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デカップリング(非連動)とリカップリング(再連動)(2008年02月09日)

こんにちは…
IRNETのSNSは市場に絡む意見の対立を討論する場にしたいですね。最近、鋭い反論などを聞けて嬉しく思っています。公開の場ですから活用して下さい。残念なことは制約があるので僕の反論をその場で載せられないから場の盛り上がりが欠けるかな? しかし後日時間を空けて載せるようにします。日本の場合、役人が強いから仕方がないでしょう。IHIの特設ポストのように、ライブドアとどう違うのか分かりませんが、こんな国だから情けないです。僕が分からないのですから、多くの人が疑問に思うのは仕方がないでしょう。政・官・民が癒着している国ですから…

今日はビスタニュースで書くレポートのほんの障りを…ヒントにしてください。「デッカプリング(非連動)とリカップリング(再連動)」がテーマです。残念ながら時間がなく、かなり片手落ちなので、自分で補って下さいね。ビスタニュースの読者の人には、来週、詳しく解説しようと思っています。

金曜日の「今日の市況」で書いたように、最近の相場のテーマはサブプライム問題から発展し、米国景気後退→中国などのBRICs経済の後退が懸念されています。GDPの成長率は低くなっていますが、アメリカも中国も成長を続けています。4四半期別のGDPの数字はアメリカは2007/1-3月期は0.6%、4―6月期は3.8%、7-9月期は4.9%、そうして10-12月期は0.6%となっています。果たして景気後退に陥るかどうか? 2四半期連続で経済成長がマイナスになる事を景気後退といいます。一方、中国は2007年の成長率は11.4%です。すごいね。

今、市場で話題になっているデカップリング論争とは、大まかにアメリカ景気とアジア(BRICs)景気を指しますね。勿論、米国と日本と言う二国間の景気動向を話題にするところから始まったのですが…。日本のここに来ての成長は輸出による所が大きく、輸出の伸びが日本景気を支えています。分かりやすい例を言えば、わが国の鉄鋼業界は過剰生産設備を保有していたために長年苦しんできました。過剰人員と過剰設備の淘汰を実施してきたのです。ところがベルリンの壁崩壊から市場経済に目覚めた中国などの大国の成長により、豊かなになった新興国の所得が上がり、エネルギー消費が一気に拡大し、資源国がそのお陰で潤い中東やロシアなどにも豊富に資金が流れました。中東、ロシアなどを含め、中国などの社会基盤整備が世界的に一気に拡大していきます。

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何故、昨日の「今日の市況」解説で建設機械のチャートだったのか?
建設機械は景気敏感株です。社会資本整備(道路や鉄道など生活インフラ整備も…)に投資が行われ、世界景気のバロメーターのような役割を担っています。勿論、世界最大手はアメリカのキャタピラーですが、わが国のコマツ(本年の人気銘柄第一位)は健闘しています。つまり建設機械の売れ行き動向を把握すれば、世界の景気動向が分かると言うのです。奇妙な事にここに来て、財務面、収益面で勝る日立建機の株価が、コマツに抜かれました。理由は幾つか考えられます。一つは需給面です。コマツは増資をしていませんが、日立建機は先頃公募と第三者割り当て増資を実施しています。そうして、あとはサブプライム関連で日本株を売る動きがありますね。外人ファンドの売りの影響です。もう一つは市場が極端に弱くなれば、リスクの許容度が減り、投資家は冒険をしないようになります。つまり大きな会社の方が、いざと言う時に換金しやすいのですね。相場が弱いときは、浮動株の多い大型株が好まれるわけです。需給関連と流動性リスクですね。さて本題です。昨日の決算書を見た人は居ますか?

さてコマツの地域別売上推移を見てください。

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米国の伸び悩みは明らかですし、欧州は堅調でロシアや中東、中国やアジアなどの開発投資は盛んで伸び率はすごいですね。同様に日立建機も見てください。下のグラフが示すように日立建機は新興市場に強く、コマツは世界中にバランスが取れています。安定性があるのでしょう。しかし両社ともBRICsの伸びは大きいですが、米国はサッパリですね。セグメントの比較から日立建機はBRICsに強くコマツはバランスが取れています。何故、市場はデカップリングの方が可能性は高いのに…リカップリングを織り込み始めたのでしょうか? 日立建機とコマツの株価の逆転劇はそのような可能性が背景にありますね。ただ株価逆転は他にも理由は幾つか挙げられますが今日は簡単に三つの疑問を掲げました。デッカプリングとリカップリングも仮説です。デッカプリングはアメリカ景気の景気後退が前提です。つまり1-3月期、4-6月期がマイナス成長になると言うのですね。そうしてBRICsのGDPの源泉が輸出にあるので、当然、中国も景気が減速するというのです。

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最近、新日鐵が売られている理由の一つは、中国の2007年の粗鋼生産は4億89241千トンで、日本は1億20197千トンでしたが、わが国はこのうち36853千トンを輸出に回しています。30%を輸出に回しているわけです。2007年の統計はありませんが2006年のものではGDPに対する輸出比率は14.6%が平均なのです。余談は兎も角、上のグラフを見てください。コマツは売上の25.6%をアメリカに頼っているのです。しかし日立建機は僅かに9.4%です。中国の売上シェアはコマツが8.4%ですが日立建機は12.6%です。つまりコマツと日立建機の株価逆転劇の裏にあるのは、リカップリングを株価が織り込み始めている可能性を示唆していますね。しかし私はこの説は希薄だろうと考えています。だって明らかにEPSやBPSの指標で日立建機の優位性は明らかです。背景にあるのは別の理由でしょう。一番疑われるのは流動性リスクです。市場が本来もつ価格査定機能が失われるほど、日本株式場は病んでいるのでしょう。他にも有力な仮説がありますが、アナリストレポートではないし時間もないから、今日はこの辺で終わりです。詳しく知りたい方は来週のビスタニュースでも参考にしてください。不十分な形のレポートは公開に相応しくないかな?誤解を招く懸念がありますからね。まぁ、グリーンスパンのようなものでしょう。回顧録を読むと宮沢大蔵大臣は間違った政策を選択したのですね。故に失われた時代が長く続くのです。今日はまた偽装事件ですか…僕が中国の文化大革命と比較している理由が分かりますか? 他人批判はゆとりがなくなった社会の現れです。必ず、行き詰まり時代は変化します。IHIの特設ポストのような誤魔化しがいつまで続くのでしょうか? 悲しい国、日本、目覚めよ、日本。