努力しても報われない社会構造(2008年05月17日)
昨日、GDPの統計が発表されました。驚いた事に10年間連続で実質経済成長率が名目成長率を上回ったそうです。とうとう日本のデフレ政策は10年以上になります。実は1995年にGDPデフレーターがマイナスになりました。辛うじて1997年プラスになりますが清貧思想が再び跋扈し10年連続のマイナスの世界です。毎日、吹雪、吹雪、氷の世界なのです。日本に閉塞観が蔓延しているわけです。読者の中にはGDPの意味も名目と実質の違いも分からない人が大勢いると思いますから…実は僕もそうだったのです。

GDP(国内総生産)は日本国民、全員が生み出した付加価値の合計です。この付加価値とは、小麦粉からパンを作ると高く売れますね。この差額が付加価値です。日本で生まれた付加価値の合計がGDPです。世界のグローバル競争下では、このGDPの成長率を争って競争しているのです。僕らは名目の世界で生きています。自分の手取りの給料20万円が、翌年、不況を理由に19万円に減りました。1万円減ったのです。悲しいですね。しかし家賃や交通費、食費などが更に下がり、今までは19万円で生活していましたが、翌年は17万円9千円で、同じ生活が出来るようになりました。最初は20-19=1でしたが、翌年は給料が下がりましたが19-17.9=1.1なので、1万1千円が手許に残ります。もらう給料は20万円から19万円に下がったので名目ではマイナスなのですが、物価が下がったので僅か1千円ですが実質的に増えたので、実質の成長率はアップしたのですね。
しかし人間は使えるお金があれば使う動物です。なくても使うのですね。しかも物価が下がり実質の手取りが増えたといっても、実際に毎月貰う収入は20万円から19万円に下がるのです。いやな気持ちになりませんか? どうしても無駄使いをしない清貧思想の行動パターンになりますね。縮小均等の世界です。人間は、明日は良くなる、明日こそ株価上がると信じたい動物なのです。拡大の行動パターンが経済を活性化させるのです。だから成長する為には、デフレ政策をやめる必要があります。1998年に原油価格は10ドル72セントでした。今は127ドルですよ。10倍以上です。それにも拘らず、日本はGDPデフレーターがマイナスの世界が続いているのです。これでは閉塞観が蔓延し、やる気が失せるのが当たり前ですね。借金は悪、お金を使わずに預金をしなさい。地味に生活しなさいと、政策は次々に決まっていきます。建築基準改正法、サラ金法、金融商品取引法など…清貧思想を求める法律ばかりが続きます。

マスコミは「みのもんた」のように、一部の弱者を代表するようなコメントを出し世論を欺きます。ごく一部の弱者を演じるのですね。サラ金法などそうですね。多重債務者が自殺をするとサラ金屋が苛められます。しかし200万で買った車が、翌年にモデルチェンジして190万円になったので、消費者がそれはおかしいと訴えたら10万円の差額を自動車メーカーは補いますか? 過払い金問題はそう言うことですね。後出しジャンケンです。これからの分は理解できますが、過去の契約まで、さかのぼって金利を付けて払い戻せ!どう考えても異常な法律です。今度は年収制限です。実質的にお前らは要らない。と言っているのですね。サラ金屋に勤めている人も大勢いるのです。建築基準改正法の為に何が起こったか? 姉歯の一個人の不正の為に、多くの善良な人々が倒産などして泣いています。金融商品取引法の為に、証券会社は自己防衛の為に電話を録音し営業員を監視する。まるで中国共産党の汚点である文化大革命の密告奨励制度ですね。全ての政策が清貧思想です。
一方、世界では物価が上がって、正常で活発な経済行動になっているのに日本だけが…江戸時代の鎖国政策を続けています。実質国内総生産は562兆円なのに、名目は515兆円です。48兆円も差があります。株式時価総額の11%が失われているのです。小学校、中学校の義務教育世代に、通話とGPS機能だけの携帯電話を持たせるとの答申が出ました。確かに子ども達のSNSは異常な行動を生む原因になっているのでしょう。しかし全体を制約するより使い方を議論させ、教育するのが必要なのではないのでしょうか? 自分で考える教育をしてないために、振り込め詐欺が後を絶たないのでしょう。馬鹿らしい単純な詐欺に引っ掛かるのは、日本の教育制度に問題があるのでしょう。
全面規制は役人のおごりですね。その為にどうなったのでしょう。食物の自給率は下がり続け日本の農家は壊滅しました。掘っては埋める無駄な道路予算の為に、効率化が失われ必要な政策は遅延しています。待機児童問題などは代表的な例ですね。「後期高齢者医療制度」をマスコミは批判しています。終末医療とか年寄りは医療を受けずに死ねというのか?とかと批判をして世論を煽っています。しかしその影で若者は20万円の手取りから3万円を社会保険料に、更に所得税や消費税を払っているのです。ところが努力すれば報われた、豊かな時代を生きた人は、年金を貰い遊んで暮らして旅行に行っている。どちらにお金を使いますか? 当たり前の議論が捻じ曲げられるマスコミ報道。ここには総務省の役人が大勢、天下っています。TBSを変えようとした楽天は批判される。矛盾だらけの社会に見えるのですね。やはり僕には…