現実もあるわけです。
私は自分の失敗が、何故、起こったのか?
最近、いろいろ考えています。これまでは景気循環から、不景気になれば金融政策と財政政策により浮揚を図り、景気を刺激して設備投資に火がつくと、やがて忙しくなり所得が増えるので消費に火がつき、好循環の景気回復パターンになる事を想定していました。ところが…待ちに待った、折角の景気浮揚が消費に結び付かなかったのです。大きな相場観の読みを間違った為に見込み違いが生じ、大きな失敗を犯し苦しんでいるわけです。その大きな理由と考えられる問題が交易条件の話と、もう一つは企業のグローバル化により税制が違う為に海外で稼いだお金が国内に還流しない問題が指摘されています。現在、経済産業省ではこの矛盾を解決する為に税制改正に向け財務省と折衝しています。
わが国の税負担は諸外国に比べ重く、実効税率が40%ほどと言われています。国内では100億円の利益があると40億円が税金に消えます。仮に税金が緩やかな国(25%)の現地生産企業が利益をあげた場合は25億円で済むわけです。しかしこの海外現地法人から国内に利益を持ってくる段階で、残りの15億円に対し企業は税金を払わねばなりません。折角、稼いだのに日本に還流しないお金が2005年度末は12兆円もあると言うのです。毎年、およそ6兆円から7兆円ほど利益をあげるわが国の海外部門のお金が無駄に眠っているわけです。個人所得がなかなか増えない原因の一因です。毎年、わが国の海外の生産比率は上がり既に30%を越えています。海外は好調に推移し国内経済は低迷している為に日経平均株価は比較的に確りしていますが、国内で頑張っている企業はジリ貧の為に、東証一部単純平均は大きく下がっているのでしょう。勿論、この二大要因のほかにたくさんの理由があると思います。



既にグローバル化が進み日本の独自基準が通じなくなっているのですね。このままの政策を維持していると加工貿易国の日本はさらなる空洞化を強いられ続けるのでしょう。派遣法の見直しが行われ、キャノンの例のような雇用形態問題が起こると、日本を見捨てる企業が続出しても不思議ではないのですね。エルピーダは実効税率の低い台湾で半導体の工場を作りました。更にHOYAの税負担が15.3%と言う現実は、既にこの動きが始まっているのでしょう。このような現象を考慮せずに日本の成長は新興企業の躍進にあると考えていた私の相場観が間違った為に失敗をしたわけです。残念です。
2008年08月09日
トレンド分析(ソフトバンク)
今日は株式のトレンドラインの話です。
下のグラフは個人投資家が好む人気株のソフトバンクの週足と日足のチャートです。先ずは大勢を見るために、週足の分析です。ソフトバンクは2005年の第5週に5220円の天井を付けて下げています。その後、一貫して下げ続け2006年7月3週に1894円で底を打ち反発しました。業績動向にもよりますが、このような大幅な下げの後は直ぐに完全な上昇波動に転じられないものです。必ず再び下値を確かめにやってきます。この上昇波動は長く、2007年3月4週の3190円で二番天井を打ち下げ波動に転じました。再び下げ波動に転じます。ここで大天井の5220円と二番天井の3190円を結ぶ線を引きます。このラインが上値抵抗ラインです。2007年の10月に出来高を伴った株価の上げを演じます。ここで…ひょっとすると、初めてトレンドが変わるかもしれないと考えます。しかし確認が出来ません。2008年3月になると抵抗線を下回らずに株価が反発します。この波動を見て買いに転じるかどうか判断します。しかし抵抗ラインの天井から二番天井の期間は64週間掛かっていますから、同じ時間の経過を待って抵抗ラインの上に株価が位置していれば買い向かっていい事になります。大きな流れの大勢観を先ず掴みます。

次に日足のトレンドを見ます。
11月2日の2885円から下落し、二番天井は2月20日の2330円です。最初に抵抗ラインを上回ったのは4月ですね。そうして確認を待つと…1番天井と2番天井の調整期間70日後の数日後に出来高を伴って反発しました。しかしすんなり上昇はせずに横這い波動を続けていましたが、最近信用買い残を消化しての上昇波動になっています。明らかに新規の買い需要が参加しているのでしょう。

ここが見極めどころ…
週足を見るとボックス波動の可能性は高く、当面3190円は大きな壁になる可能性もあります。更に目先の上昇トレンドを確認する為には5月の2145円を抜いて、更に2330円の高値を抜くことが要求されます。ただ概ね長い下降波動は終ったと考えて良さそうですね。下値ボックスの往来になるか、3190円を抜き更に上値を目指すのかは今のところ分かりません。しかしチャート波動を確認する為に上値と上値を結んだ上値抵抗ラインを抜くことが株価上昇変化に欠かせない条件の一つなのでしょう。このようなトレンド分析の他に業績予想も重要な株価要素になります。多くの投資家は株価に左右されますが、一番大切な株価の決定要因は、あくまで業績なのです。
(このようなトレンド分析はあくまで一つの方法です。他にも色んな見方が存在しますから、この一例を参考に投資家がそれぞれ判断すれば良いでしょう。)
2008年08月02日
NY市場の動き
今週は時間がなく忙しいので簡単にします。
チャート波動をよく見れば…
エリオットの波動論と言うのがあります。通常は上げ相場は1-3の波、下げ相場は4-5の調整波となります。つまり2波で下げは終了なのですね。逆に下げ相場に移行しているなら1-3が下げ相場4-5が戻りの上げ相場となります。下の図はどちらにも見えますね。あなたはどちらを選択するか?
