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流動性の考え方(2008年05月10日)

過去に自分で書いた意見を振り返って見るのも面白いですね。ビスタニュースの原稿は昨年の年初から書いています。一貫して新興株を取り上げているわけですが、急落している銘柄もあれば、この下げ相場の中で上がっている銘柄もあります。やはりヤフー、楽天などの大型の部類に属する新興株はそれなりにマズマズの成果になっているのでしょう。

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最近、私が心を奪われているのは、日本の将来にどんな企業、業種が活躍できるか?…と言うテーマです。この話はビスタニュースで述べる事にして、今日は継続して追っているデッカプリングの代表銘柄であるコマツと日立建機の株価の差を再び考えています。日経平均株価は前から申しているように「春から夏」の季節になり戻ってきました。シティーの資産売却に見られるように過剰な金融拡大は止まり、産業界への影響はこれから起こります。ただ同時の悪化し続けていた指標も改善の兆しが見えるのが、この夏ごろでしょう。

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しかし、その前に痛んだ投資心理の揺り戻し現象は、当然、通過しなければならない壁です。その影響度合いを測るバロメーターが、コマツと日立建機の株価レースです。これまでに繰り返し何度か述べていますから、新聞を見る時に株価を気にしていただいていると思います。業績、財務内容共に日立建機の方がコマツより良いのです。無論、日立建機は日立の子会社で、コマツは独立会社ですし、企業規模も2倍以上の大きな違いがあります。更にコマツの方が営業効率は良いのですね。売上高営業利益率を比べればコマツは14.8%に対し日立建機は11.5%となっており日立建機は劣っていますが、株価を決める決定要因の一番大きなものは一株利益ですから、その差は歴然としています。更に財務的なゆとりを示す一株辺りの純資産は日立建機の方が高いですね。故に通常の株式環境では日立建機の方がコマツより株価が上なのが当たり前なのですが…市場に流動性が乏しくなると、大型株のコア銘柄の方が株価は高くなります。

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この意味はいつでも換金できるからです。小型株の投資家は限られておりどうしても流動性が不足すると売られるようになります。つまり値動きが激しくなるのです。新興株の多くが1/2は当たり前、中には1/10になるような銘柄が多く見られるのは、このような理由もあるのです。だから小型株は一般的ではないのですね。私は予てからハイリスク・ハイリターンを狙っていると述べていますから、当然の帰結として新興株派になるのですね。夢を抱くわけです。今でこそ、ソニーやトヨタは世界的な会社になりましたが、この両銘柄も、嘗てはヤフーや楽天のような存在の時期があったのです。新日鐵やNTTは官から育った民間会社ですから生い立ちが違うのです。株式市場で投資する場合はこのような基本的な株式の特徴を充分理解する必要がありますね。両社の違いと株価の推移、全体の動きを観察して自分なりの分析をして株を考えてみるのも良いことでしょう。